月は独りだと嗤い 陽は愚かだと哂い 雲は惨めだと笑う
月は独りだと嗤う
陽よ、貴方は多くの人に愛されている
暖かな陽射しに万人のものが感謝しているだろう
生きとし生けるモノは皆、貴方の光の下で命を育んでいる
貴方の傍に浮かぶ私は空蝉のように儚い
唯一姿を現すことの出来る夜でさえ、貴方の光
失くして輝くことさえ出来ない
闇の帳が下りる時間
どれだけの人が私の光を知っているだろう
私は常に独り、故に陽よ、貴方が羨ましい
陽は愚かだと哂う
私が愛されている?それは戯言だ
貴方が言うように私は常に人を照らしています
しかし人々は決して私を直視はしない
私の光はあまりにも強すぎるから
だが、貴方の光はどうだろう
柔らかな月光に人々は酔いしれる
貴方を美しいと睦言のように囁く言葉を知らないなんて
貴方の周りに浮かぶ数多の星々に気付かないなんて
…私は貴方が憎らしい
雲は惨めだと笑う
私は全て知っている…しかし私の選択は沈黙
私は常に漂う者
どちらに就くことも無い
哀れな月と陽よ
貴方達の言葉が互いに届くことはないだろう
私だけが知っている
月の羨望
陽の嫉妬
私だけが知っている それが真実
拙い文力ではありますが、ここまで読んで頂きありがとうございました。