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ミメーシス・エイドロン  作者: すばる
1章

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エンドレストーキング

華憐ちゃんの話はあとがきでまとめてます

ルナに引きづられて、闘技場に連れて行かれながら俺は考えた。

どうやったら、ルナに気に入られずに済むか。

それは、とっても簡単。今から、ボッコボコに負けて仕舞えばいい。

不自然なくらいボッコボコにされれば、この戦闘狂ルナも俺のことなんか見切りをつけて他の強そうなやつを探すだろう。

え、ルナと付き合う?ないない。こんなに可愛い女の子と付き合ってたら顰蹙を買うもん。絶対。

闘技場についた俺たちは、再び学生証をかざしてジャージ姿になる。


「手を抜いたら、承知しないから」


ルナはそう言って『英雄の素質』をセットした俺を、銀色の双眸で見つめている。

俺は、『ラプラスの悪魔』に右目を奪われる感覚を味わいながら才能に従って木刀を構える。

木刀を構えたルナは、俺の目をじっと見つめている。

そんなに見つめても、俺は負けを譲るつもりはないぞと言う意思を込めて見つめ返すと、ルナが目を逸らした…なんで耳が赤いんだ…まだ俺のことは好きじゃないんだろ?そうだよな?

カァン!と合図がなり、俺とルナは才能の示す最善手に従って刀を振るお

ーーうとすると、ルナの木刀が軌道を変えて俺の鳩尾に打ち込まれる未来が見える


「……あっぶねぇ!?」

「やっぱ、ずるいね。その目」

「すっごい頭痛くなるけどな!?」


才能を上回る実力を持っているルナに、才能の通りの動きをしたら一方的にボコボコにされるのか。

負けるにしても、できる限りのことをしてからにしよう。そう思った俺は、頭を狙った木刀を弾きながら距離を取る。

打ち合うごとにテンションが高揚していって、体の動きが良くなっていく。

しかし、うーん、どうやって勝とうか…このままじゃ、ジリ貧だよなぁ…

才能に従って刀を振るって、ルナの猛攻をいなしながら俺は考える…


「いいね、先に見えてるからってフェイントにも騙されない」

「うわあ褒められてうれしいなあ!そのまま、指導者気取って大技を空ぶってくれてもいいんだぜ?」

「バレてるのがわかってて、そんなことするのはただのバカだよ」

「うぐぁっ…!」


言いながら、俺の腹を蹴り飛ばして距離をとった彼女は、木刀を構え直す…

今の、蹴りを躱してたら木刀で頭のシールドを叩き割られてた…!

これを繰り返されたら、未来が見えてるとか関係なくやられるぞ…!?

これを見たカサブランカが飛び出そうとするのを、才能を通じて止めておく。

カサブランカの乱入なんてつまらない結末は俺もルナも望むところじゃないからな。


でも、『不幸な子供』の効果は、才能の範疇だよな…?

特訓の一環としてカスミの不幸を使ったことがあった。

瞬発力を鍛えようと思って、俺を全力で不幸にしてもらったのだ。結局周りへの被害が大きすぎて没になったが、その時移す対象を選べるようになったのだ。

才能を通して、カスミに合図をして『不幸な子供』でルナに不幸を押し付ける。

残念ながら、彼女の動きは変わらず木刀を落としたりもしない。

チィッ、『英雄の素質』の効果か…!

武器をうまく取り扱うってことは落としたりするわけがないから、起こせる不幸がそもそも存在しないのか…!


数合打ち合って、隙をみつけたほうが蹴ったり木刀をぶつけたりして、互いにダージを蓄積する。

互いのシールドにはヒビが入っていて、次攻撃を喰らった方が負けるのは俺もルナも理解わかっていた。

些細な勝機を見逃さないように、じっと見つめ合う。

……あれ、なんで俺勝とうとしてるんだ?

突然冷静になった俺の重心が一瞬ぶれ、それを正気に繋げようとしたルナの木刀を打ち落としながら考える。


俺、わざと負けるんじゃなかったっけ?それもだいぶ大袈裟に。

うわぁ…やられた…これ才能の効果だ。

木刀で打ち合うたびに、勝利につながる道が何パターンも浮かび、負けにつながる行動が意識から除外されて、負ける方法がまずまず選択肢に浮かばないんだよな。

冷静になった今も、どうやったら勝てるか、負けないためにはどうすればいいかを考え続けてる俺がいるのを感じる。


うわ、こわぁ…精神にまで干渉してきてるじゃんこの才能…

とはいえ、ここで正気を取り戻したのは僥倖だ…このままうまいこと負けてしまおう。

ここで負ければ、最後の最後で負けた俺の弱さに落胆して「もう話しかけないで」って言ってくれる可能性がある……なんならそれ以外ない…!

