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ミメーシス・エイドロン  作者: すばる
1章

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28/30

愛してる

目を覚ました俺は、何かが体に覆い被さっているのを感じた


「スイレンか…?」


寝ぼけた目で、見下ろすと紫色の髪が目に入った…


「しいなか…」


また潜り込んできたのか…と目を閉じようとして、


「なんでいるのっ!?」

「……お兄さん、何騒いでるの?」


眠たそうに、目をこすりながら布団の中から這い出てくるしいなをベッドに座らせて状況のすり合わせを行う


「俺たちは笑い猫を殺したよな?」

「……うん」

「才能が解除されて、世界が崩壊したよな?」

「……うん」

「なんでいるの?」


首を傾げたしいなが手を叩いて、いった


「……愛?」

「何をいってるの??」

「……お兄さんが私を好きすぎて、連れてきちゃった?」

「違うが!?」

「……お兄さんは、私のこと好きじゃない?」


大きな瞳を、うるうると潤ませて見つめてくるしいなに根負けして俺は言う


「いや、しいなのことは好ーー」


ガチャリと、ドアが開いて、ルナが顔を出す

静かに、ルナが口を開いて


「エルスくんがっ!ちっちゃい子にベッドの上で告白してるぅ!!(恐怖)」

「違うっ!これには事情があってっ!」


それを聞いて、寮生たちが部屋から顔を出す


「ベッドの上でっ!(事実)告白してるぅ!!(誤解)」

「誤解だっ!誤解!見た目上はそう見えたとしてもそこにはアマゾンの奥地で探さないといけない真実があるんだよ!!!」

「別にどーでもいいですよ。どーせカスミちゃんでしょ?」


寮生の一人が言って、周りの皆が頷く。

え、俺ってそんなイメージなの……?


「残念だけど……新しい子だった」

「えぇッ!寮長っ!誘拐はダメですよ!?」

「寮長っ!警察行きましょう!自主すれば少しは罪が軽くなりますからっ!」

「どんな子ですか?可愛い?」

「すごく可愛い」

「まじかっ!みにいこーっと」

「一回黙れっ!言いたいことがあるやつは後でいえッ!!」


ぎゃあぎゃあ騒ぐ寮生たちを黙らせて、経緯を説明して…鼻で笑われる


「何言ってるんですか?寮長」

「体育大会が終わったの昨日ですよ?」

「4日も不思議の国にいたとか……メルヘン拗らせるのもいい加減にしてくださいよ(笑)」

「え…?体育大会終わったの昨日なの…?」


スマホを確認して、それが事実であることを確認する


「と、とりあえずしいなを家に帰らせてくるわ……」

「証拠隠滅ですか!?」

「神妙にお縄についてくださいっ!」

「死ね変態!ーーグボぁ!」


最後の一人だけ顔面を壁に叩きつけて、部屋に戻る。


「しいな、家に帰りなさい」

「……しいな、まだ帰りたくなぁい♡」


久しぶりに見たな…キャバ嬢形態…


「先に警察行くか」

「……え?あ、お兄さん…同意の上だから大丈夫だよ?」

「同意がなかったとしても俺は何もしてないっ!」

「……一緒のベッドで抱き合ったのに?」

「あれは違うじゃん?」




ブーブー文句を垂れるしいなを連れて、事情を説明すると警察所で取り調べを受けることになった…

状況的に俺が誘拐犯扱いされるかと思ったが、俺もしいなも才能に取り込まれていたと話したら、別々に研究室のようなところに連れて行かれた…


「お兄さん、才能ある?」

「えっと、ありますけど」


そういうと、検査官の人は手に持っていた機械をしまってこちらを向いた。


「それじゃあ、才能見せてもらえるかな?」


そう言われて、プレートを出すとそれを確認した検査官の人の空気が緩んだ


「ありがとう。じゃあ、あっちの検査が終わったら終わると思うからちょっと待っててね」

「えっと、検査って何をするんですか?」

「才能を使ったり使われたりすると、多少なりとも魂に歪みが生じるんだよね。それは、1週間くらいで治るようなものだけれどそれを感知できる機械があるんだよ。君が洗脳系の才能でもないことも確認したし、彼女の魂から歪みが検出されたら君の無実が証明されるんだよ」


