表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/40

第7話

はい、第7話にしていよいよ聖職の儀が始まります。


「お嬢様‥聖職の儀の用意ができました。」


扉の向こうからそうニーナの声がする。

どうやら時間のようね。


「わかった、今そっちに行くわ」


もうこの部屋のものはあらかたアイテムボックスにしまいこんだし‥思い残すことはないわね。


「い、いよいよですね‥お姉様。」


「そうね~‥ってなんであなたが緊張してるのよ?」


ごくりと生唾をのみながらガチガチに固まっているミラ‥


「だってお姉様のジョブがこれから決まるんですよ!?そりゃあ緊張もしますよ~」


「そ、そういうものかしら‥」


まぁ、そんなものなんだと今は思っておこうかしらね。

正直ジョブなんて何でもいいし‥


「さて‥神官を待たせるわけにもいかないし、そろそろ行きましょ?」


「そ、そうですね!!」


ミラと共に部屋を出るとニーナ達メイド一行が私達を待っていた。


「それではお嬢様‥参りましょう。神官様方はもう既にお待ちになっております。」


「えぇ、行きましょ。」


そしてニーナ達に連れられ聖職の儀を行う部屋へと向かう。

さてさて‥どんなジョブになれるかしらね。

内心少しウキウキしながらも、期待しすぎないように自分を落ち着かせながら廊下を進む。


「お嬢様はこちらです。ミラ様は別の入り口がございますので‥こちらへ」


「わかりました!!お姉様‥ではまた」


「えぇ、またこの中でね。」


ミラはメイドに連れられ別の入り口の方へと向かった。


「それではお嬢様‥中へどうぞ。」


「神官の前で跪けばいいんだっけ?」


「はい、後は神官様が神様からのお言葉を聞いてお嬢様にお伝えするはずです。」


「そう‥わかったわ。」


さてさて、それじゃ行きますか。

扉の前に立つとメイドが扉を開けた。

一歩中へと踏み出すと私の聖職の儀を見に来た来賓の人達が拍手で私のことを出迎える。

拍手の音に包まれながら前に進み、私は神官の目の前で跪いた。


「それではこれよりアリシア・モドレット殿の聖職の儀を執り行います。」


神官がそう述べると拍手が止み、静寂が辺りを包んだ。

そして静かになったことを確認した神官は続けて言う。


「神よ‥彼の者の運命を‥指し示したまえ。」


天に向かい神官が祈りを捧げた。

目を閉じて静かにジョブを与えられるのを待っていると‥私の頭の中に声が響いた。


《アリシア‥聞こえますか?》


思わず誰‥と声を出しそうになったが、体をピクリとも動かすこともできず、声を出すこともできない状態になっていた。


《私の声が聞こえるのなら心の中で返事をしてください。》


き、聞こえるわ。


頭の中で響く声に従い心のなかで返事をする。

すると‥


《よかった‥聞こえているようですね。》


あ、あなたが神なの?どうして私の体は動かないの?


《1つずつ質問に答えましょう。まず私が神なのか‥という質問に答えましょうか。初めまして‥ではないのですが、念のため自己紹介をしましょうか‥私はベルフ、生と魂を司る神です。》


ベルフ?そんな神様なんて聞いたことないわ。


勉学では神のことについても学んだが‥ベルフなんて聞いたことも書物で見たこともない。


《そうでしょうね。あなた達人間が信じている神は偶像の産物‥つまり実在はしていないのですから。》


じゃ‥じゃあこの聖職の儀はどう説明するの?

これだって職業を司る神様がそこにいる神官に神託を与えるんじゃないの?


《あなた達の間ではそのような解釈になっているようですが‥本当は違います。そこにいる神官には神託も何も下ってはいないのですから。》


そ、それじゃあこの儀式でジョブは誰に与えられてるっていうの?


《よいですか?人も魔族も‥皆運命は決まっているのです。この世界の常識になっているこの儀式ですが、これはもともと私に決められたジョブになるための単なる解放条件にすぎません。あなた達人間がジョブを得るための条件‥それは18歳を迎えた後、神官の前に跪く。すると自動的にステータスにあらかじめ決められたジョブが表示され、そのジョブに見合った装備、能力を得ることができるのです。》


‥‥


衝撃の事実に思わず黙りこんでしまう。

そしてその事実を踏まえた上で私は神を名乗るその声に質問をした。


じゃあ‥ミシェルお姉様のジョブもあらかじめあなたに決められていたってこと?


