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5.女の子と話せるチャンス

ハァ…ハァ…フゥ…朝投稿です。

誤字脱字、誤用などありましたら申し訳ありません。

宜しくお願い致します。



 子供が狙われていることを把握した次の瞬間、私は前方を走るアンデット達に向かって跳躍する。ゾンビは腐肉で滑る可能性もあるので無視し、スケルトンの頭蓋骨を蹴り落としながら進む。


 やはりアンデット達はスケルトンとゾンビが殆ど。


 時々ゴーストが混じっているがこちらは《浄化》を発動し優先的に天に返す。物理的な肉体を持たないゴーストの類は移動の痕跡が残らないため追跡が困難なためだ。


 アンデット集団の先頭にたどり着くと子供はもう目と鼻の先だった。

 手荒な真似はしたくなかったが、四の五言っていられない。子供の傍に着地し、スキルを発動する。


「っ!? 誰!?」


「大丈夫だから、信じて待っていてくれ」


「いきなり何____」


 会話をしている時間は無いので、《封緘》を発動し子供を保護する。これでこの子が狙われることも、魔法の余波などで流れ弾を食らう心配もない。


 突然目的の生者を見失ったアンデット達は次の目標を私に定めたのか、そのまま一斉に向かってくる。

 丁度いい機会だ。新しい戦闘スタイルに慣れるためにも、アンデット達には練習台になってもらう。


 先ずは前世と同じ戦闘スタイルであるインファイト型。

 《浄化》の代わりに《氷魔法》を発動し、拳に冷気を纏う。常時魔力での身体強化を行い、速攻を仕掛ける。


 放つのはシンプルな右ストレート。だが接触した瞬間アンデットの体が凍り付き、氷の弾丸となって吹き飛び、他のアンデットを巻き込んで凍っていった。


 触れただけで対象が凍る。しかも至近距離で発動しているのに私には殆ど冷気が感じられない。

 この特性なら氷は武器にも防具にもなり得る。


 今度は冷気ではなく氷を腕に張り付かせる。袖から覗く腕は水晶のような籠手に覆われた。


 試しに今までは殴るのを避けていたアンデットの顔面、最も危険な噛みつきを行うその口を殴り飛ばす。


 思った通り拳はおろか氷の籠手にすら傷一つなく、アンデットの頭部を爆散させた。


 今の私なら遠くから一方的に魔法で殲滅することも可能だが、やはり私には接近戦の方が性に合っている。


 体は以前のものではないが、老いた体とでは性能は雲泥の差だ。

 それどころか小回りが利く上、魔力の身体強化も合わさり全盛期の私以上の動きができている。それに純粋な速さ、一発一発の拳のスピードも段違いに早い。


 今回はいないが、遠距離攻撃を持つ敵が出現したときに、氷で壁を生やしたり、氷の弾丸で狙撃することもできるようになったことでより安定感が増した。


 死してアンデットとなり、より安全に戦えるようになったのは皮肉であるが。


 アンデットの残りも少なくなってきたので、最後に氷の武器生成と取扱いの訓練を行う。


 ゴーストは全て浄化済み。この戦闘の終わりが見えてきた。



*


「な、なんだあれ……」


 めちゃくちゃ強い。俺が思えるのはそのぐらいだった。


 あいつらにアンデットを呼び出されて必死に逃げていた俺の前に突然現れた女の子。


 初めは何でこんなところに人がいるのか分からなかったし、話しかけられた言葉の意味も理解できていなかった。しかも突然真っ黒な場所に閉じ込められてもうわけが分からなかった。


 けどよく見ると、真っ黒だと思っていた壁は少し透けていて、外がどうなっているか見られるようになっていた。


 位置的には女の子の肩のところだろうか。最初はこっちに迫ってくるゾンビやスケルトンが怖かったけど、今はもうそんな思いは吹き飛んでた。


 視界が急にブレたと思ったら次の瞬間にはゾンビやスケルトンが石コロみたいに飛んでいく。かと思えば次の瞬間ゾンビの頭がぐちゃぐちゃになってる。


 まだ少ししか時間がたっていないのに、気づけばアンデット達の数はもう少なくなっていた。


 そして女の子は武器も扱えるのか、目の前のゾンビを細切れにしていた。

 よく見るとゾンビの死体が凍っている。


 一体どんな武器を使っているのかと思っていたら、次の瞬間には目の前のゾンビとスケルトンに、キラキラした短剣のようなものが刺さっていた。使っているところはろくに見えないけど、その後も槍、鎚と違う武器を使ってる。


 ここからじゃ女の子の顔は横からしか見えない。けどあの数のアンデット相手に少しも怖がっていないことはわかる。しかも信じられないけどまだまだ余裕がある。


 あいつらのことを知ってから恐怖しかなかった。

 俺だけ逃がしてもらって必死に走って、でも後ろにたくさんのアンデットが見えて、もう駄目だと思った。


 だけど___


「この人なら……」


 目の前には希望がある。このチャンスを逃しちゃ駄目だ。


 いつあいつらが村を襲いに来るかわからない。

 だからこれが最初で最後のチャンス。


 みんなを助けてもらえるなら、俺はなんだってする。


 視界の中では女の子が大剣で残りのアンデットをまとめて切り飛ばしていた。


 まずはお礼を言わなきゃ。


 俺はこの後の、女の子との交渉をやり遂げるために覚悟を決めた。



ここまでお読みいただき、有難うございました。

感想、評価、ブックマーク等していただけたら幸いです。

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