ウルルガモン
「今日は観光する時間はないですよ」
「わかってるよ……エネルギーの補給ってどれくらいかかるんだ?」
「2時間くらいですね」
「その間は自由時間にしたらだめ?」
「……仕方ないですね」
「やったぜ!!」
俺たちは、『フェルミア』と呼ばれる星でエネルギーを補給していた。
え、プリメの出身星の名前?『ニメルニア』だって。
なんか両方名前可愛いよね。
「あ、そこの銀行はうちと提携してるですから、両替していくといいですよ」
「両替?」
「しないと何も買えないですよ?」
「え、ニメルニアでは日本円が使えたのに?」
「はい。ここではユーロしか使えないです」
「なんで…?」
「この星はフランス領ですから」
「なんで日本領に降りなかったんだ?」
「壁を修復したせいでエネルギーが足りなくて降りる星を選べなかっただけですよ」
俺は何も言わずに銀行へ向かった。
「確かに、ニメルニアの街は日本っぽかったもんな。そんでフェルミアはフランスっぽい。おっ、この辺露店街じゃん……何が売ってるかなぁ」
俺は、レンガ調の街並みを見ながら露天を眺める…
「あの剣かっこいいな…買うか」
無駄に柄の部分がキラキラとした宝石で彩られた剣が置いてあった。
強く握ったら手のツボ押されまくって健康になりそう。
って戦闘中にそんなことできるわけないやろ!!
「まいど!1200ユーロだよ!!まあ、売れ残ってたし端数はおまけしてあげる
さ!(機械技術で日本語翻訳済み)」
「おォォォ…かっこいい…」
「そりゃあよかった…これが柄についてる宝石の鑑定書ね。あと、鞘はサービスだよ」
「おぉ!!ありがと!!」
鞘入りの剣を袋に突っ込んで俺は歩き出した。
あっちにはよくわからんけど面白そうな壺が……うわ、あれなんだ…?ウルルガモンの串焼き…?ウルルガモンってなんだ…?
「なあおっちゃん…ウルルガモンってなんだ?」
「うん?坊主観光客か?そうだな…商品買ってくれたら教えてやるよ」
「わかった…じゃあ、ウルルガモンの串焼き5本くれ」
「おっ!気前がいいねぇ!そう言う男はモテるぜ?」
「ありがとよ!で、ウルルガモンってなんなんだ?」
「ウルルガモンはな、森を歩いていると突然襲ってくる動物だ。胸に左右に6本ずつ足が生えてるんだ。前3本は指がついてて、石とか投げてきやがって後ろ3本は馬みたいな蹄がついてるんだ。普段は全部地面につけてるんだが、襲ってくるときは前体を起こして後ろの3本の足で走ってくるんだ。めちゃくちゃ速いから襲われたら逃げれねえんだ。肉がうまいから最近は養殖もされてるぜ」
「面白いな……ん?そいつ、頭と体はどうなってんだ?」
「聞きたいか…?」
おっちゃんの顔が少し険しくなって聞いてくる
「聞きたいよ。せっかくならどんなのか知りたいじゃねぇか」
「そうか…後悔するなよ?」
「なんだよ…脅かしてんのか?」
「ウルルガモンの頭は、まんまるな泡の中に大量の目玉が詰まったものなんだ。腹の下には3重の口がついていて、殺した獲物を骨ごとくっちまうんだと。消化器はそこから生えた真っ黒な腹の部分に詰まってて、食べた後とかは蠢いてるんだってさ…」
「うわあ、キモいな……」
「ちなみに、この肉はそいつの胸肉だぜ」
「すっごい食べたくなくなったんだけど」
「あ、あっちの役所で写真売ってるから見てみたかったら買ってみるといいぞ」
「先に言えよ商売上手め」
「はっはっは!またこいよ!!」
「時間あったらな」
見た目を想像するとすごく食べずらい…これほんとに食べても大丈夫なやつ??
とりあえず、一個食べてみる……うまっ!?足が6本あって顔が目の集合体の体に口がある化け物がこんなにうまいの…!?
「4本はお土産に持って帰ろ……おっちゃんもう一本ちょうだい!!」
あまりのおいしさに串をタッパーに突っ込んでからもう一本買った。
それを食べて、実はそこまでグロく無いんじゃないかと思って写真を買った。
結果、あまりにグロくてもうあの肉は食べないと誓った。
「ふう、色々買ったなぁ」
なんかすごくよく光るランタン、投げたら真後ろから逆襲してくるフリスビー、地球のパチモンっぽい石像…etc.
合計散財額1324ユーロ(日本円で22万円くらい)……いや、剣高くね!?一本で19万くらいじゃん!?
