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第24話

ようやくコロナウイルスもだんだん勢力を弱めてきましたね。

これからどんどん感染者0に近づいてくれれば良いんですが‥‥

後ろを振り返り、私は少女と同じ目線まで腰を落として彼女に話しかけた。


「一緒にご飯食べる?」


そう問いかけるとその少女は涙がたまった目を擦りながらコクリと頷く。


「そう‥‥じゃ行きましょ?」


少女に手を差しのべると彼女はもふもふの柔らかい毛が生えた可愛らしい手で少し強く私の手を握る。どうやら手のひらには肉球があるらしく手にぷにぷにと当たってなかなか心地が良い。

そして彼女の手を引いてミラ達の元へと戻ると、ミラが驚きで目を見開いていた。


「お、お姉様‥そ、その子がワーウルフなんですかっ!?」


「違うに決まってるでしょ?ミラはこんな可愛い女の子が魔物に見えるの?」


「いえ見えませんっ!!」


きっぱりとミラはそう言ってのける。その言葉を聞いて満足した私は手を繋いでいる少女に笑顔を見せながら言う。


「安心して?私もあの子も、このスライムもあなたに危害を加えたりしないわ。さっそこに座って?今料理盛ってあげるから。」


少女は未だ少し警戒しながらも私の隣にちょこんと座る。そんな彼女の前にスラちゃんが跳び跳ねながら移動し、なんと自己紹介を始めた。


「ぼくすらちゃん!!」


「すら‥ちゃん?」


「そう、スライムだからスラちゃん。可愛い名前でしょ?はい、これあなたの分さっきも言ったけど熱いから気を付けるのよ?」


喋るスライムに驚いている少女にカレーをよそい手渡す。彼女はもふもふの手でそれを受けとると私を見てお礼を言った。


「お姉さんありがとう。」


「いいのよ、いっぱい食べてね?なんならここにあるの全部食べてもいいわ。」


「ほ、ホントに?」


「えぇ、良いわよ?食べられるならだけど‥‥‥ってあらっ!?」


今盛ったばかりだというのに彼女はもうすでに空になった器を私に差し出してきた。


「も‥もう食べちゃったの?」


「うん、お‥美味しかったからすぐ食べちゃったの‥‥」


耳をぺたんとさせ、少しうつむきながら彼女は言った。どうやら少し申し訳なさを感じているようだ。

そんな少女の頭に私はポンと優しく手をのせ撫でながら言う。


「美味しいなら良かったわ。お腹いっぱいになるまで食べていいの、遠慮なんてする事ないわ?」


そう告げると彼女は少し沈黙を挟んだ後私の目を上目遣いで見ながら問いかけてくる。


「‥‥‥あ、あの‥お姉さん達は何でそんなに僕に優しくしてくれるの?」


「だって私達の目的はワーウルフの捕獲だもの?あなたみたいな可愛い女の子を捕まえることが目的じゃないわ。」


少女を安心させるようにここに来た目的を告げながら私は空になった器に再びカレーを盛り付けて彼女に渡した。


「はいおかわりのカレー」


「あ‥ありがとう」


一先ず私たちが敵ではないとわかると少女は少し安心したようにホッと息を吐き出し、再びカレーをスプーンで掬って食べ始める。

そして鍋にあったカレーが全て空になると少女は私の前に立ちペコリと頭を下げた。


「あ、あのっ‥ごはん美味しかったです。ありがとうございましたっ‥‥そ、それじゃ‥」


お礼を告げて立ち去ろうとした少女を私は呼び止める。


「待ちなさい。あなた‥‥このまま山に籠っていたらいずれ他の冒険者に捕まっちゃうわよ?」


「で、でも‥()()の僕には他に居場所なんてないし‥」


「‥‥やっぱりあなた獣人だったのね。」


見た目から大方わかってはいたけれど、やっぱりこの子は獣人のようだった。ならなおさらここに放っておくわけにはいかない。


「私たちと一緒に来ない?こう見えて私たちとっても強いの、あなたのことぐらいなら守ってあげられるわ?」


「でも‥僕がいたらお姉さんたちに迷惑かけちゃうし‥‥僕なんかをかくまってたらお姉さんたちも危険な目に合うかもしれないんだよ?」


「さっきも言ったけど‥私たち結構強いの‥よっ!!」


私はアイテムボックスから剣を引き抜き一閃する。その剣は獣人の少女へと牙をむき出しにして茂みから飛び出してきたワーウルフの首を的確にとらえた。

切断面から血が噴き出す前に私は獣人の少女を抱えてそこから飛びのく。


「ミラ?そっちは‥‥大丈夫ね」


「はいっ!!私でも倒せましたっ」


ちらりとミラの方を振り返るとミラの足元に真っ二つになったワーウルフが倒れていた。おそらくミラの持っている大剣の一刀のもとに切り伏せられたのね。

ミラの方にはスラちゃんもいるし、あっちは任せても大丈夫そう。


「ミラ、スラちゃん、そっちは任せるわよ?」


「はいっ!!」


「まかせるっ!!」


二人に後ろを任せ、私は抱えていた少女を横に下ろして剣を構えた。


「私から離れちゃだめよ?」


「う、うんっ」


一瞬少女に目を向けた後再び私は剣の先へと目を向ける。すると何匹もワーウルフがぎらついた眼光を私に向けながら闇から姿を現した。


「グルルルル‥‥」


「あら、残念だけどあなたたちのご飯はないわ。」


おなかが空いているのかワーウルフたちは口元からだらだらとよだれを垂らしながら唸っている。だが彼らのご飯になるつもりはない。


「さっ‥かかってきなさい?」


左手で少女をかばいながら私は残った右手で剣を構える。そして一つ息を吐きだした瞬間一斉に私の前に現れたワーウルフたちが飛びかかってきた。


「‥‥‥っ!!」


思わず私にくっついている少女が恐怖で目をつぶり硬直する。そんな少女に私は優しく言った。


「大丈夫、もう終わったわ。」


「ふえっ?」


少女はぎゅっと閉じられていた目を開くと目の前には糸が切れた人形のように地面に力なく横たわる無数のワーウルフの姿があった。


「こ、これ‥お姉さんがやったの?」


「そうよ?これで少しは私達の強さがわかってくれたかしら?」


そう問いかけるとコクリと少女は頷いた。彼女の頭をポンポンと撫でて後ろを振り返るとミラとスラちゃんがはしゃいでいる姿が目に入った。


あっちの方も無事終わったみたいね。


少女の手を引いてミラ達の方へ向かい、お疲れ様と一声かけた。


「二人ともお疲れ様、怪我はない?」


「大丈夫ですっ!!お姉様私スラちゃんよりたくさん倒したんですよ~!!」


えっへんと胸を張ってミラは言った。地面に転がっているワーウルフの死体を見る限り大半が綺麗に真っ二つになっている。


「頑張ったわね。」


ポンポンと空いていた方の手でミラの頭を撫でるとスラちゃんがそれを見てぷるぷると震えながら悔しそうに言った。


「うぅ~‥すらちゃんつぎがんばる」


「スラちゃんもよく頑張ったわね。」


しっかりとスラちゃんのことも撫でていると手を繋いでいる少女が口を開いた。

文字数の関係上気になるところで区切ってしまいました。

ごめんなさい‥‥

次回の更新をお楽しみにお待ち下さい。

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