037
限界突破した。そう感じたのは朝の訓練を終えたときだった。
ふとステータスを見ると色々と変化があった。
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ユリアネージュ(13歳)
種族:素人
レベル:191
HP:122098
MP:242890
状態:通常
スキル:剣術LV10、縮地LV1、格闘術LV10、仙体術LV1、火魔法LV10、水魔法LV10、風魔法LV10,土魔法LV10、光魔法LV10、闇魔法LV10、元素魔法LV10、空間魔法LV1、刻印魔法LV10、封印魔法LV1、付与魔法LV10、錬金術LV2、気力制御LV10、魔力制御LV10、仙気制御LV5、並列制御LV10、闘気制御LV10、気配察知LV10、高速反応LV7、HP自動回復LV3、MP高速回復LV7、真実の瞳、フリキア言語LV8
称号:仙人、ワールドルーラー、竜機人の創造者
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まず縮地は予定通り。
仙体術は格闘術の上位スキルのようだ。仙気を飛ばしたり出来るサイ〇人的なスキルだった。
空間魔法は元素魔法の上位だろう。実際に使ってみたが、例の箱がマジックボックスという名称に変化した。
封印魔法は、物質を封印したり精神を封印したり魔力や仙気を封印したりと、色々とヤバイ事が出来る気がする。存在を封印できると言った方が良いか。
あと、仙人とワールドルーラーとかいう称号の変化のせいなのか、HPとMPの桁がおかしい。種族が変わってんじゃないのかと思ったけど素人のままだった。
手を天に掲げて見上げたままの私を見て、ブランが近づいて来た。
「なにか、殻を破った感じかい?」
「うん・・・さっきから力がみなぎってくる」
降ろした手をグーパーしながらブランに伝えると、やってみるか?と闘気鎧を纏ってくれた。片手を触れて気力を分けてあげるとブランが驚いた。仙体術のスキル効果だろう。
「ははっ・・・気力が回復してくのは・・・ユーリから分け与えられてるのかい? 初めてこんなのを体験したよ」
「なんか出来るようになった」
アハハと二人で笑いつつ距離を取ると、闘気鎧を纏う。するとそれが一気に白い鎧に変わった。なんぞこれ?
「わぁ、なんか白くなった」
これも仙体術の効果かな。
「いくよ」
「ん」
予定打ちの結果は負けたけど、持続能力は爆発的に増えた。最後はブランママが限界になってお風呂行きである。お母さんには勝てんなぁ・・・。
「ちょっとハイネさんとこ行ってくる」
「あ、これ持って行ってあげて」
「はーい」
何かバスケットを渡された。朝の残りかな。低血圧だし食べてないだろう。
「ハイネさんご飯だよー」
「あー・・・うん・・・おはよう」
まだ0歳の娘さんに裸で母乳を飲ませつつ、二階の寝室でボーっとしていた。大丈夫かなこの人・・・・・。
「起きたら降りてきてね」
「ん~・・・」
降りてきて我に返ったらしく、赤い顔をしていた。
「なんっであの時間に来るのよっ」
「はい朝ごはん」
ニヤニヤしながらバスケットを差し出した。
「・・・ありがと、で、なんかあったの、嬉しそうだけど」
「ちょっとそこの買い物袋借りるよ」
「モグモグ・・・どーぞ」
ゴクリとミルクを飲むハイネさん。飲ませたら飲む。大事大事。それを横目で見つつ布の袋に空間魔法を掛けると、ハイネさんが手に持っていたサンドイッチを落とした。
「あんたそれ・・・」
「お、出来たー!」
ててててー! マジックかいものバッグ を てにいれた !
「出来たーじゃないわよ、それ空間魔法じゃない!? え? って事はそれマジックバッグ?」
「いぐざくとりぃ。その通りで御座います」
おい、何でおでこに手を当てて天を仰ぐ。もっと世紀の発見を喜びたまえよ。
「あんた何? 世界征服でもしたいの?」
「そう、時代は正に世紀末、経済戦争は世界から物を失わせ、全てをこのマジックバッグに集約する! その時こそ! 世界征服の野望が!」
低めの声でナレーション風に言うと睨みつけられた。
「真面目に聞いてんのよ!」
キレたハイネさんはガラスのコップをタンッと机に叩きつけた。あ、ドレスの肩ひもが外れて片乳が丸見えになった。
「いや別に面白そうだなと思って作って見たシリーズ」
そんな深い溜息を付かないで下さいよ姉さん。
「面白いなぁで古代遺産を作らないでよ・・・」
「これもヤバい系?」
「それがヤバくなかったら今まで作った奴、全部許可するわ」
ハイネさんが肩ひもを掛け直しつつ苦言を呈してくる。
「だめかー」
「ダメに決まってるでしょ」
まぁ良いや自分で使おう。ところで・・・。
「これさ、口より大きい物質って入るのかな」
「普通のマジックバッグはダメだった筈よ。昔、あの道具屋で試したでしょ」
「あー・・・そうだね」
空返事しつつリビングの椅子を入れようとすると、四本足の一本が入った時点で椅子が消えた。
「おっ、入った!」
「なっ・・・」
これヤバくない? 馬車とか入るんじゃね?
