魔法は簡単だった
「どうしよう、魔族に襲われてるよ」
『スクルド!俺は訳あって攻撃魔法が使えへんねや、今から教えるからそれで少年を助けてくれ』
「ええ!魔法なんて使ったことないし、見たことないよ」
スクルドは王城で暮らしており、世界は今は平和である。父と母の手伝いをしているスクルドに魔法とは、無縁の話であった。
『簡単や!魔力は俺が賄う、理屈よりもイメージが大事なんや』
そう言いながらスクルドは、本に引っ張られて魔族に急降下して行くのであった。
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「シファこれが大鏡石に映った少年?」
「そうだ今ここで殺さないと、魔族の脅威になる存在らしいな」
大鏡石とは魔族にとって道しるべであり、信憑性の高い占いみたいなものである。
「よし、なら跡形も吹き飛ばそ!」
「ルー!上から何か近づいてくるぞ!」
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「んひぃぃぃー!」
『スクルド聞こえとるか!敵をどうやったら倒せるか考えるんや、例えば強烈な火で敵を炭にするとか、強風で敵を吹き飛ばすとかな!』
「怖いーーー!ぶつかるーー!」
『そんなへましぃひん!』
地面スレスレでピタッと静止し着地した。
「あ...新しいパンツ出す魔法とか、ある?」
『なんや漏らしたんかいな、あるにはあるけどなあ』
「なんだお前は」
「え、僕はスクルド」
『おい、名乗らんでええ!早くあの少年を助けるんや』
「イメージだよね...こう?」
本が光り、魔族の周りに強風が吹き荒れた。
「なんだ、風の魔法?」
「シファ結構威力あるよ、どうしよう」
「ウルズあの寝てる少年運べる?」
『あ、ああ』
横たわっている少年が浮き上がった。
「させんぞ、大鏡石に映った少年は絶対に殺す」
シファが右手を前に出すと、鋭い形をした岩がいくつか現れた。
「行け!」
岩が発射されたが、スクルドが出した強風にぶつかり粉々に砕け散った。
「なにっ?」
「うそぉ信じられない!シファの得意技が」
「ごめんね!しばらくそこで大人しくしてて!」
スクルドはそう言いながら、浮いた少年と一緒に走って逃げ出した。