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第1話 プロローグ

一人の男が、暗闇の中、歩を進めていた。


(次の世界に行って『罠』を仕掛けてきてくれ)


自分の仕事を心の中で確認し、男は暗闇の中を歩き続ける。


壁に突き当たる、男は歩くのをやめた。


男はゆっくりと壁に向かって右手を差し出した。


右手の平に、淡い青紫色の玉が形成され、それがだんだん大きくなったかと思うと、


男はそれを、壁に向けて放った。


ごごご、と音がしたかと思うと、空中に穴が開いていた。


男は何のためらいもなく、


穴の中に入っていった。








「刹那〜、起きてるの〜?」


女性が一階から二階に向かって叫んだ。


「あ〜!起きてますよ〜!」


そう答えた刹那は、ベッドに寝っ転びながらマンガを読んでいる途中だった。

八月三日、高校一年生の杉本 刹那は、夏休みの真っ最中だった。

忙しいことがあまり好きでない刹那は、部活に所属していないため、やることがない(宿題当は別、もちろん一切手をつけていない)ので家の中でごろごろしていることがほとんどだった。そのため、


「どうせ暇なんでしょ〜?ちょっと手伝ってちょ〜だ〜い!」


このような母からの頼みごとは、そう珍しいことではない。


「はいはい!今行きますよ〜!」


パタンとマンガを閉じ、はぁ、とため息をつくと、刹那はがばっとベッドから起き上がった。

開け放したドアを通過し、部屋の近くにある階段を駆け下り、母のいる居間へとやってきた。


「はい、これ」


目の前に差し出されたものは、何者でもない、ただの封筒。

刹那は封筒を受け取ると、それをひらひらさせながら母に向かって、


「またかよ、これくらい自分で・・・」


「ちゃんとポストに入れてきて頂戴ね。まったく、いい年してやることも無いなんて、哀しい男だねぇ」


文句を言う前に逃げられた。しかも、自分に対する侮辱を残されて。

刹那は少しだけむくれたが、母の言うことももっともだったので、反論することなく玄関に向かった。


「いってきま〜す」


そう言うと、暑い中、刹那はポストに向かって、前進した。

外はとても晴れていた。雲ひとつなく、まさに晴天だった。

しかしそれゆえ、日光が直接体に当たり、急激に体温が上昇してしまう。たまに見かける女性は、日よけ用の傘をさしており、日光への対策が充分にされていた。刹那はというと、日光対策などまったくしていなかった。急いでいかないと、


{真っ黒焦げになっちまうな}


そんなことを思いながら、残り少しの道を急ぎ足で歩き、ポストにたどり着くと手に持っている封筒をすとんとポストに入れた。

あとは帰るだけ、刹那は来た長い道を再び戻り始めた。じりじりと言わんばかりの日光が、刹那に容赦なく降り注ぐ。


{暑い暑い暑い、おっ!!}


そんなことを思いながら刹那は歩いていると、公園の中の広葉樹で出来た大きな木陰を発見した。ラッキーと思いつつ、その木陰に近づく。


{ちょっとくらい、いいよな}


そんなことを考えながら、刹那は木陰に、否、異次元の扉に足を踏み入れてしまった。


「みーーんみーーんみーーん・・・・・」


せみの鳴き声がうるさい。額から汗が流れ落ちた。と、そのときだった。

いきなり空間にゆがみ、2メートルほどの穴が開いた。


{????}


刹那には何が起こったのか、理解できなかった。本当にその通り、空間に穴が開いていたのだ。刹那が混乱に陥っていたときに、

ゆっくりとその穴から黒い布、いや、黒いマントを羽織った男が出てきた。


「次は暑いところか。あいつもよくやるよ」


男はため息をついた。刹那はその光景を見てあ然としていた。







その男は綺麗な赤紫色の髪の毛をしていた。黒いマントに良く似合う髪の色だった。







{な、なんだこいつ。手品・・なわけないし、どう考えてもおかしいだろ空間から出てくるなんて}


男は刹那にきずき声をかけた。


「やあどうも。ここは暑いね」







髪の毛とは全く違う、黒い瞳をしていた。







刹那はあいさつを返す余裕もなく単刀直入に聞いた。


「あ、あんた今どうやって出てきたんだ?どう考えても人間業じゃないだろ?」


男は笑いながら答える。


「人間業じゃない・・・か。そりゃそうだ。人間じゃないんだから」







綺麗な顔立ちをしていた。外国人みたいに、ほりの深い顔だった。







刹那は驚いた。


{こ、こいつ頭おかしいんじゃないか?でもこんなの普通の人間なんかにできっこないし・・・}


刹那は考えるのをやめ、男に聞いた。


「だったらあんたは何者なんだ?」


男は答えた。


「僕は神のつかいさ。名前はリバーっていうんだ。」


「神の・・・つかい?」


驚く刹那にリバーは言った。


「そう。ここに来た詳しい理由は教えられないけど、僕が出てきたこの穴のことなら教えてあげる」







不思議だった、その男の声から姿まで、なにからなにまで、不思議だった。







リバーは驚く刹那に続けて言った。


「この穴の名前は『ゲート』っていうんだ。魔力を圧縮し放つことで空間に穴を開け、中の超空間を通り別の異次元にいくことが可能になる。でも、ゲートのある所場所は決まっていて、そこに魔力を放つことでゲートが開く。ゲートのない場所で魔力を放っても無駄ってことだね。どう、わかった?」


刹那は驚きながらもゲートの仕組みを理解した。(刹那は頭が悪いわけではない)


{なるほどな。でも、魔力って一体なんなんだ?それにそのゲートを通ってきたってことはこいつも魔力を持ってるってことじゃないか。}


刹那はこのリバーという男を疑問に思った。神、魔力、ゲート、異次元、どれも聞きなれない言葉だ。疑問を持つのも無理もないだろう。刹那はリバーにもっとたくさんのことを聞こうとした。そのときだった。ゲートがいきなり竜巻のように風を吸い込み始めたのだ。


「くっ、まずい!」


リバーはゲートに吸い込まれた。刹那の体も浮く。


「う、うわああああああああ!!!!!」


刹那も暴走したゲートに吸い込まれる。

刹那を吸い込んだゲートは、その後何事もなかったかのように閉じた。






さてさて、いきなり異世界にとばされてしまった杉本刹那

これは偶然?

それとも運命?

いや、もしかすると誰かの予定調和?

いずれにせよ、物語は進んでいくことになります

何も知らない刹那には抗う意思さえないのですから

さぁ、長くなりました

次の物語は初世界編です

楽しんで読まれるか

それともすぐにこの物語せかいから脱出するかは

あなた次第

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