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第3話 初世界編2

「ここです」


と、刹那に呼びかけダンは大きな扉を開けた。

そこには怪物の奇襲から生き延びた村の人々がいて、みんな自分の家のことや、はぐれてしまった家族の安否を気にしていた。


まるで地震かなにかの災害にでもあったかのようだった。事情なんてわかってなく、走り回っている小さな子ども、不安で下をうつむいている老人、毛布に包まっている女性。絶望している人々の中、一人だけそんな様子を感じさせない老人がいた。

こちらの様子に気がついたその老人がダンに声をかけた。


「おお、ダン。生きておったか!」


「長老こそ、無事でよかった。それと、こちらは異世界からやってきた刹那さん。・・・長老、ゲートについて何かわかることがあれば教えてください」


「異世界から?ほほう、ゲートとはもしや異世界と異世界をつなぐ扉もことじゃな。

・・・しかしなぜ刹那さんはこの世界に?よほどのことがない限り、異次元の扉は開かぬはずじゃが」


驚いたことに、長老はゲートのことを知っていた。

刹那とダンは今までのことを全て話した。長老は何も言わず目を閉じて話を聞いていた。

話が終わると、長老は目を開けて、


「話はよくわかった。わしも協力しよう。こんな危ないところにいつまでも刹那さんを居させたくはないからの。刹那さん、これをみてくだされ」


と言うと、ふところからにぎりこぶしくらいの大きさの水晶を取り出し、刹那に手渡した。

その水晶の中にはなんともいえないあざやかな光が閉じ込められていた。綺麗だった。まるで宝石。


「これは、いったい・・・」


「これは、ゲートの場所を見つけるための水晶じゃ。わしのじいさんのじいさんがもっていたものじゃ。この水晶に光を当てると、ゲートに向かって一直線の光がのびる。つまりその光を追っていけばゲートのあるところにたどり着けるというわけじゃ」


長老は刹那に水晶の説明をした。刹那はうんうんとうなずき、水晶の説明を熱心に聞いた。

説明し終わると、長老は刹那に、


「しかし、この世界のゲートは・・・あの怪物たちによって開けることが出来なくなっているのじゃよ」


と信じられない言葉を言い放った。

刹那はそれを聞くと、ショックのあまり黙ってその場に立ち尽くしてしまった。

なんということだ、帰ることが出来ない。絶望、と言うのが正しいのか、刹那はがっくりとうなだれてしまった。

ダンはそれを聞くなり、


「そ、それってもう刹那さんは帰れないってことなのですか!?。」


と、大声で叫んだ。


「一つだけ方法がある。ゲートを封印している怪物を倒せばいいのじゃが、その怪物は村のものたちがいくら力を合わせて戦っても歯がたたないくらい強いのじゃよ。」


と、残念そうに言った。ゲートを開ける方法はなんとあの怪物たちを倒すということだった。

怪物、それを倒せば帰れるかもしれないという、『希望』が刹那の中にわいてきた。


「じゃあその怪物を倒せばいいんだな?よし、じゃあ倒しにいってくるよ!」


と、無茶苦茶なことを言った。それを聞いたダンは驚いて、


「ちょ、ちょっと刹那さん、さっきの話聞いてなかったんですか?あの怪物たちは

村の人たちが力を合わせて戦ってもかなわないくらい強いんですよ?それなのに一人で戦うなんて無茶です!」


と、あわてて止めた。怪物の恐ろしさを充分に知っているダンは、刹那を危険な目にあわせたくなかった。

立ち向かうことがいかに無謀か、刹那はさっきの光景を見て理解したはずだった。

ところが刹那は、


「そうだったとしても、このまま地球に帰れないよりは、わずかな可能性に敗れて

死んだほうがましだよ。まぁ、死ぬ気なんてさらさらないけどさ。」


と、信じられないことを言った。

負ければ死ぬ、そんなリスクを背負ってまで刹那は帰りたいという。自分の世界に、自分の家に帰りたいと。強く強くそう思っていた。事故でこんなわけの分からない世界に連れて来られ、そこで死ぬなんて冗談ではなかった。


{この人は・・・勇敢なんだか馬鹿なんだか・・・}


こう思うのが普通であろう。しかし刹那はダンの思惑とは裏腹に、敗北なんて恐れない!と言わんばかりの目をしていた。死ぬことなんてまるで考えていない、目をしていた。その目は、とても美しかった。


「・・・わかりました。もうやめろなんて言いません。しかし、僕は目的のためとはいえ、友人を見殺しにするわけにはいきません。・・・僕も、行きます!」


ダンは刹那を助けたい一心でついていくことにした。刹那はダンの気持ちに感謝し、黙ってうなずいた。



+++++



怪物を倒すことにした刹那とダンは、正面から戦っても勝てる確率は限りなく0に近いので策を練ることにした。ダンは意外にも策を考えだすことに関してはとても優れていて、

あの怪物たちをうまく倒す策を考えるにはそう時間はかからなかった。ダンの考え出した

策は次の通りである。


1、 まずは怪物たちを中心に二手に分かれる。

2、 ダンが囮になり怪物たちの注意をひく。

3、一番後ろの怪物を刹那が後ろから切り捨てる。

4、それに気づいた怪物たちの注意を今度は刹那がひく。

5、また一番後ろの怪物をダンが切り捨てる。

6、あとは2〜5を繰り返し全滅させる。

7、全滅させたら寝ているボスを二人で殺す。


補足

○怪物たちは主に昼間が活動時間のため夜は寝ているが、必ずボス以外のやつらが見回りをしているはずだ。

○怪物たちはたかが人間と我々をなめている。たった二人の人間相手にボスが出てくることはありえない。

○怪物たちは非常に頭が悪く、物忘れが尋常ではないためこの作戦が理解できないであろう。

○ 万が一気づかれた場合や、すぐにボスが出てきた場合はすぐに作戦を中止しすみやかに

逃げ出すこと。



以上がダンの編み出した策であるが、その発想力に刹那は疑問を抱いた。


「なぁ、何でこんなにいい方法があるのにいままで怪物たちを倒せなかったんだ?」


その問いかけに、ダンは静かに答えた。


「・・・やっぱりいざとなるとみんな自分の命が大切でね、作戦開始のときに半分以上の人が逃げ出したんですよ。僕はそのときの人数やそのときの時間などを計算に入れて策を編み出しているから、一気に計画が台無しになってしまったんです。その結果、正面から突っ込んでいくことになってしまい、僕や逃げ出した人以外はみんな死んでしまったんです。それ以来ですよ、あいつらにすき放題やらせているのは。」


刹那は黙って聞いていた。見ると、言い終えたダンはどこか悲しい表情をしていた。刹那は言った。


「大丈夫。俺は絶対に逃げ出さないから。」


温かい言葉だった。刹那の口から、温かい言葉が出ていた。ダンはそれを聞くとふっと微笑んだ。


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