尋ねると検査官の人が、ものすごく細かく教えてくれた。


20分くらいで、結果が出たらしく俺たちは解放された。


「……お兄さん、危なかったね」

「何が!?俺何もしてないけど!?」


しいなを家まで送っていったときは、しいなと母親が泣きながら抱き合ってるのを見て一旦帰ろうとしたら彼女の父親に捕まって手がもげるかと思うほど手を振られた。

父親の『雲母坂和宏』さんはゴリゴリの筋肉とは対照的に無口で、しいなの口調が彼譲りなことを俺は理解した。

母親の『雲母坂えみ』さんの方は、逆にめちゃくちゃお喋りだった。うちの学園長と合わせたら共振して永久機関が誕生しそうだ。


えみさんが、学園長と違うのは話が無駄じゃないところだろうか。

最初は感謝を述べられていたはずなのに、話を聞いていたら、いつの間にか居間でお茶を飲んでいた。

話を遮ろうと思っても、地味に続きを聴きたくなることを延々と言われて区切る場所が見当たらなかった。

やっと、話が終わったと思ったらもう日が暮れて、短針が9を指していた。


「あら、ちょっと話しすぎちゃったかしら」


ちょっと……?しいなを連れてきたのが11時だから、10時間近く話しているんだけど…?


「……お母さんは話し上手なのに話しすぎる」

「悪い癖なのよねぇ…あっ!そうだ、エルスくん、今日はうちでご飯食べて行くといいわ!今から作るのは時間がないから、出前になっちゃうけれどね」

「え、流石にもう帰りたーー」

「……食べてって」

「いや、かえーー」

「……食べてって」

「ご馳走になります…」

「よかったわ!もうお父さんも注文しちゃったみたいだし、断られたらどうしようかと思っちゃったわぁ」


言われて振り向くと、スマホを持ってドアの前に佇む和宏さんの姿があった。

ボディでブロックしてるじゃないですか、やだぁ…

押しても引いても動かなさそうだ…木刀でボコボコにすれば退けれると思うけど


和宏さんも、感謝の気持ちなのか、ただ愛娘が帰ってきて舞い上がっていたのか、異常な量のピザが届いた。

普段からこうなのかとも思ったが、えみさんがびっくりしていたのでそうじゃないことを理解した。


「流石にこんなには食べきれないわね。エルス君、帰りに2枚ほど持って帰ってちょうだい」

「ありがたくいただきます」

「そんなにかしこまらなくていいわよ、我が家のようにくつろいでちょうだい」

「……そう。くつろぐといい」

「そうさせてもらいます」


ピザを食べながら、しいなが不思議の国であったことを話している。

しいなが包みかくさず、というかあったことをそのまま話したため、えみさんの顔が引き攣っていた


「そ、そんなに殺伐とした世界だったの?しいなが生き残ってくれて、本当に良かったわ……」

「……お兄さんのおかげ」

「エルス君、本当にありがとうね。あなたがいなかったらしいなは今頃…」

「攫われた一因に俺もあるので、気にしないでください」


無意識に近づいてきたしいなの頭を撫でてしまい、えみさんが「きゃあ」と顔を赤た。


「まぁまぁ!二人は仲良しさんなのね!エルス君は将来しいなのこともらってくれるのかしら?」

「いや、あの……不思議の国でよく撫でてたから、癖で…すみません」

「いいのよいいのよ!エルス君ならしいなも安心できるもの」


違うんです、俺がしいなを撫でてから和宏さんが、震えすぎて、電話がかかってきたスマホみたいになってるんです……怖いんです…許してください…


「……お父さん、泣くなら結婚式にして」

「そうよ?あなた、昔から感極まるとすぐ泣くんだから」


え、これ感涙なの…?

激怒を堪えてるんじゃないの…?


「しいなを…よろしく頼む…」

「あの、まだ俺もしいなも結婚できる年じゃないですし……まだ保留ということで……」


それに、しいなを恋愛対象として見てたらロリコンだし…


「しいなを…よろしく頼む…」

「これって、YESを押さないと進まないタイプの選択肢ですか?」

「しいなを…よろしく頼むッ…!」

「あ、しかもどんどんバッドエンドが近づいてくるタイプのやつなんですね」

「しいなをッ…よろしく頼むッ…!」

「わ、わかりました」


これ以上話を逸らすと肯定するより酷いことになりそうだったから諦めた……怖いよ…無表情でちょっとずつ近づいてくるんだもん……

それに、ちっちゃい子の「将来おにーちゃんと結婚するー」みたいなものだ、俺もしいなも2年もすれば忘れてるだろ。

すると、折り畳まれた書類の名前を書く欄と血印の欄が差し出される


「じゃあ…これにサインと血印を…」

「なんですか?これ」


折り畳まれたそれを広げると、婚姻届という文字が現れる。

左側の名前の欄には、雲母坂しいなと書かれている

え、これもう約束とかじゃなくて契約の域じゃん


「なんであるんですか!?」

「こういうことが…いつあってもいいように、生まれた時から…婚姻届だけは…」

「それちょっと怖いですよ!?生まれた時からっていうのが特にッ!!」

「……お父さん」


流石にしいな的にもアウトだったのか、しいなが静かに和宏さんに近づいていく


「……ぐっじょぶ」

「いいのかよ!?え、えみさん…流石にまだ早いですよね…?」

「どうせいつか書くのだからいいんじゃないかしら?」

「…あんたもそっち側かッ!」


てか、しいなが知らないならその血印とサインは無断で描いてるから無効書類じゃないか!?

