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第30話

30話まできてしまいました。

こっちの方も少しずつ改稿を進めたいなと思っている次第です。

エルに合うように調節してもらった鉤爪を購入し再び、私たちはギルドへと足を運んでいた。飲み物を飲みながら依頼書に目を通していると‥‥


「あぁ‥‥まだこの依頼残ってたのね。」


大量にある依頼書の中に私たちがついこの間受けた依頼がいまだに残っていた。まぁ、これはパスね。もう受ける必要がないし‥‥


「こう、あれですよね。ゴールドランクの冒険者になってから受けられる依頼は増えましたけど‥‥ちょっとありすぎて迷っちゃいます。」


私と一緒にいい感じの依頼書を探しているミラも大量の依頼書を前にほとほと疲れ果ててしまっている様子。


「ホント何が良いかしら‥‥多分ある程度強い魔物じゃないとエルの相手にはならないと思うけど、そんなに都合よく強い魔物の依頼がある訳じゃないしね~。」


話を聞くところによればどうやら強い魔物の依頼というのは優先的に消費されていってしまうらしい。だから普段はそれほど強い魔物の依頼が依頼書にあることはほぼないのだとか‥‥。

そして若干億劫になりつつもすべての依頼書に目を通し、パタンと依頼書が挟まれているファイルを閉じる。


「う~ん‥‥良さそうなのが無いし、今日は諦めるしかなさそうね。」


良い依頼が無いとわかってか、隣に座るエルの表情がしゅんと沈む。

落ち込むエルの頭にポンと手を置き、私は言った。


「何も落ち込むことはないわ?相手になるような魔物の依頼はなかったけど、それならそれで私がエルの相手を務めれば良いだけの話よ。」


「えっ!?アリシアお姉さんが相手してくれるのっ!?僕そっちの方がいいっ!!」


私が相手をしてあげる‥‥とエルに告げると、先ほどまでの落ち込んでいた表情からうって代わり、とても嬉しそうな表情を浮かべた。

弱い魔物と戦うよりも私と戦ってみた方がエルにとって良い経験になるだろうしね。


「さて、それじゃ場所を移しましょ?できれば広くて‥‥人の通りが無いところが良いわね。」


エルの鉤爪の練習をするために私たちはギルドを後にした。





そして場所は移り、私達は街道から少し離れたところにある木も岩もないただ、少し背の高い草が生い茂っている平原へとやって来ていた。


「うんうん‥‥ここなら人も来ないだろうし、広いからエルが全力で動いても大丈夫そうね。さっ、エル?さっきの鉤爪装備して?」


「うん!!」


まだ慣れない手つきでエルは自分の手に鉤爪を装着し始める。まぁこれは何回も着けたり外してたりしてれば自然と早くなるわね。

そして少し時間はかかったが、何とか鉤爪を装着したエルに私は声をかける。


「それじゃエル、今日のあなたの目標を発表するわ。」


「僕の‥‥目標?」


「そっ、目標。何か目標が無いと稽古する意味がないでしょ?だから私とこうやって一緒に稽古する時は、私が指し示した目標を達成することを意識しなさい?」


目標があるかないかだけで成長の幅は違う。私に剣を教えてくれた人がよく言っていた。


「わかった。」


「それじゃ今日のエルの目標は‥‥私に()()()()()()()()よ。今日は私に剣を抜かせたら特訓はおしまい。わかった?」


今日の目標をこれにしたのには一つ理由がある。その理由はエルの武器であるスピードは動きが直線的で読みやすいこと。いくらスピードがあっても当たらないとどうしようもない。


「うん頑張るよっ!!」


カチャ‥‥と鉤爪を鳴らしエルは独自の構えを取る。


「遠慮せずおもいっきり来なさい?じゃないと私に剣を抜かせることはできないわ。」


そしてエルはぐっと足に力を込め、私に向かって一直線に突撃してきた。


「いよっ‥‥」


「ッ!!まだまだっ!!」


半歩動いてその突撃を回避すると、エルは先程武器屋で見せたように更に加速して切り返し再び鉤爪を振りかざしてくる。

でも、いくら速くなろうが今のままじゃ私に攻撃は掠りもしない。その理由に気が付けるか‥‥が今回の特訓の肝となる。

そしてある程度エルの突撃を回避していると、エルの動きに変化が現れた。


‥‥少し厄介になってきたかしら。


というのも、直線的だった攻撃が少しずつ方向性をコントロールできるようになってきているようだ。恐らくは加速している最中体を捻っているのだろう。今まで当たる気配すらなかった攻撃が少しずつ私に近づいてきているのを肌で感じる。

そして‥‥エルが再び切り返しを行ったのを確認し、回避行動に移ったとき、それは起こった。

回避をしている最中今までと同様にエルの姿をとらえるために切り返しを行った反対側へと目を向けると、そこにエルの姿はなかった。


「ッ!?」


ぞくり‥‥と背筋を冷たいものが駆け巡り、足元に目を向けると限界まで体勢を低くし既に私へ向けて鉤爪を振り抜き始めているエルがいた。どうやら私の目の前で急停止し、フェイントを仕掛けていたようだ。

回避は間に合わないと踏み咄嗟に腰に提げていた剣を抜き放ちエルの鉤爪を受け止める。


「~~~っやった~!!」


私に剣を抜かせ、目標を早くも達成したエルはぴょんぴょんと跳び跳ねながら喜ぶ。


「合格‥‥ね。頑張ったわねエル?」


「えへへ‥‥上手くいってよかった。」


攻撃の軌道を変えてくるのは予想がついたけど、まさかあのスピードで急停止もできるとは思ってもいなかった。


「さて、じゃあ稽古の後は甘いものでも食べに行きましょっか。」


稽古の後は甘いものを食べてリフレッシュと相場が決まっている。久しぶりにこの後の時間はゆっくりできそうだし、今後の予定でも話し合いながら過ごしましょ。

遠くで見物していたミラ達と合流し、再び街へと甘いものを求め帰還するのだった。

それではまた来週の日曜日にお会いしましょ~

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