第44話 絶望編5
ズガン、ズガンという神爆銃の発砲音が響き渡る中、レオとドレンは砦の中を走っていた。砦の構造を知っているドレンがいるおかげで複雑な内部に迷うということはなかったものの、倒しても倒しても奥からドンドン出てくる兵士達によって進行は妨害されていた。
壁に隠れ、身をできるだけ隠しながら狙い撃つ。弾丸は何人かの兵士の頭と心臓部分を貫通し、撃たれた兵士は消える。先ほどからそれの繰り返し、進むことができなかった。
「っち」
「どうするの?レオ兄ちゃん?」
レオの背中に隠れながら、不安そうにドレンがたずねた。当然だ、砦に突入したもののあまり進行していないうえ、長時間足止めを喰らっているのだから。
レオはもう一つの神爆銃、『光』を手に取り、中に入っているアルテマを全て取り出した。そしてグリップをぐっと握り弾を補充すると、その場にしゃがみこんだ。
「ドレン、乗れ」
「え?・・・・うん」
ドレンがレオの羽織っているマントの上から背中に乗ると、レオは立ち上がり、そして、
「いいか!!絶対離すなよ!!」
敵めがけて特攻をかけた。肉体の強化のおかげで風のような速さとなって敵に突っ込み、両手の神爆銃で敵を撃破していく。引き金を引くたびに、弾丸は確実に敵兵の心臓を撃ちぬいていく。―――レオの腕の良さを物語っていた。
「左に行って!!」
背中から聞こえるドレンの言うとおりに砦を進んでいく。奥からは、絶えることなく兵士が出てくる。
「そこの階段は無視して!!」
神爆銃を連射し、通行のスペースに邪魔な兵士だけを一瞬にして撃破する。心臓を撃ちぬかれた兵士を足蹴にし、前へと進んでいく。
「そこの分かれ道を右に!!」
進んでいくと、階段があった。その階段から、数え切れないほどの兵士がなだれ込んできた。
「ここの階段を登って!!」
ドレンの声がレオの耳に入るなり、レオの足は動いた。凄まじい速さで走っていったかと思うといきなり跳び、兵士の頭を踏みつけて2階までたどり着く。2階にたどり着いたレオは、そのまま奥に進む。
「そこの通路を右に進んでそのまま直進して!!」
言われたとおりに直進する。前から来る兵士の数も多くなってきており、レオの人差し指の速さも加速する。
「あとはずっと左に進んで!!」
右左分かれた通路を左に進み、前と左に分かれた通路も左に進む。レオはどんな通路も左、ただ左に進んだ。当然のように進行を妨害してくる兵士達もレオの神爆銃によって撃たれ、撃破されていく。
しばらく進んだそのときだった。前に、扉が見えた。この砦の中で扉を見るのは、これが初めてだ。だとすれば、ここが罠の居所となるのだろうか。
「ここだよ、レオ兄ちゃん」
ドレンの声で、疑問が確信へと変わった。
レオは扉めがけて勢い良く床を蹴り、そのまま頑丈そうな扉を蹴破る。ドンッという音が響き渡り、中に二人は突入していった。
広い、とは少し言い難いこの部屋の中央に、『それ』は立っていた。全身が赤と黒の鎧で覆われており、表情が確認できない。言葉も発することなく、他の兵士と鎧の色こそ違うものの、ほとんど同じだった。だが、決定的に違うのはその大きさだった。ぱっと見、自分の5倍はある身長に、がっしりの度を越えている横幅。巨体、その言葉を形にしたようなものだった。
「・・・・・・・お前が、この世界の罠か?」
レオの口から確認の言葉が漏れた。だが、それに対する返事は返ってこない。微動だにせず、ただその巨体の鎧はその場に立っていた。
「おい、聞こえているだろ!答え―――」
「人に物をたずねる際には自らの名を名乗ることが常識のはずだが」
巨体の鎧の中から、声は聞こえた。男の声だった。
「何だ、聞こえてたのか。俺の名前はレオだ。お前は?」
「我は神の使い、名は『ベガ』。そなたの言ったとおり、この世界の罠になっている」
