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ミメーシス・エイドロン  作者: すばる
1章

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命の危機リバイバル

翌朝、昨日と同じカラオケでめると落ち合う。

黒いワンピースを赤と白ののヒラヒラとしたレースとリボンで飾りつけたいわゆるゴスロリと呼ばれれる服を身にまとい、少し大きめのポシェットを肩からかけている

光を反射してキラキラと輝く白髪と右目につけている眼帯も相まって、厨二病以外の表現が見つからない相貌だ。

昨日は割と普通のワンピースだったのに…なんで?


「エルスくん、おはよぅ……」

「おはよう、眠そうだな」

「そりゃ眠いですょ…今何時だと思ってるです??」

「6時?」

「朝のですけどね!?ぐっすり寝てたのに、突然モーニングコールされためるの気持ちがわかるですか!?」


眠そうだっためるはカラオケの個室に誘導してやると、目が覚めたのかうがぁ!と両手をあげて威嚇してきた。

……オオアリクイみたいでちょっと可愛い


「そんなことよりさ、ちょっと相談したいことがあって」

「そ、そんなこと!?睡眠不足は乙女の天敵ですよ!?」

「めるは大丈夫じゃないか?なんかもちもちしてそうだし」

「ふなっ!?もちもちしてないですよ!?……もしかして太ったですかね?」


ちっちゃい子の肌って何してももちもちなイメージあるしな。

めるが何かぼそぼそいってるがよく聞こえないので相談を再開する。


「昨日、家に帰ってる途中で勝手に『ラプラスの悪魔』が起動してさぁ」

「へ!?勝手にって、大丈夫だったですか!?」

「え、うん。なんなら、おかげで助かったみたいなところあるし」

「助かった、ですか。未来で何か起こってたですか?」

「あぁ、リリィが襲われてた」

「リリィさんと言うのは……あの、同居人の女の子ですか?」


めるの声のトーンが下がって周りの空気が少し下がる。

なんで起こってるんだ…てか、妹のことを同居人って言うな


「同居人というか、妹なんだけどさ。黒い化け物に襲われて死んでたんだよ」

「あ、妹だったですね……よかったです…というか、間に合ってよかったですね」

「あぁ、そうなんだが……」

「なんかあったですか?」

「あぁ、その未来が見えた後、『万能の天才』を確認したら才能が増えてたんだよ」

「……なんて才能だったです?」

「『大人のための絵本』だって」

「……えっちな奴です?」

「違うが!?俺も一瞬そう思ったけども!」


めるが身を守るように、胸を抱いて一歩後ずさる。

真面目な話の途中でちょけるなよ……

おい、俺を犯罪者予備軍みたいな目で見るな。俺が名前つけたわけじゃねぇから


「『大人のための絵本』ですね、ちょっと待つです。発現報告を確認するです」


ポシェットからスマホを取り出して何かを立ち上げる。

立ち上げた画面に何かを打ち込むと画面を見せつけてきた。

そこには、痩せこけた男の写真とその名前、プロフィールなどが記されている。

画面をスクロールしていくと、男の才能が記されており俺は笑った。


そこには、『大人のための絵本』という名前とその能力が記されていた。

才能名:大人のための絵本

対応偉人:エドワード・ゴーリー


能力

この才能は成長型であり、使用するたびに能力が変化することが確認されている

ここには、その変化を大まかな段階に分けて記すことにする


第一段階『うろんな客』

うろんな客を呼び出す。

最初は明確な形を持たず、敵対的だが力で隷属させることで形が固定され従順になる。

第二段階『不幸な子供』

影が風船を持った子供のような形に変化し、周囲1kmほどにいる人間を不幸にする。

才能を制御することで不幸にする対象を選択できることが確認されている

第三段階『敬虔な幼子』

自らの信仰心によって身体能力が変化する

人形劇アヤツルモノ』によって信仰心を植え付ける実験では、片手で鋼鉄の檻を捻じ曲げるほどの筋力増強効果を確認した

第四段階『悍ましい二人』

二人組の影が生み出される。その二人は黒いモヤをだしながら動き回り、そのモヤに触れた生き物は病魔に冒されたように苦しんで死を迎えることが確認されている。

二人の影は才能主を起点に生み出されて、30分間残ることが確認されている。

この段階にて召喚主が死亡したため、この段階の制御方法これより後の段階の有無は確認されていない。


「……やばくないか?この才能」

「うーん、エルスくんのと比べたらそうでもないですけど、強い部類だとは思うですよ」

途中で出てきた『人形劇アヤツルモノ』は絶対やばい…精神まで操れるってことだろ?こわぁ!

