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事件遭遇

 アパートの一室。僕が引きこもりを初めてから早二週間。ついに我が家の食糧が尽きた。

最初から分かっていた事ではあったけれど、何というか、あれだ、僕は馬鹿か。一人暮らしで引き籠りが成立するはずも無い。宅配で食料を送ってもらうという手もあるが、今は手元に金がない。クレジットカードを使わない派の僕は銀行に行かないと駄目か。そうか、わかった引きこもりも飽きたことだし外に出よう。


ドアを開いたその時ちょうど、ナイフを持った覆面の男が目の前を通り過ぎた。


おお、すごい。なんて偶然。初めて目撃したよこんな犯人らしい人。

犯人は僕には気が付かなかったようでそのまま逃げようとしている。さぁ警察に連絡するか。

いや、ちょっと待て、

「早まるな自分。もしかしたらああいう服装が趣味の危ない趣味の善良なただの住人かもしれない。もしそうだったら、迷惑をかけてしまう。あのナイフもおもちゃか何かもしれない。そうかもしれない。と、考えた」

僕は犯人が来た方向。すなわち右隣の部屋を見る。空いている。ドアが開きっぱなしになっている。なんて不用心な住人だ。ん……。まさかここから何か盗んだのか? もしそうだったらどうするんだ。よし、隣の部屋を見て来よう。

そう思った僕は早速行動に出る。サンダルを履いて、部屋を出る。そして隣の半開きのドアから部屋を見る。おお、見事に犯行現場だ。物が散乱しているし、何より死んでいるように見えるこの女性が何よりも「現場」っぽい。……まて、落ち着け。あれ、本当に死んでるんじゃあないだろうか、いや、まてまて取りあえず近寄って確認しよう。

「あの~大丈夫ですかぁ~?」

僕は赤い服を着た女の人の耳元で、囁く。しかし返事がない。

「あれ? おかしいなぁ。あの、大丈夫ですか?」

すると消え入りそうな声が女性から発せられる。

「あ……厚島、し……。」

……あつしまし? 何だそれは、町の名前か何かかな?

この女性、この状況で何を言っているんだ? 僕の顔を見て何で何も言わないんだ? 見ず知らずの人間がいきなり家に入ってきたら怒るよなぁ……。少なくとも僕なら怒る。あ、そうか。寝ぼけているんだなこの人。なんてこった、これじゃあ僕は勝手に入ってきちゃあいけなかったな。寝ている人の部屋に勝手に入るなんて、やっちまったなぁ。

うーん。帰るか。

そういえば僕の最初の目的は銀行に行くことなのである。

「そうと決まれば早くいかないと。」

僕はこうして、その場を後にした訳である。


 銀行へ行き、買い物も済ませ、自分の部屋へ戻ろうと、アパート五階、503号室を目指し、僕は階段を上がっていた。この時点で僕は朝の出来事を忘れていたけれど、部屋の前で警察が調査している姿を見て、驚いた。隣の部屋で何かあったのかなぁ? なんて考えていた。

504号室で起こっていた強盗殺人事件。犯人として連行されるまで、僕は今日の昼ご飯の事を考えていた。事の重大さに気付くのには、また更に一日後の事だった訳だけれど。


次の日、警察署にて。

「現場で君の指紋が検出されているんだが、これについてはどういう事だい?」

警察の取り調べを受ける日が来るとは、僕は一体何をしたんだ? 何か悪い事でもしたのかな。

思い当たるのは、勝手に人の部屋に入ったことくらいだ。

「あの、それは僕がその部屋に入ったからですね。」

「そして、被害者の血液の付着していた服の上からも、君の指紋が検出された。」

「ああ、それは僕が彼女に触ったから、え? 血液? え、それってどういう。」

「君が殺したって事なのかい?」

ここで僕は彼女が死んだ事を知った。

「え、彼女死んでしまったんですか?」

「ああそうだ。君が刺したナイフの傷によってね。」

ナイフ? あれ、それってたしか……。

「ちょっと待ってください。それってあれですか? こう刃渡りが六センチくらいで、覆面の男が持っていたあのナイフですか?」

「な、何を言っているんだ君は。」

「ああ、え、じゃああの人、寝てたんじゃなかったのか。てっきり寝言を言ってるのかと思っていたのだけれど。」

「寝言?さっきから君は、」

「何だっけ、厚揚げだっけ?」

最終的に、僕は牢屋に入れられた。


 ……ここまでの出来事を整理すると、如何やら昨日見た犯人っぽい服装が趣味の男は本当に犯人で、隣の部屋でドアを開けたまま寝ていた女性は、やっぱり盗みに入られた被害者で、さらに言えば、あの現場っぽい部屋はやっぱり本当に現場だったということか?

ううむ、いやわからない。もしかしたら彼はただただその場に居合わせた犯人っぽい服が趣味の住人で、犯人は別にいるかもしれない。だとしたらどうだ、犯人は誰だ?

警察の人はどう思っているんだろう。意見を聞いてみようか。

「あの。そこの人。」

そこで僕の目の前にいた看守、「銭姿安文ぜにすがたやすふみ」との出会いが、この事件を減速させる結果になった事は、まぁ、事件が終わった今考えると、幸運だったと思う。


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