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ミメーシス・エイドロン-α-  作者: 名無し
2章

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32/53

ワームホール

翌朝、俺はしいなの帽子を持って雲母坂家へ向かっていた。

今日は帽子を渡したらすぐに帰る。そう思いながら、ドアチャイムを押す


ピンポーン


チャイムがなって、しいなの母親の雲母坂えみがドアを開けて姿を現す


「あら?あらあらあら!エルス君じゃない!どうしたの?しいなはまだ寝てるわよ?」

「あ、なら、これ渡しといてください。俺は帰ります。ではーー」

「起こしてくるからちょっと待っててちょうだい。上がってていいわよ」

「え、いや…これ、渡してくれればいいんで…あの?」


エルスは逃げ出した!

しかし、回り込まれてしまった!


「ほらほら、上がっていってちょうだいな」

「あ、あの?俺これ渡しに来ただけなんですけど…?」

「気にしなくていいのよ〜それより美味しいお茶菓子を買ったの!今出すわね」


なんで…俺は居間にいるんだろうか?

なんだか高そうな羊羹が紅茶と一緒に目の前に置かれる


「ありがとうございます」

「食べてちょうだい。あ、でも食べたらこっちはみない方がいいわよ?」

「……なんでですか?」

「うーん、やっぱり食べるの待ってもらえるかしら?しいな連れてくるから」

「……なんでですか?」


無視である。食べないように言われたから一応食べないでおくけど…

えみさんが、しいなを起こして連れてくる


「……お兄さんおはよ」

「あぁ、おはよう。あと、これ。帽子屋から」


しいなが目を見開いて、帽子を抱く


「……持ってこれたの?」

「家に帰ったらあったんだよ」

「……そう」


嬉しそうに、帽子を抱えて部屋に戻った。

帽子を置いて、階段を降りてきたしいなが俺の前の椅子に座る


「じゃあ、俺帰るな。じゃ、また!」

「……食べて」

「なんか、入ってるだろ」

「……惚r…げふんげふん…なにも入ってない」

「惚れ薬って言おうとした!今!絶対惚れ薬って言おうとした!!」


怖いッ!人の趣味嗜好を矯正するだけじゃなくて怪しいお薬まで使ってくる!?

薬に頼らずにこいよっ!魂でぶつかってこいよ!!


「……そんなものあるわけないでしょ?」

「こないだっ!テレビで見た!そういうのを作る才能があるって見たッ!」

「これ高かったのよ〜?一般人にはなかなか売ってくれないし」

「ほら!絶対羊羹の話じゃないっ!」

「……あーん」


しいなが羊羹を刺したフォークを口に押し付けてくる


「大丈夫よ。2時間くらいで効果が切れるらしいわ」

「その2時間でなにする気ですか…?」

「当然セッ…よ」

「アウトォォォォ!!!!!なに言ってるんですか!?しいなはまだ小学生ですよね!?」

「愛があれば問題ないわ」

「……問題ない」

「問題しかないッ!!」


そしてその問題を排除する愛すら仮初なんだわ!

本当にそんなことしたら今度こそ自主的にお縄に付かなきゃいけなくなっちゃう!


「仕方ないわね…今回は諦めるわ。仕方ないから和宏さんに食べさせようかしら」


……生々しい呟きは無視して、席を立った


「じゃあ、俺この後用事あるんで」

「……女?」

「…違うが?」

「……私を放置して他の女のところに行くんだ」

「食べないからほっぺたに羊羹押し付けるのやめてくれる?」


真顔で、羊羹を差し出してくるしいなを押し除けて玄関まで強行する


「お邪魔しました。またきます」

「……本当に行く?」

「うっ…悪い…先約があって…」


しいなの頭をぐりぐりと撫でて玄関を出る。

そのまま電車に乗って学園まで戻った俺は青の寮の前で立ち止まる


ーーカンカンッ!!


古めかしい扉に取り付けられたドアノッカーを叩くと金属のぶつかる音が響いた。

返事がないので、叫んでみる。


「失礼しまーす!ルル先輩いますかー!」

「うるさいッ!普通にチャイム鳴らしなさいよ!!」


横を見ると、近代的なカメラ付きのチャイムが付いていた…

ドアノッカーがあったら叩いてみたくなるじゃん!!

もう一回だけ叩いちゃだめかな…?


「次カンカンッ!ってやったらあんたの右腕の骨をドアノッカーに変身させるわよ!?」


何それ怖い!?