罠という言葉が耳に入った瞬間、レオは右手の中にある神爆銃の銃口をベガに向けた。だが、向けられたベガ本人は未だ身動き一つせず、その場に立っていた。
「・・・・いつまでそうしているつもりだ?こっちは引き金を引くだけでお前を倒せるんだぞ?」
「生憎だが、今我は武器を持ち合わせておらぬのでな、そなたと戦うことはできぬ」
「なら、大人しく引き上げてくれるのか?」
「まさか。それでは罠の意味を成さぬ。別の者を残し、我は主の下へ帰還する」
そう言うとベガは、今まで自らの巨大な手に隠し持っていた黒い水晶を、その部屋を照らしているたいまつの光にかざした。
途端、ベガの目の前にゲートとは少し違う黒い穴が出現し、中から大量の兵士達が出てきた。その兵士は留まることを知らず、蟲のようにどんどん湧いて出てくる。
「我の部下全員がこの穴から出てくる。何体出てくるのかは我もわからぬ。そなたがここで全て撃破することができれば、この世界は救われるだろう。・・・・・逃げることは許されぬぞ。そなたが来た扉の向こうにも同じものを設置した」
兵士が流れ込むようにどんどん出てくる穴の向こうからベガの声が聞こえる。
「ではさらばだ。健闘を祈る」
その言葉を最後に、ベガの声は聞こえなくなった。残されたのは文字通り、大量の兵士だった。
「あ・・・・あ・・・・」
ドレンは目の前の兵士の数に絶望し、ぺたりとその場にへたり込んでしまった。前方にも後方にも兵士は存在し、圧倒的な数だと見ただけでわかった。自分たちにはもう、逃れる術はないことは明確。さらにこの大量の兵士を撃破することも不可能。
いや、逃げることだけなら可能だろう。目の前にいるレオだけならば。天井でも壁でもどこでもいい。銃で壊して脱出することくらい、簡単にできるだろう。
だが、自分が一緒ならば話は別だ。自分が邪魔で本来の実力を出せず、脱出などできない。刹那たちが助けにくるのを待つとしても、それまで耐え切ることができない。無理だ。助からない。
ならばどうすればいいか・・・・・。
「レオ兄ちゃん・・・・・僕はいいから、逃げて・・・・・」
こう言うしかなかった。自分はいいから、と。
「・・・・・・何でそんなことを言うんだ?」
「この数じゃ・・・・勝つのは無理だよ・・・・。だから、レオ兄ちゃんだけでも逃げて・・・」
レオは何も言わなかった。ただ黙ってドレンの話を聞いていた。兵士の方は出続けているものの、襲ってくる気はまだなかった。
「楽しかった・・・・、久しぶりに食べるみんなとの夕ご飯も、すっごくおいしかった・・・・。だから、僕はもう・・・・いいから・・・・」
「何言ってんだ?何でお前はそんなことを言うんだ?」
「だから勝つのは―――」
「無理か?俺はそんなに弱くないぜ」
「・・・・・・え?」
「この状況が絶望と言うのなら、それを今俺が変えてやる。この状況を逆転させてやる」
レオがそう言い終わるのと同時に、兵士達は剣を構え、一斉に前後方からかかってきた。まるで雪崩のように兵士が連なり、少し進むだけで轟音が響き渡る。こんなものを、こんな『絶望』を逆転しようと言うのか?・・・・・・無理だ。いくら強くても一人でこの数相手に、しかもこの狭い場所で戦うのは圧倒的に不利だ。囲まれて、一斉にかかられるのが目に見えている。
そのときだった。神爆銃を握っているレオの両手が、光を放った。カチャカチャと弾が装填される音がしたかと思うと、レオは兵士が迫ってくる前後に一発ずつ撃った。
ドン!ドン!と、2発の弾が撃ちだされ、鋭く風を切り裂いて飛んでいった弾丸は、最前の兵士の少し前の床に突き刺さった。瞬間、黒いドーム状の空間が形成され、兵士達はその空間に吸い寄せられていった。レオの結晶能力、『全属性結晶化』の1つである、闇属性の弾だ。その黒いドーム状の空間の中は凄まじい引力の塊であり、兵士達を次々と引き寄せていく。
