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事件終結

「なっ……。」

覆面男は面食らったようで声を上げた。あ、そうか。この人……。

「あ、貴方は。あの時僕の部屋の前を通った人ですね。偶然だなぁ。そうだ。隣の部屋で殺人事件が起こったんですよ。知ってましたか?」

「くそっ……。」

覆面男は逃げ出した。あれ、何で? 何で逃げるんだ?

「流石君。奴が犯人だ。追いかけるぞ!」

「ちょ、ちょっと待ってください。ただああいう格好が趣味なだけのただの善良な市民かもしれないじゃあないですか。」

「馬鹿野郎。じゃあ何で君の部屋へ入ってきたんだ。きっと君の部屋の家具も奴が……。」

「そんなっ。銭姿さんは人を信じられないんですか? まったく、僕はそんな人と友達になったつもりはありませんよ。落ち着いて下さい。もっとよく考えましょうよ。」

銭姿さんは既に僕の話を聞いていないらしく、携帯で警察仲間の人に何やら話しているようだ。「よし、そうか。捕まったか? 何だと? 逃げられた? 馬鹿野郎頑張れ。」

その後まもなく、覆面が目立ったせいで捕まった覆面の男。「握拳早次にぎりこぶしそうじ」は、無実を訴えていた。

「いやいや俺じゃねぇよ。いや、確かにその、鍵が掛っていなかった503号室の金目の物、まぁ全部売っぱらったけれどさぁ、それは認める。だけれど、殺人なんかしてねぇって。俺そんなにメンタル強くないんだよ。そんなことしてたら俺狂ってるって。いやいやホントホント。」

「やっぱりそうですよね。善良なるただの趣味の悪い恰好が趣味のただの市民ですよね。だから言ったじゃないですか銭姿さん。この人じゃないんですよ。もう、まったく。困ったもんだ。……、あれ? 僕の部屋の物を全部売っぱらったて言いました。と言うことはこの人は?」

と、言うことはこの人は善良じゃあ無いじゃないのか? ということはこの人は悪人。なんて悪い奴なんだ。金返せよこの野郎。

「す、すまん。金は返す。」

「うん。じゃあ、真犯人を三人で探そうよ。そうと決まったら早速行動開始だ。」

「えっとだなぁ。こいつも犯罪者だからそれなりにいろいろとだなぁ……。」

「銭姿さん、示談します。この人許します。」

「あのなぁ……。まあいいか。」

銭姿さんは心が広い。警察としての自覚があるのかわからないくらい心が広い。

「で、今ある手がかりは? 握拳さんはあの時何してたんですか?」

「え? ああ、俺はだな。あの日も空き巣をしようとお前の隣の部屋。つまりは504号室で盗みをしていた訳さ。いやいやするとどうだ、ガチャリと部屋の鍵が開いたのさ。驚いちゃってさぁ、俺はびっくりして隠れた。そう。隠れたのさ。そうしたら中に入ってくる二人の人影が見えてな。部屋を散らかしたままだったからこいつはばれると思ったんだけど、その二人は如何やら口論をしているらしくてな。いやいや俺には全く気が付かなかったって事さ。そして、一方がもう一方を押し倒してるのが見えたから、俺はちょっとばかし気まずくなってだな、いやいや嫌らしい事なんて全く考えてないぞ? で、一方がいなくなったから、俺はそのまま残されている女の人が起き上がる前に帰ろうとしたんだよ。そしたら足元に「厚島詩歌あつしましいか」って書いてあるナイフがあったから、落し物かな? と思ってナイフを持って出て行った人を追いかけたって事さ。まぁ、結局見失ってしまったんだけどな。」

「あ、厚揚げ市じゃあなくて「あつしまし」か。」

「じゃあその人が犯人じゃないか。と、考える。」

「事件解決じゃあないか。やったね!」

 こうしてこの事件は解決した。そう解決してしまった。握拳さんのおかげで事件は一気に加速したという訳だ。まあ彼は別件で逮捕される結果になったのだけれど、それはまぁ、自業自得だったので仕方がない。

 やっぱり事件は早く解決されるのがいいと僕は思う。


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