01話 彼は自分の同族に悩ませられる
其れは、俺と知らない少女との物語。
少女はずっと悩んでいた。俺の知らないところでずっと。
声を掛けてみたが何も答えない。ならば一緒に来るか?と問いかけた。
少女はその問いにだけは明確に答えてくれた。
「あなたの世界に行けるなら其れもいいかもしれませんね」
魔王ティスは今日も多大な仕事に追われていた。
と言うのも、最近人間の村に相次いで魔物からの被害がすごいから何とかしろと言われていた。ティスは、幾ら魔物とはいえ普段は温厚なのだからそんなはずは無いと思いつつも、
自分の片腕とも言える幹部最高職、魔王補佐を務めているセシスに調査を行わせていた。
そして、今日セシスから魔物たちのことについての調査結果がもたらされたのだが、其れがどうもひどい有様だ。
「おい、セシス! 何で知能のない魔物までもが俺の部下扱いなんだよ・・・・」
魔王。自分がこの魔物の王国STSに生を受けてから既に力は発揮されていた。
と言うのも、この世界では強い力を持つものが上に立つ、非常に合理的なシステムの下、最も力を有し互いに互角と言われていた初代魔王5名で国の経済などを回していた。
しかし、自分は生まれてから約100年。魔物にしては短い年月を得て其の五名を圧倒する実力を身につけていた。故に、今の二代魔王とは俺ことティスの事である。
「其れはティスさまが以前人間達に放った言葉が原因でしょう?」自業自得ですね」
冷たい視線を送ってくる初代魔王セシス。彼女の肉体は空気に意思を与え、其れを具現化するというなんとも意味不明な能力の元作られている。そのため、俺がもし憤慨して彼女に襲い掛かっても、ただのシャドーボクシングみたいになるだろう。だから、いつもはこの最強アイテムを取り出すのだ!
「俺の自業自得だと?もう起こったからな!」
と、掃除機を目の前に出してやれば彼女は青ざめる。この空気を吸う事によって活動する最強アイテム掃除機さんを前にして、空気で作られてる彼女の肉体が耐えれるはずがないのだ。
「どうも私共のご無礼を!」
冷たい視線を俺に送っていた彼女が今じゃこの有様である。
俺は魔王だ!こんな横暴も許されるであろう。悪い顔をしつつも俺はこれから
知能を持たない魔物たちにどう、人間の村を襲うなと伝えればいいのか考えるのだった。
こんな事だったら、人間達にお前たちを襲わない代わりにお前も俺達を襲うな!
大丈夫困った事があれば俺がお前達を助けてやるから!とキメ顔で言うんじゃなかったわ・・・・・
今回はギャグ要素が多いかな?
てか今回はって、初投稿だったわ(笑)