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第4話 初世界編3

作戦開始の時間となった。

刹那とダンは剣、槍、弓などを持ち砦へと向かった。


(武器は多いほどいいです。正確な数はわかりませんが、怪物はかなりのかずのはずです。)


こんなことを聞いたのが、もうだいぶ前のように思えてくる。最初にこれらの武器を見たとき、まるで新発売のおもちゃを見る子どものように、刹那は物珍しそうに見ていた。

片手持ちの剣の柄を、両手で持ち振ってみたり、槍の矛先を指で突っついてみたり、弓の弦を引っ張ってみたりなどのお遊び行為もしていた。(やはりダンにからかわれた)

しかし、もうそんなことも出来ない。今は討滅のことを考えなければならない。

のだが、大人なダンは、刹那の様子を気にかけていた。


「刹那さん、緊張とかしてません?」


刹那は不安そうに答えた。


「正直に言うとあまり緊張なんてしてないんだ、なんでかな・・・」


正直に自分の心境をダンに話した。

自分が病気にかかっているみたいな、それを確かめるような刹那の口調が、おかしかった。

いたずらっぽく、刹那に聞いてみる。


「気にすることはないですよ、緊張のしすぎで体が動かなくなるよりはいいですからね」


「ふ、言ってくれるな。ダンのほうこそ緊張してんじゃないの?」


刹那はむきにならなかった、冗談交じりに刹那はダンに尋ねた。

しかしダンは意外にも、


「はい、その通りです、はっきり言ってかなり緊張してますよ」


刹那は意外な返答にどういった反応を示せばいいのかわからなかった。その姿を見たダンは笑いながら、


「意外ですか?別にそんなに深い意味はありませんよ。人間の生理現象ですからね」


と刹那に言った。刹那はダンの言葉に安心し、ダンに再び話しかけようとしたがダンに制止され、


「おっと、おしゃべりはここまでです。作戦現場に着きましたよ」


刹那はダンに言われてはじめて気がついた、目の前には何十匹の怪物が砦の周りで外敵が来るのを見張っているということに。刹那が砦のほうに目をやっている間に、ダンは武器の配分を済ませていた。


「では刹那さん、作戦開始です。もうわかっているかと思いますが、最初に僕があいつらの気をそらしますのでその隙に刹那さんは一番後ろのやつを倒してください」


「わかった、気をつけていけよ」


ダンは刹那の言葉にうなずくと、茂みや木に隠れるようにしながら作戦の場所へと向かった。

ダンの姿が見えなくなると、刹那はいつでもいけるように剣を握り締め、ひたすら待った。待っている時間はとても長く感じられた、その長さが刹那に不安を感じさせた。まだかまだかと思う気持ちはしだいに、ダンがやられてしまったのではないのかという気持ちに変わってきた。しかし、その気持ちは杞憂に終わった。見張りの怪物たちが騒ぎ始めたのだ。


{ダンだ!}


怪物たちは刹那に背を向け、向こうにいるダンを追いかけ始めた。刹那は、待ってましたと言わんばかりにぱっと飛び出し、握り締めていた剣で一番後ろの怪物を力いっぱい切りつけた。切りつけられた怪物は断末魔の悲鳴を上げその場に倒れこんだ。

すると、青い炎が自然発火し、怪物の体を包み込み、炎が消えたかと思うといつの間にか怪物の体も消えていた。怪物たちは断末魔の悲鳴のほうに顔を向けた、一瞬だけダンは怪物たちの視界から消える。その隙にダンは近くの茂みに入った。怪物たちがダンのほうを見る、いない。標的を見失った怪物たちは一斉に刹那を追いかけた。

刹那はくるっと後ろを向くと全速力でにげだした。また、怪物たちも全力で刹那の後姿を追いかける。

怪物たちの注意が完全に刹那のほうにむくと、ダンは弓を構えた。そしてゆっくりと矢を引き絞り一番後ろの怪物に狙いを定め、勢い良く放った。ダンの放った矢は見事に怪物の頭に突き刺さった。


「ぎぃいいいいいいいいいいい!!!!」


断末魔の悲鳴が上がり、怪物は青い炎をまといながら消えていった。

このような調子で刹那とダンは、ついに見回りの怪物を壊滅させることに成功した。ちなみに、この作戦は意外にもうまくいき、怪物たちの出した断末魔のおかげで砦の中の怪物たち全てを壊滅させることができたということをこの場をかりて報告したい。