結論を出した俺は、先ほどより大袈裟に隙を作る。自分から攻め込むと、手を抜いたのがバレそうだからな…


緊張状態で、俺の作った一瞬の隙をみつけたルナは疑うこともせずに突っ込んでーーこようとして、何度も打ち合うことで生まれた地面のヒビに足を取られて転んだ。

俺が構えている木刀に吸い込まれるように額がぶつかって、ルナの膜が割れる。

忘れてたぁぁぁぁぁぁっ!俺ルナに結構な量の不幸付与したんだった!

にしても、こんな大事な場面で起こるか!?おい『英雄の素質』!英雄はこんなしょうもない負け方しないだろ!?不幸耐性くらいつけとけや!

そうしたら俺がカスミの不幸を100%請け負ってカスミを普通の女の子にできるだろうが!?(親バカ)


いけない、あまりに予想外の事態に『英雄の素質』に対する不満が溢れた…

ごめんね、八つ当たりして…

カスミから才能を通して感動したような感情が送られてくる…あ、カスミもできたんだ…脳内L◯NE…

カスミが嬉しそうならいいか…『英雄の素質』くらいならいくらでも犠牲にしてやろう

とかなんとか現実逃避しては見たものの……勝っちゃったなぁ、どうしよう。これ、なんとか、俺が負けた感じに持っていけないかな…?


「……」

「……」


涙目で立ち上がったルナは、頭を押さえてこちらを向く。


「負けた…?実力で…わたしが?」

「いや、実力じゃないんじゃないか!?あー、そうだ!運が悪かっただけ、時の運!そう、たまたま!たまたまさいこー!」

「運も実力の内だよ?エルスくん。あと、あんまり大きい声で玉々サイコーとか叫ばない方がいいよ」

「言ってねぇわ!偶々って言ったんだ!」

「ほら、玉々って言った」

「言ってねぇ!俺は偶々って言ったの!」

「もう、あんまり下ネタばっか言わないでよ。こんなでもわたし、女の子なんだよ?」

「下ネタを言いまくってんのはお前だろうがァ!」

「ふふ、エルスくんは面白いね」


そう言われて、俺は自分のの証言が有耶無耶にされたことに気がついた。

ルナと目が合うと、軽く微笑んだルナが熱を帯びた目で見つめかえしてくる。

や、やめろ…そんな目で見るな……抱きつこうとするな!

お前さっき目があっただけでそっぽ向いちゃうような初心ガールだったじゃねぇか!?恥じらいを思い出せ!やめろ!頭を抱き抱えるな!人の頭を自分の胸に埋めるんじゃねぇ!?

俺の頭を撫でながら、目を合わせてきた彼女は言った。


「やっぱり、エルスくんなら好きになれそう」


なれなくていいです…俺がこれに気に入られてるのを誰にも知られないうちに寄生先を決めねば……!

少し頭を撫でてから、抱き抱えた俺の頭を解放したルナは出口に向かって歩いていく。


「じゃ、また明日。学校でね。」

「あ、あぁ……また明日……」

「学校めんどくさかったけど、きてよかった。たのしかったよ」


出口から姿を消したルナの影をぼうっと見つめながら、俺は絶望する。

どう考えても気に入られた…!

あんなのに付き纏われたら嫌でも目につくし、恋仲とか言う噂が立ったら取り巻きになるとか以前に嫉妬に狂った貴族が差し向けてきた後ろ暗いお友達(暗殺者のマイルドな言い方)に命を狙われて夜に眠れない体に大改造されちゃう!


「どうしよう……もう終わりだぁ……」


顔に影を落とした俺は、母さんどころかリリィにすら心配されて俺の好きなラーメンを食べにいくことになった。とてもおいしかった。

次の日、授業を終えた俺たち1年生は講堂に集められていた。

朝、ルナが無表情なまま挨拶がわりに俺の膝に座りやがったせいで周りの貴族たちから距離を取られてしまった……B以下のクラスにはまだ知られてないはずだから……そこら辺からいい感じの貴族を探し出せば……

