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第28話

少しですがスランプを克服できたような気がします。少しでも良い文章になっていれば幸いです。

自分の周りに出来上がったクレーターをきょろきょろとまるで子犬のように見渡しているエルのもとに歩み寄ると‥


「あっ‥あ、アリシアお姉さん僕どうなっちゃったの!?」


「それは後でちゃんと説明してあげるわ。今はそこのおじさんに勝ったことを喜んだらいいんじゃないかしら?」


驚きを隠せずにいるエルの頭をぽんぽんと撫でていると、ずんずんと地を踏み鳴らしながら例のおじさんがこちらに近づいてきた。


「おいっ!!マジで死ぬとこだったぞ!?」


「あら?それは私の忠告を聞かずにあえて挑発っていう悪手を選んだあなたの責任じゃないかしらね?」


「~~っ」


まさにぐうの音も出ないといった様子のナジル‥まぁもし大地があんなに割れたりしなければ反撃の余地はあったかもしれないけど‥それでも‥‥ねぇ。


「ったく‥お前らはいってぇどうなってやがんだ?たかが踏み込みでこんなクレーター作り上げたり、軽く俺の剣を真っ二つにしたり‥」


「私たちなんてその辺にいる一般の冒険者よ。」


「おいおい‥‥少なくとも俺のことを息も切らさずに倒すやつらを一般の冒険者とは言わねぇぜ?」


「あら、同じようなセリフを前に誰かに言われた記憶があるわね‥」


ナジルの言葉にいまだあの屋敷で働いているであろうニーナの姿が思い浮かぶ。元気でやってるかしらね~、アッシュの世話で疲れてなきゃいいけど‥

ニーナのことを思い出していると、ごそごそとアッシュがポケットから何かを取り出しこちらに差し出してきた。


「おら、そこの嬢ちゃんの新しいギルドカードだ。」


そう言ってナジルが差し出してきたのは私たちと同じく金色に輝くエルのギルドカードだった。


「ずいぶん準備がいいわね?」


「へっ‥お前さんの連れだって聞けばな、そりゃあ準備しとくぜ。」


ナジルからエルのギルドカードを受け取った私は、エルと同じ目線に腰を下ろしてそのカードを手渡す。


「はいエル?あなたの実力が認められた証明よ。」


「エルちゃん私たちとおそろいだねっ」


「お姉さんたちとおそろい‥」


「そうよ、ほら。」


私とミラは自分が持っている金色のギルドカードを取り出してエルの前にかざしてみせた。するとエルは自分がもらったカードと私たちのカードを何度もみてうれしそうな表情を浮かべている。


「えへ‥えへへ‥すごい嬉しいな。大事にするよっ!!」


にっこりと笑いながらエルは金色に輝くカードをぎゅっと大事そうに抱きしめた。さてさて、これでエルも私たちと一緒に依頼をこなしたりできるわね。後は‥


「さてじゃあエルの実力を認めてもらったことだし私たちそろそろ行くわ。」


「あっおい!!ちょっと待ってくれ」


闘技場を後にしようとしたとき急に後ろからナジルに呼び止められた。


「何かしら?」


「お前らの力を見込んでちょっと依頼したいモンがあるんだが、ちょっと顔貸してくんねぇか?」


「それって私たち以外のゴールドの冒険者じゃダメなの?」


「ダメだ、限りなくプラチナランクに近いお前らじゃねぇとこの依頼はこなせねぇ。」


ふぅん‥‥まぁ聞くだけ聞いてみてもいいかしらね。それだけの依頼なら報酬もそれなりだろうし‥‥その代わりかなり危険そうな依頼っぽいけど‥‥


「わかったわ。」


「助かるぜ、ほんじゃ酒場で詳細を説明させてくれ。」


「そういうのって普通はあなたの部屋の中でやるのが普通じゃないの?」


「バーロー、酒飲みながらじゃねぇとやってらんねぇぜ。それに今日はそこの嬢ちゃんとやるために素面だったんだからよっ!!おら行くぞ~」


がはは‥と高らかに笑いながらさぞかし楽しそうにナジルは酒場のほうへと向かっていった。


「はぁ~‥あんなのがギルド長なんてここの受付嬢たちも大変ね。」


まぁでもほかの従業員の人たちも楽しそうに働けてるのは彼の性格が故なのかもしれないわね。それはそれで好循環なのかも?


「にしても私たちじゃないと受けられない依頼ってどんな依頼ですかね~?」


「僕も気になるっ!!アリシアお姉さん早く行こっ!!」


「そうね、早いとこ行きましょっか。」


先に向かってしまったナジルを追いかけるように私たちは闘技場を後にして酒場へと向かう。そして酒場に着くとナジルがすでにエール片手に料理をつまみながら私たちを待っていた。


「おぅ!!遅かったじゃねぇか、先におっぱじめてたぜ?」


「はぁ、酔っぱらうのはあなたの勝手だけど‥ちゃんと仕事はしてよね?」


「わかってらぁ、まぁまずこいつに目を通してくれ」


ナジルは私たちの前に一枚の紙を置いた。彼に言われた通りそれに目を通すと‥


「えっと?なに‥‥これ新聞?」


ナジルに手渡されたのは新聞の一片だった。そこの見出しにはとんでもないことが書いてあった。


「洞窟探索に行ったゴールドランク冒険者パーティー戻って来ず?」


「そういうことだ。」


「これだけじゃ何とも言えないわ、もっと詳細な情報がないと‥」


「まぁ焦んなって、順を追って話してやる。」


ナジルの話によると数日前この街から少し離れた森の中に地中深くへと続く洞窟が急にできたらしい。それでこの街で、ある程度名前が売れていたゴールドランク冒険者のパーティーにそこの探索を依頼したらしいのだけれど‥‥この新聞にも書かれている通り何日たっても戻って来ないということらしい。


「‥‥なるほどね、で私たちに依頼したい依頼っていうのは‥この戻って来ない冒険者の捜索と、できるならこの洞窟の中の詳細を見てくること‥って感じかしら?」


「物分かりがよくて助かるぜ、つまりはそういうことだ。」


「で、報酬は?」


「プラチナランク確約ってのじゃダメか?」


「まぁそれでいいわ。お金とかには困ってないし、それでもし‥‥不幸にもその冒険者パーティーが洞窟の中で死んでいたら?」


私がその疑問をナジルに問いかけると彼は酒を飲む手を止め真剣なまなざしで言った。


「その場合はそいつらの遺品を回収してきてくれると助かる‥‥身につけていたものならなんでもいい。」


「わかったわ。それじゃ準備があるから私たちはもう行くわね。一刻を争いそうだから依頼書にはそっちで勝手に私の名前をサインしてて構わないわ。」


私たちはナジルからの直接の依頼を受け、ギルドを後にした。そしてある場所へ向かっている途中ミラが私に話しかけてきた。


「あ、あのお姉様?」


「うん?どうしたの?」


「今ってどこに向かってるんですか?」


「ミラのあの剣を買った武器屋よ。エルにも武器が必要でしょ?」


「えっ!?僕に‥武器?」


首をかしげるエルに私はぽんぽんと頭を撫でながら言った。


「そうよ、エルはどんな武器が使いたい?」


「うーん‥僕そういうのあんまりわかんないや。」


まぁ本来自分の爪や牙で戦っているのが獣人族だから武器になじみがないのもうなずけるわね。まぁ、あの店主ならエルにも合うような武器を選んでくれると思うわ。

そしてあの武器屋についた私たちはゆっくりと扉を開けて中に入った。

次回エルの武器調達?お楽しみに‥‥

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