その引き寄せられた兵士達めがけて、神爆銃の銃口から弾が2発飛び出していった。弾は凄まじい引力の空間の中に閉じ込められている兵士に当たった瞬間、轟音を響かせ、爆発し、吹き飛ばした。火属性の弾である。短い時間で作ったためあまり威力は高くないが、その中の兵士を全部消し去るのには十分だった。
引力の空間に捕らわれ、爆発によって葬られた兵士達の数は決して少なくはない。だが、葬られた数よりも、襲い掛かってくる兵士の数が圧倒的に多い。葬った数など、相手にしてみればそれほど意味を成さないのだろう。
レオは少しだけ銃のグリップを握りなおすと、前後からくる兵士めがけて再び引き金を引いた。だが、今度の弾は今までと少し違った。銃口からは弾ではなく風が、いや、斬撃が飛び出したのだ。その斬撃は、まるで巨大な剣を横になぎ払ったかのように兵士達の腹部を綺麗に切り裂いて進んでいった。風属性の弾である。風は時として鋭い刃となり、人の体を傷つける。レオの魔力はその風の刃を巨大化、威力を増幅させていたのだ。
風の刃のおかげで大半の兵士に壊滅的なダメージを与えることはできたものの、まだ攻撃が足りない。兵士達はまだこちらへと直進してくる。
{これが最後の一発になるかな・・・・}
そう思いながら、両手の神爆銃の引き金を引く。風属性の弾と同じく、銃口から飛び出たのも弾ではなかった。弾の代わりに出たものは、雷を圧縮させた球体だった。大きさこそ人ひとりの頭ほどしかないが、アルテマを除く全属性の中で頂点に立つほどの威力を持ち合わせている代物。
だがその威力とは反面、ターゲットまで飛んでいく速度が遅いのだ。例える物ならば人が全力疾走するようなもの。良い点があれば、必ず悪い点は存在するものだ。
しかし、だ。この欠点は、今回は心配しなくともよい。なぜなら、撃った先にいる兵士達はかわすことが可能なのにもかかわらず、ただまっすぐ突っ込んできているからだ。これでは、自ら当たりに行くようなもの。当然、レオの放った雷の球体は兵士にぶつかることになる。迷うことなく突っ込んでくる兵士に球体がぶつかったときだった。
球体は形を変え、まるで魚を捕らえる網のように兵士達を覆った。その形は、闇属性の弾が形成する黒いドームによく似ていた。違うのは圧倒的な大きさと、それが電気によって形成されているということだった。
兵士達がすっぽりと覆われた瞬間、豪雨のように雷が兵士達に降り注いだ。凄まじい轟音だった、耳の鼓膜が破れるのではないかというくらいの凄まじい轟音だ。上から、右から、左から、斜めから、あらゆる角度から雷は襲ってくる。しかも、その雷はレオの魔力によって強化されているのだ。自然に起きる通常の雷とは、威力がまるで違う。この中は、上空に存在する雷雲の中の数十倍の威力に匹敵するのだ。その常識を超えた雷に、兵士達の鎧は砕け、溶け、焦げていた。
嵐のような時間が過ぎ去り、ようやく雷で形成された空間は消えた。中の兵士達は、ひどいものだった。あまりに雷を受けすぎたために、粉々といってもいいほどに鎧が砕け散っていた。
それを確認したレオは兵士が出てきていた黒い穴をばっと見る。―――もう出てきてはいなかった。やはり、最後の雷属性の弾で倒した兵士達が最後だったのだろう。黒い穴は徐々に閉じていき、その場はしばらく沈黙に包まれた。
「レオ!!!!」
扉の向こうから聞こえてきた刹那の声のおかげでその沈黙は破られた。見てみると、そこには肩で息をしている刹那と、神抜刀を手にしているレナ、そして目に涙を浮かべ、服装がボロボロになっているリリアの姿が見えた。3人とも無事だったのだ。
3人のことを確認したあと、レオも自分達のことを報告した。
「俺たちのほうも大丈夫だ、かすり傷1つしてない。それと、この世界はもう大丈夫だ。罠はしっかり外した」
「・・・・・じゃあレオが1人で?」
「まぁな。ちょっと大変だったが何とかなった」
そう言うと、レオはペタリと座り込んでいるドレンに歩み寄った。ドレンは口を少し開け、呆気に取られたようにぼーっとしていた。