ブツブツと、マイクが接続の不調をスピーカーを通して訴えそれが治った頃、この学園の学園長を務める『緋鶴華憐ひづるかりん』が前に立って口を開いた


『えー、ゴホンゴホン!やあやあ一年生の諸君!学園長だよ!あんまり若くてびっくりしたって?えぇー照れるなぁ、みんなも可愛いしかっこいいよ!いやー、最近暑いよねぇ。4000年前はもっと暑かったらしいけど、そんなことになったらわたし真夏のアイスみたいにドロドロに溶けちゃうよ。そうそうこないだねぇ金曜にロードしてる番組で、蛍◯墓やってたんだけど見た?あれも4000年前に作られたやつだけど、年取ったらもうダメだよねー、涙腺が弱くなって何見ても涙がポロポロ出てきやんの!例えば、こないだなんて酷かったんだよ、道端で泣いてる子供をちょっといかつい男の子が宥めてるのをみただけでうるってきちゃった。いやぁ、いっぱい聞いてもらっちゃって悪いね。最近の年寄りは若いみんなと違って、化粧のノリが悪けりゃ話のノリも悪いからね、話しててつまんないのよ。でも、わたしもそろそろ年寄りの仲間入りだから、こういう時じゃないとみんなと話す機会も全然なくて寂しいんだよ。やっぱり、高校生っていいよねぇ話してるだけで若さとか元気とか吸収できちゃいそーー』

『学園長、そろそろ本題をお願いします。時間も押していますので。』


学園長は教頭に嗜められ、一回マイクから口を離した。

学園長は、誰に対してもこんな感じで、ちゃんと止めないと1時間でも2時間でも余裕で話し続けるらしい。

このせいで、『緋凰学園』を取材した記事には大抵学園長のインタビューが載らない。なぜって?それはね、どの記者も、結局本題に入れず終わるから。


『ごめんごめん、みんなもこんな年寄りの話聞いてもつまんないよね!わたしも学生の時つまんなかったもん、わかるわかる。あぁ、ごめんってちゃんと本題入るから。それで、今日みんなに集まってもらった理由なんだけど、どの寮に入るか決めてもらわないといけないからなんだよねー毎年この時期に集まってもらって説明してるんだけど…ってまだなんの説明もしてないのにわかんないよね、ごめんごめん今から説明するから許して?まずは、そうだね選ぶって言ってもどんな寮があるのかわからないとだよね。うちの学園はね、校舎内に4つの寮を持ってるのよ。で、それを全部赤青黄白で色分けして、なんか行事があったらそれで組分けするってわけね。元々は赤青黄だったんだけど、入りきらなくなっちゃったから白を増やしたから1番施設が綺麗なのは白の寮だよ。なんで新しく増えたのが白なんだよって、よく言われるけど、やっぱり戦うなら紅白って感じじゃん?でも、そうすると残りの青黄はなんなんだよってなっちゃうよね。かといって赤青黄で三原色って言ったら白が仲間外れだし、やージレンマだってやつだね。鼻でも伸ばして囚人になったら解決するかな?いやあ、これじゃあもっとこんがらがっちゃいそうだね。で、なんの話だっけ、あぁ、そうそう寮の話寮の話。別に住んでも住まなくてもいいんだけど、一応所属する寮だけは決めといてね。全部の寮には一応入寮試験があって、赤の寮は実技、青の寮は学力、黄色の寮は家柄、白の寮は精神を重視してるの。どの試験も合否は寮長の匙加減次第だから、寮長と仲良くなってたら試験がいくら酷い結果でも入寮できると思うよ。まぁ、白の寮の試験なんて、ネタがなくてわたしが適当に作ったやつだから何もしなくても入れちゃうけどね。あっははは、ほんとに、そろそろ変えなきゃとは思ってるんだけどねぇ。あぁ、笑った笑った。どこまで話したっけ?そうそう、入寮試験が終わったところだ。寮ごとでやる行事はもう決まってるんだけど、体育大会、銀河開拓実習、修学旅行がとりあえず全部の寮共通でやる行事ね。あとは、毎年寮ごとに旅行一回行ける権利があるから、寮長が決めたタイミングで行けばいいよ。ちなみに、寮の成績はクラス分けにも影響するからね〜うぅん、話し足りない感じがするけど、これ以上話してると日が暮れちゃうし年寄りのおばちゃんはさっさと退場させてもらうよ。じゃあ、また話す機会があったら話そうね。ばいばーい』


手を振りながら出ていく学園長に、おそらくみんなの心が一つになった。

すなわち……二度と話したくねぇ……

話長いよ……学園長の言いたいだけだったこと抜いたら半分以下になるよ説明……

とりあえず、俺は白の寮でいいかな…一番目立たなさそうだし…試験も簡単っぽいし…

解散の号令がかかるのを待って舞台を見ていると、先ほどはけていったばかりの学園長が戻ってきた。

周りの生徒から、嫌気が差したような雰囲気が伝わってくる。

ルナは、寮の説明が始まったあたりでねた。俺の膝に頭を乗せて。


『いやぁ、ごめんごめん、ちょっと言い忘れてたことがあっただけだからそんな顔しないでよみんな。それだけ言ったらさっさとはけるからさ。えぇっと、1年Aクラスのエルス・レルクレムくん、君は白の寮に入寮させちゃったからよろしく。これだけだよ!じゃあねぇ〜』


……?

