森に飛ばされて
目を開くと森だった。
「えっここどこ?」
『クラマの森や』
「どこ?」
クラマの森とはマールロ王国にある大陸から少し離れた島国にある、森と王国を直線距離で考えたとして子供が歩いて帰るのが不可能な距離だ。
「ええ!!!僕どうしたらいいの?今日は父さんの仕込みの手伝いしてから母さんの掃除を手伝うはずだったのに!」
『そんなことよりも大切なことして欲しいねん』
「それをすれば帰れるの?」
『すまん約束はできひん、でもキミの力が必要なんや』
「僕はなにをすればいいの?」
『ここの森に住む木こりの少年と仲良くなって欲しいんや』
「どこにいるの?」
『キミあんがい冷静やな』
「僕はスクルド、スクルド・ルード」
『俺はウルズって呼ばれとった、少年はこの時間やと朝飯まで薪を割ってるはずや、少年の家まで行くからついてきて』
そういうと本は手から離れ、ふよふよと漂いはじめた。
「ウルズは何者なの?」
『どこから説明したらええかなあ...』
その時、森の奥から激しい音がした後、そちらの方から強い風が吹いた。
『やばい!先に動かれたか!?』
「えっ?えっ?」
『急げ!あの子が死んだらやばい!』
本がこちらに飛び込んで来たと思ったら、体が急に浮かび上がった。
「うわ!うわわ!」
爆発があった方に急速に近づき、上空から様子を伺った。
そこには、黒い翼が生えた人型の魔族が2体と少年が1人横たわっていた。