「ていうか、この才能持ち死んでるんだけど昨日襲ってきたのは何者?」

「次代じゃないですか?この記事もう100年くらい前のですし」

「そういうことか、でさ、やっぱり俺の才能が勝ちかな?」

「知らねーですよ。今ここで才能の格付けチェックしても仕方ないですから、一回うろんな客出してもらえるですか?」

「おっけ、わかった…あれ?」

「どうしたですか?」

「いや、なんか『大人のための絵本』の進捗が64%まで上がってるんだよ…バグかな?」

「いや、プログラムじゃないんですから才能にバグとかないですよ!?」


でも、ウェルチェさんの説明じゃ『ラプラスの悪魔』の進捗は増えなかったのに…なんでだろ?

そう言ってからめるは真剣な顔で何かを考え始める。

そして結論に至ったのか、慎重に口を開いた。


「才能を持ってる状態で、説明を見たから…ですかね?」

それを聞いた俺は、流石にありえないと反論する

「いやいやいや、それじゃあ、一回見ちまえば教科書に載ってるような才能なら使い放題じゃねぇか……そんなもんが許されてたまるかよ」


基本的に、貴族は力を誇示するために才能を世間に公開しており時にはパフォーマンスとして才能を一般に披露することもある。

もし、それで俺が才能を学習したりしたら…いやそれどころか、俺がどこかで才能を見てしまい、その貴族が能力を声高々に喧伝していたら……その貴族の才能は、唯一無二ではなくなる…そして、見栄と利権が大好きな貴族はそんなことは許せないだろう。

ヤッベェ、命の危機リバイバルだわ


「ですけど、状況証拠的にそれしか考えられないです。そうでなくてもやばいのに、これを公表したらエルスくんは貴族の中で一躍時の人になれるですよ」

「それで追っかけてくるのは、大量のガチ恋勢《暗殺者》だろ?」

「ですね。とりあえず、めるが才能の利権にズブズブな貴族なら絶対にぶっ殺しにいくです。自分より優良な条件で才能を行使されたらたまったものじゃないですから」

「……だからか、リリィが襲われたのは」

「でしょうね……とりあえず、一応めるもエルスくんの家族のことは見ておくです」

「頼むわ。俺もさっさと『ラプラスの悪魔』を制御しきっちまうわ」

「いや……それより先に『大人のための絵本』の制御を優先するです」

「え?『ラプラスの悪魔』はいいのか?」

「30分だけでも問題ないっちゃないですから。それに、うろんな客を制御するために使い続けてたら自ずと時間も伸びるです」


めるはそういって、うろんな客を出すように促してくる。

一度閉じていた『万能の天才』を再度開き直し、一応『ラプラスの悪魔』でうろんな客の様子を視ておく

緋色に染まった右目には、相変わらずぐにゃぐにゃと捩れるうろんな客が映し出されていて安全を確認した俺はスロットに『大人のための絵本』を移す。

ミヨンミヨンと伸びたり縮んだりしているうろんな客を見ながら、『大人のための絵本』から伝わるうろんな客の意思を解読する。

あ、『ラプラスの悪魔』を発動してる人が二人いるせいでめっちゃビビってる。

才能を通して、バカにしたらめちゃくちゃ怒りの感情を送りつけてきた。

顧問にビビッてる高校生のL◯NEみたいだな……

『ラプラスの悪魔』を解除することを対価にしたら従ってくれたりしないかな?

そう思い、俺が才能を通して『ラプラスの悪魔』を解除してやるから仲良くしようぜ的なことを送りつけると、才能を通して脳内にぐっとサムズアップするうろんな客のイラストが送付された。

ス、スタンプまで使いやがった…しかも自作の……こいつ…オタク寄りだな?