…………?

………………?

……………………俺?


なんで!?俺なんかしたか!?あ、平民だから!?一番誰でも入れる寮しか入れないよってこと!?

俺の名前を知っている周りの生徒からの視線をひしひしと感じる…なんで俺が指名されたんだ…?辛い…めっちゃ見られた……ルナを膝枕してるところも見られた……俺は、終わるのか…?こんなところで?(A.終わりません)

やっと、解散の号令がかかって周りの生徒がガヤガヤと喋りながら講堂を出ていく。

俺の膝を占拠していたルナも起き上がって、伸びをしながら周りを見ている。


「エルスくん、なんの話だった?」

「ちゃんと話は聞けよ……確かに嫌気がさすような長話ではあったけどさ……」

「めんどい」

「めんどいって、めんどいってお前……そんな理由で人の膝を占拠するなよ……まとめると、行事で必要だから寮に入ってね。組み分けみたいなものだから別にそこで生活しなくてもいいよ。一応入寮審査の試験があるよってことらしい」

「へぇ、エルスくんはどの寮にするの?」

「赤の寮(大嘘)」

「嘘でしょ(看破)」

「う、嘘じゃないけど?」

「エルスくん、嘘つく時耳の穴おっきくなってるの気づいてる?」

「えっマジで!?」


耳の穴に自分の指を突っ込んで確認するが、わからない…よく考えたらおっきくなる前の耳の穴のサイズしらねぇわ


「なぁ、ほんとにおっきくなってるのか…?」

「嘘だよ?」

「テメェ騙しやがったな!?(激怒)」

「でも、エルスくんも嘘ついたよね?(完全反射フルカウンター)」

「ごめんなさい(敗北)」


結局、俺が白の寮に指名されたことを聞き出したルナは、白の寮に入寮することに決めやがった……まぁ、そうだよね…とち狂って赤の寮とか入ってくれないかな……?

あっ…!


「ルナ、よく聞け。赤は実力重視の寮らしい。きっと強いやつがいるぞ」

「だから?」

「え、こないだお前『俺、強いやつと戦いてぇ!』って言ってなかった?」

「言ってないよ。そんなスーパーでサイヤな人みたいなこと。それに、わたし結構一途な方だから」

「やめてぇ……そんな目でこっち見ないでよぉ……(震え)」

「照れてるの?かわいいね」


完璧な作戦を破られて震える俺をルナが撫でる。

神様、俺はもう、取り巻きC(AとBはだめ)にはなれないんですか……?

華憐ちゃんの説明は不純物が多すぎて理解できない人の方が多いと思うので『猿でもわかる寮の設定資料』を用意しました。

華憐ちゃんの説明をどうしても読解したい剛の者以外はこっちを読めば十分です

『猿でもわかる!寮の設定資料』

寮の種類について

寮は4種類に分かれています

・赤の寮:実力重視で強いやつが集まります

・青の寮:学力重視でインテリが集まります

・黄の寮:家柄重視で傲慢なやつが集まります

・白の寮:精神重視で他に取り柄がないやつが集まります

全ての寮はさまざまな設備が設置されてあり、寮生なら自由に使えます。

寮に住むことも可能ですが、家が近い場合は所属だけして家から通学することも可能です。

行事について

大抵の行事は寮ごとでグループ分けされています

・体育大会では寮ごとにポイントを競います

・修学旅行は寮によって行き先が違います(寮内のアンケートで決まる)

・銀河開拓実習はいつか本編で説明があります

・一年に1回まで学園のお金で旅行に行けます。(行かなくてもいいです)

・他にも学力テストや所属者の才能のランクによって寮の総合ランキングが決まります。

総合ランキングについて

所属生徒の定期テストのランキングや行事の勝敗で上下します

寮の順位はクラス分けにも影響します

修学旅行の行き先はランキングが高い順で優先権が得られます

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