+++++


刹那とダンは砦の前で合流し、足並みをそろえて砦の中へと入っていった。


「いや〜よかったよ、この作戦が見事に成功してさ」


「当たり前じゃないですか、なんていったってあの怪物たちはこの僕が、あ!!!」


ダンは口をふさいだ。何か口にしてはいけないことを言ってしまったのだろうか。


「??、どうかしたか?」


ダンは、少々あせりながらもこう答えた。


「い、いや、なんでもないですよ」


ダンの口調に疑問を抱きながらも、


「まぁいいや。ところで、怪物たちのボスがいるところはどこなんだ?」


刹那は細かいことなど気にしない、話したくないのなら別に無理して詮索する必要もない。

刹那の問いに、ダンはすぐに答えた。


「はい、この砦の大広間にいます。ちなみに僕たちは怪物たちのボスのことを『ラチス』と呼んでいます」


「ラチス・・・」


刹那はそうつぶやいた。ダンは刹那にふと言いかけた。


「そうです、こっちの世界では恐怖という意味になります。村を焼き、人々を殺すあいつは恐怖そのものです」


「そうか、恐怖か。あんなやつ、何でこの世に存在するのかな、人の命なんて誰にも奪う権利なんてないのにな」


「・・・」


ダンは何も言わなかった。顔をこわばらせてただじっとしていた。

そのときだった、刹那の目に飛び込んできたのはひときわ大きい扉だった。


「なんだ?あの扉?」


「あれは大広間に通じている扉です。あの中に・・・」


「ラチスがいるっていうわけか・・・」


刹那とダンは扉の取っ手に手をかけた。


「いきますよ、せーの!!」


バンッと勢い良く扉を開く。そこにいたのは紛れもない、ラチスだった。

一際大きい体、一本が大人の男性並に太い両腕、その大きい体を浮かすことの出来る大きな羽。

そのラチスは膝を抱えてうずくまっていた。寝ているのか、いや違う。その証拠にゆっくりと顔を上げて刹那たちをじっと見ている。


「あいつを倒せばいいんだな?」


「ええ、そうです。」


短い会話を済ませると刹那は息を胸いっぱい吸い込み、


「そんじゃあ、いきますかぁ!!」


と叫んだ。その叫びと同時に刹那とダンは持っていた剣をギュっと握り締め、ラチスめがけて切りかかっていった。

刹那とダンは剣を武器にしているのに対してラチスはたくましい両腕を武器にしている。これは決してハンデなどではない、むしろラチスの方が有利となるのである。なぜか、それは《慣れ》の問題である。ダンはともかく、刹那はこれまで剣などという物など持ったことがなく、慣れていない。一方ラチスは生まれたときから使っている腕を武器にしている。物を食べるにしろ、邪魔者を殺すにしても、一番多く使っている体の一部を武器にしている。おまけに、ラチスの腕は鋼鉄の様に硬い。それゆえ、いくら剣で切りかかっていっても一向にダメージを与えることが出来ないのである。

刹那とダンはラチスの素早く強力な攻撃を避けてラチスの腕に攻撃していた。このままではらちが明かない、


「刹那さん、いまから僕の言うことを良く聞いてください」


刹那はラチスのほうを見ながら、ああ、と返事をした。


「入り口付近に大きな弓と矢があります。いまから私が一人でこいつの相手をします。その間にこの大広間を出て入り口付近に向かい、弓矢を持ってきてください」


その作戦を聞いて刹那は、


「でも、それじゃあダンが・・・」


ダンは刹那の心配をよそに、


「後のことは持って来てから説明します。僕を信じてください」


ダンの気迫に後押しされ、刹那は弓矢を持ってくることを決意した。


「わかった、俺戻ってくるまで死ぬなよ」


「わかってますよ。でもなるべく早く戻ってきてくださいよ」


ダンがそう言うと刹那は勢い良く走りだした。


「さて、と。魔力のつかえないこの体で、何分こいつをおさえられるかな。」


刹那が見えなくなったと同時に、ダンは苦笑しながら剣を握りなおした。そして、目の前にいる巨大なラチスに向かっていった。


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