表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/40

第25話

ワーウルフを撃退したアリシア達をみた少女は何を思うのか‥‥それは読んでからのお楽しみ

手を繋いでいる少女が唐突に口を開いた。


「‥‥‥‥すごい」


「えっ?」


「お姉さんたちすごいよっ!!ワーウルフの群れを一瞬で倒しちゃったっ!!」


突然少女ははしゃぎ始め私たちに羨望のまなざしを向けてくる。そして少女はふと疑問に思ったのか私にある質問を投げかけてきた。


「あ、あの‥お姉さん達ってレベルいくつなの?」


「ふふっ、どれぐらいだと思う?」


そう問いかけると少女はうーんと考え込んだ末一つ答えを出した。


「えっと50‥‥ぐらい?」


「ふふっハズレよ。」


「えっ!?じゃ、じゃあ60ぐらい?」


「少し近づいてきたわね~」


それから70、80、90と少女は数字を言っていき、そしてついにあの数字にたどり着いてしまう。


「じゃ、じゃあお姉さんは‥‥99‥なの?」


「ようやく正解にたどり着いたわね。」


「ほ、ホントにレベル99なの!?」


()()()()


信じられないといった感じの表情を浮かべる少女に私は自分のステータス画面を共有した。それを見た少女はあまりに衝撃だったのか口を押えて固まってしまった。


「ほ、ホントにレベル99‥‥。」


「ねっ?ホントだったでしょ?」


「うん‥‥」


一つ頷いた少女は少しの沈黙の後、何かを決心したように私の目をまっすぐに見つめて口を開いた。


「あ、あのっ!!」


「うん?どうしたの?」


「お姉さんにお願いがあるんだけど‥‥いい?」


「いいわよ、何でも言って?」


「じゃ、じゃあっ‥‥ぼ、僕を強くしてくださいっ!!」


私の前で少女は勢いよく頭を下げる。なんか訳ありみたいね‥獣人のこの子がここにいる理由と関係があるのかしら?ひとまず理由を聞いてみたほうがよさそうね。


「‥‥強くなりたい理由を聞いてもいいかしら?」


「僕‥どんなに頑張ってもレベルが1から上がらなくて群れを追い出されちゃったんだ。」


「それでここまで迷い込んじゃったのね?」


「うん‥」


大体の事情は察した。獣人の世界では強さこそがすべてというのを文献で読んだことがある。この子の境遇を聞く限りそれは本当のことだったみたい。それにしてもこんな小さい女の子にひどいことするわね。

追い出された時のことを思い出したのかしゅんとする少女の頭に私は手をのせて言った。


「安心して?私たちはあなたを追い出したり見捨てたりしない。それにちゃんとあなたのことも強くしてあげるわ。」


「ほ、ホント!?僕でもお姉さん達みたいに強くなれるかな‥」


「大丈夫、私を信じて?レベル1の壁なんてす~ぐ打ち破れるわ。」


なんせ私にはあのスキルがあるし‥大丈夫よね。


「さてさて、じゃあ改めて‥‥自己紹介をさせてもらうわね?私の名前はアリシアよ」


「私はミラですっ!!」


「ぼくすらちゃん!!」


私に続きミラ、スラちゃんが自己紹介を終える。


「ぼ、僕はエル‥‥よ、よろしくお願いしますっ!!」


「よろしくねエル?」


「エルちゃんよろしくです~」


「えるっ!!よろしくっ!!」


こうして獣人のエルが私達の旅の仲間に加わった。一先ず無事保護できたってことに一安心ね。

でもまだ一つ問題が残っている。


「それじゃ次はエルが獣人ってバレないようにしないといけないわね。」


そう、残る問題はエルの姿をどうにか隠さないといけない。人間の国に迷い混む獣人は珍しいが、いないわけではない。だが、その大半が見つかり奴隷として売られていく末路を辿っている。

もしエルが獣人だということが公に知られれば間違いなく狙われる。私達が常に見張っていれば大丈夫だとは思うけれど万が一ということがある。


「でもお姉様、どうやってエルちゃんの耳とか尻尾とかを隠すんです?服じゃちょっと無理だと思いますよ?」


「大丈夫、それもちゃんと考えてるわ。スラちゃん、水魔法のミラージュ使えるわよね?」


「つかえるっ!!」


「じゃあエルの体を私達と同じ感じにしてくれない?」


「まかせるっ!!」


そしてスラちゃんがぷるぷると体を震わせるとエルの目の前に魔方陣が現れそこから霧が吹き出した。


「わぅっ!?な、なにこれっ!?」


驚くエルの体を完全に霧が包み少しするとエルに纏わりついていた霧がだんだんと霧散していき、霧の中から獣人の特徴である耳や尻尾が消えたエルが現れた。


「わぅぅ~何が起こって‥‥ってあれっ!?ぼ、僕の手がお姉さん達と一緒になってる!?」


「手だけじゃないわよ?耳と尻尾も完全に隠れてるわ。」


ペタペタと自分の体を触って以前との違いを確かめるエル。一先ずはこれで大丈夫そうね。


「こ、これって元に戻るんです?」


「もちろん、スラちゃんがミラージュを解除すれば元に戻るわ。」


元に戻れると聞いてエルはホッと胸を撫で下ろす。


「ホントに普通の女の子にしか見えないです~。これなら怪しまれることはないですねっ!!」


「そうね、よっぽど魔法に詳しくなきゃ無理だと思うわ。あっ、スラちゃん魔力大丈夫?」


「だいじょうぶっ!!かいふくのがはやいっ」


「流石魔法のスキルレベル8は伊達じゃないわね。」


本来ミラージュは消費する魔力が多くしかもミラージュを使用している間は継続して魔力が減り続けるためかなり使い所が限られている。でも今のスラちゃんにはなんの問題もないみたい。

最後にエルに私が小さい頃に着ていた服を着てもらいエルの変装が完了する。


「さて、それじゃそろそろ帰りましょっか。村長にこの鍋も返さないといけないしね。」


椅子にしていた丸太から腰をあげて私はエルに手を差しのべた。


「行きましょ?エル」


「う、うんっ!!」


エルの手を引き私達は村へと引き返すのだった。


これから一体エルちゃんがどのような成長を遂げるのかご期待ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