仲良くできそうだぜ……

『ラプラスの悪魔』を解除すると、うろんな客が襲いかかってきたので両手で掴んでポイっと投げ捨ててスロットに『ラプラスの悪魔』を戻そうとする


ーーが、そこで違和感に気がついた。


昨日見た未来で俺はこいつに何もできずに殺されていたはずだ。

土壇場で俺が急に覚醒するなんてことはありえないし、うろんな客が手を抜いたのだろう。


「お、お前……手を抜くなら襲いかかってくるなよ」


そういうと、脳内に大量の地団駄を踏みながらぷんぷんしているスタンプが送られてきた。スタンプ爆撃《脳内テロ》やめい。

スタンプの送り方がわからない俺は、この間見たアニメのラストシーンを思い出しながら教えのバカデカ感情で応戦した。混乱するような感情が送られてきたので俺の勝ちだろう…二度と挑みかかってくるなよ、雑魚が

ニヒルに笑って勝利宣言をしていると、どこかに行っていためるが戻ってくる

てか、お前が出せって言ったのに見てなかったの!?めるがいるから安心と思って『ラプラスの悪魔』解除してたのに!


「あれ、めるどこ行ってたんだ?」

「一応報告ですよ…エルスくんの才能については伏せておいたですけど」

「それ抜いたら、報告することなくない?」

「妹さんが襲われたことを報告したですよ!?」

「あー、それね?どうだった?」

「一応、警戒はしてくれるそうです。あんまり期待しない方がいいですけど」


一度口を閉じためるは、視線を俺の後ろがわに移した。

つられて、振り向いた俺は、思わず二度見した。

そこには、虚ろな目をした、顔も何もかもが真っ黒な髪の長い長身の女性が立っていた。

俺よりも背の高い彼女は、腰を曲げて俺と視線を合わせてジィッと見つめている。


「エルスくん、めるがいなくなった途端に女の人連れ込むのはどうかと思うです」

「え、だれ!?」


ジィッとこちらを見つめてくる女性に驚くと、『大人のための絵本』から傷ついたと言わんばかりの感情が送られてくる

めるは、絶対零度の視線を向けてくる。やめて、俺もわからないんです…

才能から、脳内に不思議そうにするうろんな客のイラストが表示されて、ようやく俺は理解する


「え、お前うろんな客?」

「え!?エルスくん目までおかしくなったですか!?この女の人があの謎の流動体と一緒に見えるですか!?」


才能を通して、何かよくわからないスタンプが100個くらい送られてくる。

早すぎてイラストが見えない…!?

爆撃が止んで、最後の一個はものすごい勢いで頷いているイラストだったので正解ということだろう。

絶対零度の目を辞めためるは可哀想なものをみるような目で見ている。その目もやめない?


「お前、形が固定されたのに、イラストは不定形の時と一緒なんだな…」


暖かい目で見てやると、うろんな客から大量のイラストと憤怒の感情が送られてくる。途中途中に仲良しみたいな感情が挟まっているので、冗談だと認識しておく。

それにしてもやかましいので、ミュートにできないか試すと静かになったので放置する…


「なぁ、める…いつの間にかうろんな客と仲良くなってたわ」

「何言ってるですか……?すっごいみられてるですよ?あ、地団駄踏んでるです…ちょっと可愛いです」


ミュートにして無視していると、地団駄を踏み出した。

こいつ、こんな人間味溢れるやつだったか…?


「ま、まぁ一旦、いいです。『ラプラスの悪魔』の特訓するです」


めるがうろんな客に絆された。

あ、頭撫でてる。


「うっわ、髪の毛さっらさらです!?」


うろんな客の髪の毛ってサラサラなんだ…

うろんな客が思ったより早く仲間になったので、めるの言った通りに『ラプラスの悪魔』の特訓をしようとしたら、めっちゃ嫌がられた。


『万能の天才』を操作しようとする腕をガシッと掴んで表情のない顔をブンブンと横に振っている。心なしか、虚ろな目に力がこもっているような気がする…

そんなうろんな客を見て顔を見合わせた俺とめるは苦笑して時間いっぱい普通にカラオケを楽しんだ。

うろんな客のキャラ書きにくすぎる

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― 新着の感想 ―
折角プログラムした『ラプラスの悪魔』が悪戯する展開は面白そうだと思います。 あと、キャラクター愛が在るようだったので、一度イラスト見てみたいです。
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