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第34話

34話目 切っても切れない縁、皆さんは感じたことがありますか?

美味しいお菓子も食べたし‥‥聞いちゃいけないような話も聞いたし、美味しい紅茶も飲んだからそろそろお暇しようと席を立ち上がるとレイラが指を加えて寂しそうな目でこちらを見つめてきた。


「あら‥‥もう行っちゃうの?」


「もう十分ご馳走になったしね。お代はいくら?」


「もっとゆっくりしていってもいいのに~‥‥まぁいいわ。あと、お代は今日はいらないわ。もう十分アリシアちゃんから貰ったから。」


どういうことだろうと首をかしげるとレイラは指をペロリと舐める仕草をして見せた。その仕草で嫌でもアレを思い出してしまい、全て理解した。

私のとなりでミラが私も欲しかった‥‥とぼやいている。


「はぁ‥‥そう。わかったわ、じゃあそういうことにしておくわね。ミラ、エル、行くわよ?」


「レイラさんっまた来ますねっ!!」


「僕もまたプリン食べに来るよ!!」


「ふふふっ♪その時を楽しみにしておくわね?それじゃあ‥‥またのご来店をお待ちしてま~す♪」


にっこりと悪魔的な笑みを浮かべるレイラに見送られ、私達はレイラの喫茶店を後にした。

そして三人で歩いている途中‥‥


「はぁ‥‥ひっさしぶりに人に振り回された気がするわ。」


「えへへ、お姉様の珍しい姿を見れて私は至極眼福でしたっ!!」


にやけ顔で口角を歪めながらミラは嬉しそうに言った。

なんだかミラがもっと大人になったらレイラみたいにちょっと危ない女の人になりそう‥‥。できるならあんな風に歪んでほしくはないわね。


「そういうこと言ってると嫌いになっちゃうわよ?」


冗談交じりでミラにそう言うと、ぴたりとミラの歩みが止まる。


「あ、み、ミラ?」


後ろを振り返りミラの名前を呼ぶと、眼のふちに大量の涙をためたミラが必死に私に縋り付いてきた。


「き、嫌いにならないでください!!お願いです~っ!!お姉様に嫌われたら私死んじゃいまずぅぅぅ!!」


わんわんと泣きながらミラは必死に私に縋り付き、まるでこの世の終わりのような表情を浮かべながら懇願してくる。まさかこんなことになってしまうと予想だにしていなかった私はミラの様子に焦りながら、冗談だとなだめた。


「ちょ‥‥ミラ!?冗談っ冗談だから落ち着いて?」


「ぐすっ‥‥ほんとですかぁ?ほんとに私のこと嫌いになりませんかぁ?」


「大丈夫だから、安心して?ねっ?」


必死の説得で何とかミラは泣き止んでくれた。今はまだ裏通りで人通りがなかったからよかったものの、もしこれが大通りとかで人が大勢行きかう場所だったら‥‥そう思うと震えがくる。

これからはミラにうかつに冗談で嫌いになるとか言わないようにしよう。一つ勉強になったわね。


そして何とか大通りに出てくると、何やらいつもよりもがやがやとにぎわっていた。何があったのかと聞き耳を立ててみると‥‥


「おい、聞いたかよ?ついに王都でアレが開催されるらしいぜ?」


「あぁ、一生に一回見れるか見れないかの一大行事だ。もちろん見に行くだろ?」


「あったり前だ、それに可愛いらしい勇者様も拝めるしな。」


などなど様々な声が聞こえる。勇者っていう言葉に王都で何かが開かれるって話を聞く限り‥‥間違いなくアレね。


「どうやら王都で勇者のパーティーの選抜闘技大会が開かれるみたいね。」


これを待っていた。この大会でミラたちと一緒に頑張れば‥‥みんなで一緒に魔族領に行ける。そうすれば、魔族領へと行ったミシェルお姉様の行方も分かるかもしれない。


「となれば‥‥明日にでも王都に向かわなくちゃいけないわね。」


「アリシアお姉さんこれに出るの?」


「えぇ、皆で出るわよ。」


「僕でも大丈夫かな‥‥」


と、不安そうにつぶやいたエルの頭に私はポンと手を置いて言う。


「大丈夫よ、この大会はチーム戦だからみんなで頑張りましょ?」


そう、この大会は最大5人までのチーム戦で行われる。だからみんなで協力して勝ち進めばいい。スラちゃんを入れれば私たちは4人。ほとんどのチームは5人で来ると思うけど私たちの力なら大丈夫。

チーム戦ということをエルに伝えると途端に表情が明るくなった。


「う、うんっ!!」


「じゃあ明日の朝一の便で王都に行くから‥‥ミラもエルもそのつもりでね?」


この街からだと結構王都までは長旅になるだろうから、明日の朝一の馬車で王都に行きたい。王都に着いてからもやることが結構あるからなるべく早く着いておきたいし‥‥。

と、明日の予定を組み立てていると、急に耳元で囁かれた。


「ふふふっ♪面白そうな話をしてるわねアリシアちゃ~ん。」


「ッな!?な、なな‥‥なんであなたがここにいるのよ!?」


バッとすぐに後ろを振り返ると、そこにはさぞかし面白そうに笑みを浮かべたレイラがいた。


「まぁまぁそんなことよりも~、その大会に参加するのには人数が一人足りないんじゃないの~?」


まるで私の心を読んだようにレイラは言う。もしかしたら本当に読めているのかもわからない。


「私が一緒に出てあげよっか?」


「‥‥いったい何を考えてるの?」


レイラが何を考えているのかはわからないけど‥‥正直これ以上に美味しい話はないのよね。だってレイラが私たちのパーティーに入ったらそれこそ本当にあっさり優勝だって夢じゃない。より確実に魔族領へ行くための切符を手にするためにはこの提案を受け入れたい。でも本当に大丈夫かしら?

突然のレイラの提案に疑心暗鬼になっていると‥‥。


「レイラさんが一緒に戦ってくれたらもう優勝確実ですねっ!!頑張りましょう!!」


「も~任せてちょうだい?お姉さんちょっと本気出しちゃうから♪」


ミラとレイラの間で話が進み結局レイラが私たちのパーティーに加わることになった。


‥‥‥本当に大丈夫かしら?


何を考えているのかわからないレイラがパーティーに加わることに不安しかないけど‥‥まぁ決まってしまったものはしょうがない。でも下手に断ったら何をされるかわからないし、今はプラスに考えておこうかしらね。

それでは来週のこの時間にお会いしましょ~

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