第8話
一週間ぶりですね、作者です。
ブクマが20件を超え良い感じです。
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
えっと‥なに?剣聖、賢者、アサシン‥
私のなかに流れ込んできたジョブはどれもこれも一度は耳にしたことがあるジョブばっかりだった。
「ふっふ~ん♪いかがですか?これだけの数の最上級職を選べるなんて、この世界でアリシアさんただ一人だけなんですよ~?クスクス‥どうです?私を崇め称えてくれてもいいんですよ?」
姿こそ見えないが絶対に今胸を張ってドヤ顔をかましているに違いない。
そういう姿を想像してしまうと崇める気も失せてしまう。
というか‥むしろイライラしてくる。
あ~はいはい、こんないっぱいうれしいな~、神様さいこ~いぇ~い。
「あ、あの‥感情が一切こもってなかった気がするんですが」
え?気のせいよ~気・の・せ・い。
棒読みで崇めと感謝を伝えると流石に不服だったのか、少しムッとした感じで返されてしまったので軽く流しておく。
でも、ホントにこんないっぱいあると迷っちゃうわね‥
2つジョブを持ったりとかって~
「ダメに決まってるじゃないですか!!」
あはは‥やっぱりそうよね~
剣聖と賢者を同時に取得できたら最強になれるんじゃないかと思ったけれどやはり無理だったようね。
一つ一つ目を通していくなか、数あるなかで一つだけ奇妙なものを見つけた。
この???っていうのはなんなの?
「ふっふっふ~‥よくぞお気づきになられましたね~。気が付かずスルーされたらどうしようかと思ってましたよ。」
気がついてほしかったのなら先に言ってくれれば良いのに‥
「そんなことしたら面白くないじゃないですか~」
あのね‥人の一生背負って生きるものを決めるときに面白いも何もないでしょうが‥
「ま、まぁまぁ‥そ、それでですねその???っていうのはEXジョブがランダムに選らばれるようになってます。」
ふ~ん‥見た感じEXジョブが項目になかったのはそのせいってわけね?
「もともとEXジョブっていうのは私達が産み出したものではありません。人々が何代も産まれ過ごしているなかでたまたま私達が造り出したジョブの枠を外れて産まれたのがEXジョブなんです。」
‥‥そういうことだったの
「その???を選択した場合、恐らくあなたに一番適したEXジョブが与えられるはず‥ではあるのですが、なにぶん私が作ったものではないので何が出てくるかは私でも皆目見当もつきません。」
面白そうね、別に最上位職にこだわりはないし‥
せっかく自分だけのジョブがもらえる可能性があるなら、選択肢はこれしかないわね。
「あなたならそう言うんじゃないかって思ってましたよ。こほん‥では早速貴方にジョブを授けます。心の準備は良いですか?」
構わないわ。
私の返事を聞いたベルフは一拍置いてから先ほどまでの雰囲気とは違いとても真剣そうな口調で語り出した。
「女神ベルフの名のもとに汝に運命を授けます。」
その言葉と共に私の中に並べられていた???以外の項目がパキン‥パキン‥と音を立てて消えていく。
そして最後に???という項目だけが私の中に残る。
「汝の運命‥今ここに照らせり」
ベルフの言葉の後に先ほどまで???だった項目が様々な文字に切り替わり始めた。
そしてガチン‥という音と共に一つ一つ文字が決まり、最終的にある言葉が完成する。
耳‥掻き‥師?
「はい、あなたのジョブは耳掻き師に決定致しました!!初発掘の新ジョブですよ?」
‥耳掻きって‥あの耳掻きよね?
「はい♪」
な、何で?これが私に一番適したジョブだっていうの?
不服というよりはむしろ驚き‥
耳掻きなんて自分でしかしたことないし、それに数えるぐらいしかやったことなんてないはず。
「ずいぶん驚いているご様子ですけど、本当に自身に適しているもの‥というのは自分でもわからないものなんですよ?」
ベルフの言うことはとても哲学的ではあるけどわからなくはない。
自分でこれが合っていると思っていざそういう職場に行ってみると全然自分に合ってなかったりとかね。
そう‥よね
「ではでは、耳掻き師のジョブに必要な道具をあなたに授けますね。アイテムボックスの中に入れておきますよ?」
1つ聞きたいんだけど‥耳掻き師に必要な道具って‥
「決まってるじゃないですか~耳掻き棒と綿棒です。あっ、大丈夫ですよ?ちゃんと耳掻き棒には梵天も付いてますから。」
そ、そういう心配をしてたわけじゃないんだけど。
「これでよしっ‥ちゃんと入れておきましたよ~。後で確認しておいてくださいね?」
わかったわ。
「ではでは!!私はしっかりと務めを果たしたのでそろそろ失礼します。あっ‥もしまた私に会いたくなったら教会にいらしてくれれば会えますからね?」
気が向いたらね?
「そういう風に言ってても~絶対に会いに来てくれるんですよね~♪アリシアさんってそういう人ですもん。あっちの世界で言うところのツンデレってやつですもんね?」
う、うるさいわね‥ツンデレじゃないわよ。
「クスクス‥では怒られないうちに退散します。あなたの人生が良い方向へと向かうことを祈っています‥ではまたこの世界のどこかで‥」
ベルフが言葉を言い終えた直後世界に時が戻った。
まったく‥最後の最後までおちょくられたわね。
次会ったら絶対仕返ししてやるんだから。
と、ベルフに対して怒りの炎を燃やしていると‥
「アリシア殿‥これであなたに天恵が下ったはずです。ステータスを確認してみて下さい。」
「えぇ、わかったわ。ステータスオープン」
神官の言うとおりステータス画面を開いた、すると今の今まで空欄だった職業の欄に確かに耳掻き師と書かれている。
「いかがですか?」
「しっかりと書いてあるわ。私のジョブがね‥」
「おぉ!!それではここにいる皆様にご発表下さい。」
会場にいる皆の視線が一気に私に降り注ぐ。
余程みんな私のジョブが気になっているらしい。
そんな様子を見て私はあることを思い付いてしまう。
‥このままただただEXジョブになったって、素直に発表するのも悪くないけれど‥
それじゃ、面白くないわね。
せっかくこの家での最後の行事だからもっと皆の心に深く‥深く今日という1日が残るように刻み込んでやりたい。
なら、やっぱりあれしかないわね。
あることを心に決めて私は皆の視線が集まるなかで話し始めた。
「私が授かったジョブは‥」
私が話し始めると会場のみんながゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえる。
心臓が早鐘を打つ音も聞こえてくるかのよう‥
そんな緊迫した空気の中私は授かったジョブを発表した。
「剣士よ。」
ついに決まりました。
いや~耳掻き師なんて予想がつかなかったな~‥
な~んて人は誰一人いなかったと思います。
それでは次回をお楽しみに。