表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/125

第20話 ガリオの実力⑨「再戦開始」

 無事に精霊(せいれい)召喚(しょうかん)できたアーノルドは、圧倒的(あっとうてき)存在感(そんざいかん)を放つ自分の契約精霊を見て、ホッと安心の息を()らした。


◇◆◇◆◇◆◇◆


 一方のガリオも自分の指定位置(していいち)に立つと、目を閉じて意識(いしき)を集中し始めた。

 そして、何万回と繰り返してきた呪文(じゅもん)を小さな声でブツブツと(とな)える。


白魔法(しろまほう)身体強化(フィジカルブースト)』!」


 すると、ガリオの体から魔力(まりょく)がブワッと()き出し、そして全身に(おお)いかぶさって消えた。

 だがよく見ると、密度(みつど)()い魔力がガリオの体をピッタリと(うす)く覆っているのが分かる。


「な、なにッ! さっきと全然(ぜんぜん)違うじゃないかッ!」


 ガリオの全身が魔法の力で強化されたのを見て、アーノルドが思わず目を見張(みは)った。

 先ほどの勝負の中で、無詠唱(むえいしょう)で使った『身体強化(フィジカルブースト)』とは、明らかに様子が(ことな)なっている。

 アーノルドの目には、人間の形をした魔力の(かたまり)がそこに存在しているかのようだった。


 魔法(まほう)には大きく3種類があり、精霊界(せいれいかい)の魔力を利用した精霊魔法(せいれいまほう)、自分の体に蓄積(ちくせき)された魔力を使って自分自身や他人に良い影響(えいきょう)を与える白魔法(しろまほう)、それとは逆に悪い影響を(およ)ぼす黒魔法(くろまほう)がある。

 

 契約精霊(けいやくせいれい)がいないガリオは、少年時代に白魔法を習ってから、毎日()かさず白魔法のみを徹底的(てっていてき)(きた)えてきたのだった。

 彼は木剣(ぼっけん)をグルグルと器用に振り回し、アーノルドに()(さき)を向けてピタリと動きを止める。


「ひとつ、お相手願おう」

「……」


 アーノルドは、何も言えずにゴクリと(つば)を飲み込んだ。

 彼は契約精霊がいないガリオを、ファイア・リザードの圧倒的(あっとうてき)な火力で遠距離(えんきょり)から攻撃していれば簡単に勝てると思っていた。


 しかし今は、ガリオが次に何をしてくるのか分からない不安で、頭がいっぱいになっていた。

 彼の(ひたい)に、冷や汗がタラリを流れ落ちる。


「はじめええええええ!」


 グラドス支部長の勝負開始の合図(あいず)が訓練場に(ひび)いた瞬間───アーノルドの目には、ガリオの姿が消えたように見えた。


(狙いはアーノルドッ!)


 ガリオは最大限(さいだいげん)強化された脚力(きゃくりょく)を使って、左から回り込むようにアーノルドに(せま)ろうとした。

 (つね)に動き回っていなければ、精霊魔法の(まと)になるだけだ。


 しかし、ファイア・リザードの()はガリオの姿をはっきりと(とら)えていた。


(───能火精(エクスシア)ッ!)


 ファイア・リザードの尻尾(しっぽ)が消えたの見たガリオは、左手を木剣に()えてその場で両足を()()った。


 ドカンッ!


 とてつもない衝撃(しょうげき)が、ガリオを(おそ)う。そして彼は、数メートル後方に吹き飛ばされた。

 動きが止まったことで、アーノルドは見失(みうしな)っていたガリオの姿を確認する。そしてすぐさま(さけ)んだ。

 

「やれええええええ!」


(まずいッ!)


 ゾクゾクッと背中に強烈(きょうれつ)悪寒(おかん)を感じたガリオは、とっさに両腕で頭を(かば)いそのまま横に思いきり身を投げた。次の瞬間───


 ドオオオオオオオオオン!


 アーノルドの叫び声と同時に、訓練場の中央が爆発音(ばくはつおん)とともに(はげ)しく燃え上がった。

 ファイア・リザードの火属性(ひぞくせい)の精霊魔法が炸裂(さくれつ)したのだ。


 ───キャアアアアアアアアア!


 ギャラリーの中にいる女性から、高い声の悲鳴が上がった。

 能火精(エクスシア)(すさ)まじい精霊魔法に、ギャラリーの皆は一様(いちよう)に驚いていた。


 すると、燃え(さか)(ほのお)の横から、ガリオが飛び出してきた。

 爆発(ばくはつ)に巻き込まれた彼は、少し(すす)っぽく黒くなっているように見える。


「うおおおおおお!」


 ファイア・リザードの精霊魔法の直撃(ちょくげき)をなんとか避けることができたガリオは、木剣をギュッと(にぎ)()めて、再びアーノルド目がけて突進(とっしん)した。

 その顔は、ファイア・リザードの強さを前にしても、まったく(ひる)んだ様子はない。


 ものすごいスピードで再び自分の契約者(けいやくしゃ)に近づこうとするガリオに、ファイア・リザードは新たな精霊魔法で対抗(たいこう)する。

 ファイア・リザードの周りに小さな火の玉がいくつも出現(しゅつげん)すると、ガリオ目掛(めが)けて飛んでいった。


 ドドドドドドドドド!


 ガリオの進行方向に、数多くの火の玉が着弾(ちゃくだん)して小爆発(しょうばくはつ)が何度も起こった。

 訓練場の中に土煙(つちけむり)が巻き上がり、視界(しかい)がまったくきかなくなる。


「やったか……」


 ファイア・リザードの攻撃が()み、土煙の中を凝視(ぎょうし)するアーノルド。

 彼はガリオが無様(ぶざま)に倒れている姿を期待(きたい)していた。だが───


 ズドンッ!


 土煙にまぎれて上空(じょうくう)に高々とジャンプしたガリオは、アーノルド───ではなくファイア・リザードの目の前に着地した。

 再びファイア・リザードの尻尾(しっぽ)が消えるが、ガリオはニヤリと笑った。


「2度も同じ攻撃()は食らわないぞッ!」


 攻撃のタイミングを読んでいたガリオは素早く身を()せると、その頭上(ずじょう)をファイア・リザードの尻尾が通過(つうか)した。

 そして、彼は木剣を左手に持ち()え、右手の(こぶし)をギューッと強く(にぎ)った。


「くらえええええええええ!」


 ()けた尻尾(しっぽ)がまた戻ってくるよりも早く、ガリオはファイア・リザードの(よこ)(つら)を思いっきりぶん殴った。


 ガンッ!


 しかし彼の拳は、ファイア・リザードの(かた)(うろこ)(はば)まれて、傷一つ付けることができなかった。

次話は、明日の夕方5時に投稿します。

第21話 ガリオの実力⑩「精霊アレルギー反応」


※「面白かった」「続きが気になる」と思って頂けましたら、評価するボタン(☆☆☆☆☆)を押してもらえると嬉しいです。レビュー、感想もお待ちしております。

※作者の連載を書き続けるモチベーションが上がります!

※毎日投稿していますので、ブックマークすると便利です

※活動報告もチェックしてもらえると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