《そういうことになりますね。》


どうして!!なんであんなに強くて優しい人が()()()剣士だったのよ!!


私は今まで心のどこかにつっかえていたその疑問を、声の主‥ベルフにぶつけた。

そして返ってきた答えに耳を疑った。


《何か勘違いをされているようですが‥あなたの姉は剣士なんてジョブではありませんよ?》


えっ?ど、どういうことなの!?

だ、だってあのとき間違いなくお姉様は剣士‥って


あのときの出来事を思い出していると1つ引っかかる事があることに気が付いた。

あのとき‥お姉様のジョブを確認した人物は一人もいないということに、あのときただ口頭で剣士とお姉様は言っていた。

みんなそんなわけはないって疑っていたけど‥誰一人としてお姉様のステータスを見た人はいない。

まさか‥家を出るために自身のジョブを偽ったの?


《どうやら気が付いたようですね。あなたの姉の本当のジョブ‥それは‥あなたが自分で会いに行って聞いてみるといいでしょう。》


いわれなくてもそのつもりよ。


《そうでしたか、ではそろそろ二つ目の質問に答えましょうか。なぜ今あなたは動けないのか‥それはあなたの思考以外の時が止まっているからです。ちなみにですが‥あなたは以前一度これを経験しているのですよ?》


‥さっきから初めましてじゃないとか、以前経験してるとか‥いったいどういうことなのかしら?全然わかんないんだけど?


《‥あの、思い出せませんか?》


何も思い出せないけど?


少し焦ったようにベルフは言った。

思い出すも何も‥こんな経験初めてだし‥


《思った以上にこちらでの記憶の癒着が激しいようですね。では少し強引ですが‥》


ベルフがそう言った後私に異変が起こった。

頭の中に何かがたくさん流れ込んでくる。

見たことのない大きな建物や、綺麗な景色‥様々なものが流れ込んでくる。

そして最後‥強烈な光と汽笛のような音に包まれた後それは止まり、私は全てを思い出した。


《思い出せましたか?天音(あまね) 嶺流(ねる)さん?》


‥ようやく思い出したわ。

私、あなたに無理矢理ここに転生させられたのね。


《無理矢理なんて‥人聞きが悪いですよ?確かにあなたは転生を望んでませんでしたけど‥私にだって人を幸せにする義務がありますしぃ》


はぁ、人を幸せに‥ねぇ?

事実ここに不快感を感じてる人が若干1名いるんですけど?

それはどう説明するのよ。


《えぇ~?どこですか?私には見えませんね~‥ほら、みんな幸せそうじゃないですか。》


ここよ!!こ~こッ!!

もっと言ってあげようかしら!?

私よ!!わ~た~しッ!!


《ホントですかぁ?少なくとも私にはアリシアという1人の人間は人生を楽しんでいるように見えましたけどねぇ?》


う‥そ、それは


確かにアリシアとしての私は人生に幸福を感じてはいた。

ミラという親友もいるし、家から出ていくことも決まったし‥

もうそれはそれは‥幸せだったような気がしないでもない。


《ほ~ら!!やっぱり幸せなんじゃないですか~♪ねぇ?前世では友達1人できませんでしたもんねぇ~?》


う、うるさいわね!!

前世と今は違うでしょ!!


《まぁまぁ、そんなに恥ずかしがらずに~‥あっととそうそう!!忘れるところでした。そろそろあなたのジョブの話をしないといけませんね。》


はぁ‥もう突っ込むのも疲れたわ。


私が記憶を取り戻したことで調子に乗り始めたベルフに少しあきれてしまう。


《実はですね~嶺流さ‥あいやアリシアさ‥えっとどっちで呼べばいいです?》


アリシアでいいわよ‥せっかくこっちでもらった名前だし。


《わかりました~。ではアリシアさん、実はあなたにオススメのジョブが何個かあるんです。それがこちら!!》


そしてベルフがパチンと指をならすと私の頭の中にいくつかのジョブの名前が流れ込んできた。

次回いよいよジョブ決定!?

てかまぁ‥もうタイトルでねぇネタバレがされてる気が‥

まぁ気のせいでしょう。

お楽しみにお待ちください。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