流石に右腕をドアノッカーに返信させられてはたまらないので、おとなしく俺はチャイムを押した。

チャイムを押すと、スピーカーから声が聞こえる


「要件は何よ」

「あんたが出るならチャイムじゃなくてよかったんじゃない!?」

「うるさいわね……さっさと用件を言いなさいよ」

「ルル先輩に会いにきました」

「寮長に…?あんた、名前は?」

「エルス・レルクレムです」

「ちょっと待ってなさい」


スピーカーがブツリと切れて数分の間静寂が支配する


「ちょっ!寮長!着替えてくださいっ!?」


先輩の声がして…ドアが開いて、枕を抱いた寝巻き姿のルル先輩が姿を表した。


「なんでパジャマなんですか…?」

「予定が、ない日は、寝てるから」

「今日は予定がありますけど?」

「エルスちゃん、なら、まあ、いっかって」

「よくないんですけど?」


結局、ルル先輩は着替えず、俺は彼女の部屋に招き入れられた。


「好きな、ところに、座って」


俺はすぐそばの椅子に腰掛けーー落下ーー先輩のベッドに着地する

立ち上がって、再び椅子に移動ーー落下ーー再び先輩のベッドに着地する

諦めた俺は、起きてきた時のままなのか、ぐちゃりと丸められた掛け布団を嘘ろにずらして先輩をに問う


「先輩、好きなところに座ろうとしたのに、強制されるんですけど……」

「どこでも、変わらないから…どこにいても、自由」

「自由とは?」


Twetter(現Y)で投稿したら大炎上しそうなことを言って、俺をベッドに固定した先輩は俺の横に腰掛けて、俺のかたに頭を預ける


「何してるんですか…?(警戒)」

「既成事実、作ってるの。結構、うで、鍛えてる、ね。」

「腕に頬ずりするのをやめろっ!?」


先輩を引き剥がして、ベッドの端まで後ずさった俺はそれ以上先輩が近づけないように布団の山を俺と彼女の間に移動させる。


「こ、ここから先は俺の領土です……この防壁をもってその証明とします……もし超えたらその時は覚悟してくださいね……?」

「じゃあ、エルスちゃん、部屋から、出れない、ね?」

「脱出経路を考えてなかった!?」

「えい(布団を強奪)」

「領土侵害だ!?」

「エルスちゃん、は、女の子の、お布団で、興奮する、たいぷ?(布団を差し出す)」

「違うわァ!いらんわそんなもん!誰だ領土とか言い出したやつぶっ殺してやる!!」


俺は布団を地面に叩きつけようとして、これが人様のものであることに気がついて丁寧に畳んで背後に移動させた


「育ちの良さが、隠し、切れてない…」

「先輩、ふざけるのも大概にして本題に移りましょう」

「これも、本題だよ?」

「はぁ?」


遊んでただけだろ…?惚れた好いたとかアホみたいなことぬかさねぇよな…?


「そういえば、才能を俺にみられたことなんか言われましたか?」

「うん、母様は、『見せちゃったなら仕方ないねー』って言ってた」

「あ、そんな軽い感じなんすね」

「あと、『ちゃんとろうらくしてきてねー』って…ろうらくって何?蝋燭の仲間?」

「違いますね」


なんか、先輩に籠絡とかはできなさそうだな…よかった清い先輩で…


「さっきのは、ね、メイドの人が、『男なんてベッドで体さわればろうらくできるよー』って、言ってたんだよ。できてた?」

「大丈夫です…めっちゃちゃんとできてました。もしあれを無意識でやってたなら先輩はドスケベ界の麒麟児です」

「どすけベぇ?」


やべぇ、俺、リリエンタル家に目つけられてるじゃん……


「せ、先輩、お母様は他に何かおっしゃってませんでしたか?消すとか潰すとか殺すとか」

「え…?それは、全部、言ってた、よ?」


あぁ、終わったわ^^

天気はいいのに進めねぇよ…


「才能、の、能力が、詳しく、わかったら、使える、んだよ、ね?」

「え?」

「エルスちゃんの、才能」

「そ、そうですけど……?」


な、何をする気だ…?

いや、そこまで言ってるのを聞いてたのに…まさか…ないよな?


「じゃあ、『ワームホール』、使える、ようになって、ね?」

「いやですっ!俺は才能の説明を聞いてないから使えませんで通すつもりなんですっ!最後のハシゴ外すのやめてくださいっ!お願いします」

「えっとね、まず、自分を、真ん中にして、座標を二つ設定するの(無視)」

「話聞いてくれます?」

「そしたら、そことそこが、繋がって、穴が、開くよ(無視)」


『ワームホール』ーー52%


ただでさえ…何回も穴を通らされて進捗が増えてたのに…トドメを刺された…


「使える?」

「使えないです(大嘘)」

「本当は?」

「使えないです(意固地)」

「お母様に使えるようになったって連絡sーー」

「使えます(怯え)」

「じゃあお母様にーー」

「どっちにしろじゃねぇかッ!?いや言質取られた分今の方がまずいわ!?」

「じゃあ、どうすればいいの」


遮られて不満そうにしている先輩に懇願して、なんとか母親への連絡を取りやめてもらった。


「じゃあ、使って、みて?」

「あの、聞くところによると、大抵の人は脳が処理し切れずに死ぬらしいんですけど、そこんとこどうなんですか?」

「エルスちゃんなら、大丈夫、っしょ(キラッ)」

「軽い感じでやめてくれます!?」


とりあえず、やばそうならすぐに外すつもりでワームホールのバッヂをタッチする。

つけて、久々の脳がオーバーヒートする感覚にすぐバッチを外した


「……うっわ、無理だこれ。『ラプラスの悪魔』で慣れてるからわんちゃんとか思ってたけど、余裕で死ぬわ…すみません、無理っぽいですね。なのでこれに関しては諦めていただく方向でーー」

「じゃあ、練習、しといてね」

「え…?」

「じゃあ、またね」

「ちょっ、せめて方法くらッーー」


真下に生まれた穴に落ちて、俺は黄の寮に帰宅した


「え、あの人…ずっとあんなことしてんの?」


冷静になった俺はルル先輩の尊敬度が上がって、ヴァリスの尊敬度が下がった

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