レオはドレンの目線に合わせるようにしてしゃがみこみ、にっと笑って言った。
「ドレン、腹減ったな。家に帰ろう」
「・・・・うん!!!」
気がつくと、辺りは明るくなっていた。絶望と言う名の夜が明け、希望という名の朝がやってきたのだった。
+++++
罠を解除した刹那たち一向はその後、ドレンの村でパーティというものを行っていた。
もう大丈夫だ、自由になったんだ、絶望から解放されたんだ。それを聞いた村人は一斉に歓声をあげ、喜んだ。長年の拘束から解放され、まず最初にやったことはやはり喜ぶことだった。あまりにもこの事実が嬉しくて、嬉しくて、とにかくこの喜びを皆と分かち合いたかった。
そこで開かれたのが、解放を記念して催されたパーティだった。飲みすぎると毒になってしまう酒や、めったに食べない肉などがテーブルにずらりと並び、村人が全員で肩を組合い、踊りを踊ったりもした。刹那も、レナも、レオも、リリアも、ドレンも、そして村人達も、夜が明けるまで騒ぎ続けた。
そして、絶望と呼べる日々が終わりを告げてから1日が経過した。パーティで夜通しだったのがつらかったのか、村人は地べたに体を横にして眠っていた。幸せな夢を見ているのだろうか、表情が緩んでいた。
「そろそろ行くか」
レオのその一言で、刹那たちはうん、と頷いた。罠は外したのだ、もうここに留まるわけにはいかない。村人達の幸せそうな寝顔をちらっと見てから、刹那たちはパーティ会場を後にした。
ゲートの位置は会場のすぐ近くだったので、それほど移動に時間はかからなかった。いつも通り刹那が黒い大剣を形成し、ゲートの位置を斬る。そのはずだった。だが、
「兄ちゃんたち!!」
ドレンの声がしたのだ、疲れて眠っているはずのドレンが。レオは、どうする?という刹那の無言の問いに、首を横に振って答えた。待て、というレオの答えが刹那に届くと、刹那は握っている黒い大剣を魔力に戻し、自分の体へと戻した。
レオは、ドレンの元に歩み寄った。やはり、一晩ぶっ通しで騒いでいたため、疲れたような顔をしている。
「もう、行っちゃうんだね・・・・・」
ドレンは悲しそうに俯いて言った。
「罠は外したからな。もうここに居ても意味はない」
はっきりとレオは悲しむドレンに言った。だがその言葉とは逆に、レオの表情は悲しげだった。家族も兄弟も居ないドレンを1人にさせるのはあまりにも酷な話だったからだ。昨日今日は自分達が居たからよかったものの、これからはそうはいかない。
異世界の旅に連れて行くという選択肢もあったものの、ドレンのような戦闘能力も回復能力のない子供を連れて行くわけにはいかない。仮に連れて行ったとしても、他の世界の罠からの攻撃から身を守るだけの存在、邪魔になるだけだ。
それをドレン自身もわかっているのか、「連れて行って」などということは言わなかった。自分が行くと邪魔になる、それを十分この世界の罠との戦いで理解していた。
「レオ兄ちゃん、あのね・・・・・・」
連れて行ってとは言わない。だが、この一言はどうしても言っておきたかった。
「僕も、レオ兄ちゃんみたいになるよ。どんな絶望からでもきっと這い上がれるんだって、みんなに教えてあげる存在になりたい。強くなって、人を絶望に突き落とすようなやつから、みんなを守ってあげたい!」
ドレンは、悟ったのだ。
もしも、この人たちが来てくれなければ、自分達は永遠に罠から解放されなかっただろうと。
もしも、この人たちが来てくれなければ、絶望は無限に続くものだと信じなければならなかっただろうと。
だが、この人たちが来てくれたからこそ、自分達は罠から解放された。絶望にも終わりがあることを知り、希望だって望めば必ず叶うことだと知ったのだ。
自分も、こういう人間になりたい。絶望が自らを支配し、嘆いている人を救い、希望と言うものは幻想などではないということを教えてやりたいと。そう思った。