「ちょっと色々試してくる!」
「待ちなさい!!! 暴走すんなって言ったでしょ!」
「あっハイ」
ふやぁぁぁぁぁ・・・・・。
ほらぁ、娘さん泣いちゃったじゃない。叫んだらダメだよ。子育てのNG行動その一ですよ。
「と、とにかく、その袋は置いていって! 外に持って言ったらダメ!」
「分かったよう」
袋に手を突っ込んで思いつく。
「あ・・・あれ? ちょっ、嘘!? ぬ、抜けない!」
真剣な顔で焦った声を出してパントマイムのように右腕だけ動かさないようにする。
「え・・・ねぇ、ちょっと止めてよ! ユリア!」
本気で心配し始めたハイネさんは子供を抱いていない手を伸ばして私に近付いて来た。あっダメ、触ったらバレちゃう。
「なんて嘘ですよ~」
椅子を取り出してテーブルの脇に置くと、魔法発動準備状態のハイネさんが居た。
「わわ、ご、ゴメンナサイ、冗談です! もうやらないから!」
「・・・変な事をしない」
低い声で怒られてしまった。
「ごめんなさいっ」
そそくさと逃げ出すと一息つく。やりすぎたわ。ちょっと浮かれてしまったな、気を引き締めねば。
◇◇
倉庫でマジックバッグを再度作って試した結果、以下の事が解った。
内容量の限界値は込めた魔力次第で最大値が変わる。最低値でも馬車は入った。やろうと思えば、超魔力を込めてブラウだったアースドラゴン級のサイズでも入る筈だ。
それから時間経過はしていた。コップに入れたぬるま湯を、コップ毎いれてみると、30分後に取り出して温度を計ってみたら3度ほど下がっていた。つまり食べ物を入れておくとゆっくり時間をかけて、そのうち腐る。
生物も入るか否か。これは入った。ブラウが面白そうだというので入ってもらったのだが、内部は床も何もない水の中に居るようだと言っていた。常にフワフワと浮いていて落ち着かないという。しかも自力で出て来れないので、間違えて入った子供は間違いなく気付かれずに餓死すると言っていた。目線が既に母親。
試しに私が入ってみたが、私は自力で出て来れた。
「主は空間魔法があるではないですか」
なるほど。空間魔法使いは自力脱出可能と。あとは作成者が私だから何らかの権限が付いている可能性もある。
次に、エネルギーも取り込めるのかという点。
火、氷等の熱量保存が可能か。これが出来ればかなり有用性が高い。持ち運べる冷凍庫になるかもしれないから!
結論を言うと不可能だった。内部に入れた時点で魔力で作った氷は全て分解され、魔力になって霧散してしまった。これは自然で出来た物でも、途中で魔法を使って加工された物品はアウトなような。魔力が物質を分解する作用をするのかもしれない。
但し、魔法の冷気で冷凍した物体はそのままだった。魔法を使って間接的に起こした自然現象は変化しないようだ。
最後に、マジックバッグの機能はどんな物体にも持たせられるのか? という点だが、これは「空間」という定義付けが可能な道具であれば何でも良かった。コップでも可能だし、指輪に空洞を作っておけばこれでも可能だ。馬車も内部を別空間にしておけば・・・出られないな。
「うーん、良い案だと思ったんだけどなぁ」
「主、出る時に何か魔法を使っていたのなら、それをゴーレム化して内部に置けば良いのではないですか」
「それが・・・自覚がないから良く分からない」
「そうですか」
なので取り出すときは、外から引っ張り出すという干渉が必要だ。外から蜘蛛の糸でも垂らしておけばいいのかもしれないが、中に入ったら認識できないくらい細くなりそうだ。
「あっ」
「主よ、何か閃きましたか」
「常に外からなにがしかの干渉をしておけばいいのよ。それに触れながら外に行こうとすれば出られるんじゃないの?」
実際にやってみた。ダメだった。
「主、やはり魔力が伴ってないとダメなように思います」
「そうかぁ・・・でも使ったのはゴーレムの腕だし、魔力は通ってたよ」
「生身の魔力が必要なのでは?」
ん? どういうこった? 体内の素の魔力と空気中の自然魔力は別物って事か? いや、生身って???
「主、魔力に誰かの意思が無いと効果が無いのだと思います」
「あっ・・・そういう事か。魔法はイメージが大事だもんね。イメージは意思の塊。であるならば外に引っ張るというイメージをゴーレムはしていないから意味が無かった、という可能性を言っているのね」
「その通りで御座います」
うん、ブラウはやっぱり私の配下だわ。主に似るんだな。
「主、どうしました」
「いや、ナンデモナイ。最近は敬語になってイイ感じだなと思って」
「メイドに習いました」
「ああ、彼女たちはレオンが主だからか。うん、良いと思うよ」
「シャルルは・・・まだ無理そうですが」
倉庫の中でフラフラ浮いている竜船2号機を見ながらブラウは呟いた。
アレはもうちょっと掛かりそうだな。
「ところで、これってさ、魔物を生きたまま捕らえたり出来るって事よね」
「・・・・・そうなりますね。やりたいのですか?」
うわっ何か不機嫌になった。
「戦闘手段の一つとして持っておこうかなって思っただけだよ。魔物を売って儲けようとか考えないわよ」
「主にはそのような事は似合いません」
「う、うん?」
何かブラウの中で明確な私の像が出来てる? 別にいいけど、今度聞いてみよう。
期待に応えられるかは別として・・・。