なんか、日本円感覚で買ってたけどそうだよね、1ユーロ170円くらいだもんね
「俺、この戦争中に50万くらい消費してる…?」
俺は自分の財布を開いてレシートを眺めて膝をついた。
「貯金が……」
俺は来月から節制を心がけることを決めた。
あと、バイトすることも…
「お、エルスくんちょうどよく戻ってきましたね。あとちょっとでエネルギーの補充が終わりますよ」
「そうか……」
「なんか元気ないですけど、ぼったくられたりしました?」
「いや、普通に散財しすぎた…今日だけで22万……」
「バイトしろです」
「うん……あ、これウルルガモンの串焼き。お土産に買ってきた」
「わあ、おいしそうですね!」
「ヴォルさんとガガーリンさんとプリメの分もあるから。分けて食べてくれ」
「ありがとうです……なんですか?この紙?」
「食べたらみてくれ。見ればわかるから」
「そうですか?じゃあ、3人に配ってくるです」
「いってら」
エネルギー補給を終えて走り去っていくめるに続いて、宇宙船に乗り込む
インターネットでゼロが一つ減った口座の残高を見て、俺は絶望しながら買ったものをトランクに詰めた。
「うにゃぁぁあ!!!!!」
突然、プリメの叫び声が聞こえる
「ご、ごごご主人様!?なんて物を食べさせるのですか!?あんな気持ち悪い生き物の肉食べたくなかったんですけど!?」
「え、うまくはあっただろ?」
「美味しかったですけど!そうじゃないでしょう!?あんな気持ち悪い生き物って知ってたら食べてませんよ!!!」
「ウルルガモンの見た目…グロいもんな」
「グロいとかじゃありませんよ。生理的に不快です」
「そこまでではなくない??」
肩を怒らせながらプリメが捲し立てる。
「なんでわざわざあんなキショいものの肉を買ったのですか!?普通に豚肉でもいいじゃないですか!私、パーフェクトエンジェルメイドなので大体なんでも美味しく食べれますし!!」
「お前、料理の腕はパーフェクトだけど掃除はノットパーフェクトだろ。あと、お前にエンジェル要素はない。微塵も」
「え、今なんて言いました?」
「突然難聴系主人公始めんな」
「え、私がおかしいって、攻撃の威力が低すぎるってことだよな?あれ、私また何かやっちゃいました?キンキンキンキンキンキン!!黙れっ!!(ドンッ!!)」
「なろう系主人公欲張りセットやめろ」
後半二つは脈略なさすぎるだろ
てか、その辺のミームって他の星まで回ってるんだ……まあネットあるから当然か
「で、なんであんな気持ち悪いものの肉を買ってきたのですか?生理的に受け付けなくて身体中の穴という穴からなろう系主人公が漏れそうなのですが」
「何?その奇病?いや、俺も買った時はあんなキショい生き物だと思わなくてさ…」
「なんで写真をわざわざ一緒に渡しやがったんですか?」
「何食べたのかは知っておきたいかと思って」
「世界一いらない配慮ですね」
プリメがめっちゃ殴ってくる…ひどい…
「謝罪してください。謝罪してください。さもないと鑑定して強制的にステータスプレートオープンしたついでに追放しますよ?」
「え、そんな気軽に追放するの??そろそろなろう系世界から帰ってきてくれる??」
「……ここは?はっ、地面があるってことはもしかして……異世界!?(迫真)」
「何言ってんだお前。お前は死んでないし魔法陣にも巻き込まれてないだろ」
【急募】ウルルガモンを食わせたらなろう系主人公になったメイドを治す方法
「わかった、わかった。悪かったって。ちょっと反応を見たかっただけだったの。ほんとに」
「楽しかったですか?」
「とってもっ!!(爽やか)」
「ふんっ!!(憤怒)」
「とっても痛いっ!!(苦悶)」
「次やったら苦悶式で体に教え込みますからね」
「すでに実行してて草」
プリメに無駄に高かった剣から取り外した宝石をあげると、すぐに機嫌を直した。
「ご主人様、この宝石大きすぎません?すごい光ってますよ?」
「よくわからん……宝石がついた剣ってロマンだと思って買っただけだから…」
「いくらしたんですか?」
「えと…日本円で、19万くらい?」
「バカなんですか…?」
「……てへっ」
「可愛くないので今すぐに死んでください」
「辛辣すぎるっ!?」
「あ、エルスくんいた。そろそろ出発するからついておいで」
「え……?」
ガガーリンさんに呼ばれたので、プリメに一言告げてからガガーリンさんの跡をついていく
「どこにいくんですか?」
「え?そりゃキャトルみゅ……逃げないでね」
「やっぱリィ!!!いやダァ!!!!!」
結局連行されて吹っ飛んだ俺は、右足を壁から引っこ抜く。
「これ、恒例行事にされたくないんですけど」
「僕もみてて面白いから恒例にしたいな」
「愉悦で人のことをおもちゃにするのやめませんか?」
「うーん、もっと面白い子が見つかるまでは我慢してね」
誰かを生贄に捧げない限り俺が救われることがないということが確定した瞬間だった。
誰か……俺の代わりにガガーリンさんのおもちゃになってくれる人がいますように……今年の七夕の短冊にはこう書くとしよう…
スイレン「期待してる人がいたら申し訳ないですけど、今後うるるがもんさんが活躍することはありません!ただの食糧です!」
あと、今日俺が忙しすぎるからあとがきおやすみだよってことも伝えといて。
「だ、そうです!読者の皆さん!最近短くてごめんなさい!次はちゃんと長いはずなので!スイレンでした!」