それを聞いたレオは満足そうに微笑んで、
「そうか。・・・・・・・大丈夫、お前ならやれる。強くなって、希望ってやつを教えてやれ」
このレオの一言で、決心はついた。
「うん!!」
みんなの希望の星になりたい。そう強く思った。
+++++
それから、5年の月日が流れた。ある町に賊が入り込み、支配しているという。この賊、食料や金品を奪うそこらの賊とは違い、町を拠点としてあちこちで悪さをするという前代未聞の賊だった。
町の住民は反逆したものの、賊の人数とその力に敗北し、今はただの奴隷となって働いている。普通の民から一変して賊の奴隷だ、自分らの不運を噛み締める他無かった。
他の国も、この町の賊を捕らえようとしたが、何せ強い。軍を派遣してもあっさりと壊滅、希望と呼べる軍さえ歯が立たなかった。
軍を失った国は賊の的に相応しかった。四方八方から攻められ、城壁が崩壊。そのまま侵入を許すが、何とか王座は死守していた。まさに、絶望と呼べる状態だった。このまま王座を奪われれば、この世界は終わりだ。王権を賊に奪われ、力で解決する無法地帯となってしまう。
誰もが絶望の淵に立たされたそのとき、1人の青年が国にやってきた。腰にはこの世界では珍しい銃、体全体を覆うマントを羽織っている旅人のような格好だった。
「ここか・・・・」
そう呟くと、青年はゆっくりと城門をくぐり、城下町に足を踏み入れる。だが、
「おぉぉい、どこに行く気だ坊主」
「こっからは立ち入り禁止なんだけどなぁぁぁぁああああ??」
当然賊の見張りに見つかる。2人の屈強な賊はそれぞれ斧と槍を肩に担いでおり、明らかに青年を威嚇している。
青年は少し笑って、腰の銃を抜いた。
{見てる?レオ兄ちゃん。今僕、この絶望を・・・・・・}
「やる気かこのやろぉぉおおお?」
「殺っちまおうぜぇぇ。最近腕がなまってなまってしょうがねぇ」
「希望に変えて見せるよ!!」
青年は戦う。終わらない絶望は無いのだと教えるため。
青年は戦う。希望というものは信じていれば必ずやってくると教えるため。
青年は戦う。かつて自分を救ってくれたのと同じように、自分もまた救うため。
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巨大なカプセルが存在する薄暗い部屋。そこで巨大な鎧男、ベガと青年が向き合っていた。
「ただいま戻りました、主」
「うん、おかえり。それで、接触はできた?」
「申し訳ございませぬ。連れの者としか接触できませんでした。何しろもう魔力のほうが底を尽きかけておりまして・・・・・」
「え!?駄目だよ!!そんな体で報告に来たら!!もう戻っていいよ。さぁ、早く行った行った!!」
「ありがたきお言葉を。ではお言葉に甘えさせていただきます」
「いいから早く!!」
青年は少し慌てながらベガの体を押しドアに向かわせた。が、
「主、『魔兵』のほうをお返しせねば・・・・・」
「いいから早くして!!」
「しょ、承知しました。回復後必ずお返しします・・・・・」
「早くったら!!」
背中を押されながら早々と部屋を立ち去る。
{それにしても、あの銀髪の男・・・・・・、ヤツと姿が重なってならぬ。・・・・・・今度話でもしてみるか・・・・}
部屋を出る直前、ベガの頭にそんな考えがよぎった。
薄暗く広い部屋にはただ巨大なカプセルのみが残された。
さて、いかがでしたか?今回の物語は?
今も、そしてこれからも続くと思われた絶望・・・それを打ち破ってくれた存在
それはドレンにとっては暗闇の中の光に等しい存在でした
貴方の長い人生にも耐え難い苦痛や困難が待ち受けていることでしょう
そんなときは思い出してください
終わらない絶望などないのだと・・・
さて、次回の物語は殺戮人形編
楽しく、そして恐ろしい人形劇をどうぞご覧ください