あっ、血印は押されてないから結婚できるようになるまでにしいなが愛想をつかしたら一方的に破棄できる不平等条約になってるッ!!


「か、書きませんよ?」


婚姻届を押し返すと、すっと和宏さんが俺の手を取った。

ペンを持たせて、婚姻届を机に置いて……


「しいな……エルス君の苗字は?」

「……レルクレム」

「俺しいなに苗字を言った記憶がないっ!!」

「……ハンプとダンプに、言ってた」

「アァァァァ!忘れてたぁぁぁ!」


グググと、俺の手を動かして勝手に名前を書く。


「……お兄さん、ちょっとちくってするけど我慢してね」

「完全にスルーしてたけど!この流れ2回目だぁぁぁぁ!また犯罪に手を染められてるぅぅぅぅ!」

「あら、エルス君誰かに婚姻届を書かされたことがあるの?」

「あ、いや……学園で、寮長になることに同意する書類を……」

「よかったわぁ…婚約者がいたら、どうしようかと思ったもの…」


どうするつもりだったんですか…?


「1ヶ月くらいうちで生活してもらって、しいな無しでは生きられなくなってもらったり?」

「監禁と洗脳では…?」

「愛があれば問題ないわよ」

「その手段をとるってことは最初愛がないと思うんですけど?」

「終わりよければ全ていいのよ」

「よくないですッ!それは双方の同意を経て使われる慣用句ですよ!?」

「……これは、お兄さんの」

「え…?」


しいなから婚姻届を受け取って、すぐに俺はそれを破り捨てた


「ワハハハハッ!これで、危機は免れ…え?」


目の前に突きつけられた同じ内容の書類を見て、俺は目を疑う


「……予備があって、よかった」

「ボールペンは透けたとしても、血印は透けないと思うんだけど?」

「……ぐっじょぶ、まま」

ツッコミに集中しすぎて指の痛みを忘れていただとッ!?」


な、なんで…こんなことに…


「……安心して、お兄さん」

「何をだ…」

「……私は将来、これを同意もなしに勝手に出したりはしない」

「本当か…?」

「……うん」


ひとまず安心した俺を、しいなが谷底に突き落としてくる


「……それに、もし嫌がったら、ままに手伝ってもらうから」

「それ、愛を植え付けられるやつじゃなくて?」

「……そうともいう」

「洗脳じゃねぇかッ!」

「……じゃあ、お兄さんは私のこと、嫌い?」


悲しそうに、しいなが顔を伏せる。

それを見るとなんだか、少し悪いことをした気分になる


「え、そんなことない…ぞ?」

「……じゃあ、好きって言って」

「え?」

「……好きって言って」

「わかった…好きだよ」

「……ありがと」


ニコッとしいなが笑って、俺が胸を撫で下ろすと…背後からカチっと音が鳴った。


『しいな、好きだよ』


「罠だった!?」


小型の録音器具を持った和宏さんが、満足そうにボタンをカチカチする。


カチッ『しいな、好きだよ』カチッ『しいな、好きだよ』カチッ『しいな、好きだよ』カチッ『しいな、好きだよ』……


俺の声で、何回も言われると本当にしいなのことが好きな気がしてくる。


「新しい洗脳の方法を作り出すのやめろッ!?というか、俺それ言った記憶ないっ!一瞬で音源が改竄されてるッ」


カチッ『しいな、愛、してる、よ』カチッ『しいな、愛してる、よ』カチッ『しいな、愛してるよ』カチッ『しいな愛してるよ』カチッ『しいな愛してるよ』カチッカチッカチッカチッ……


「再生しながら微調整していくのやめろぉッ!!」


その後、終電を失った俺はこの家で一夜を明かし……しいなを恋愛対象として見られるようになっていた

あとがき

皆様、そろそろ新学期が始まった頃でしょうか?

私は始まって正直絶望しております…冬休みの間勉強ばかりしていたとはいえ、普通に学校に行かなければいけない事実が俺の体を蝕んでおります…

ところで、最近マスクつけてますか?私はつけていなかったのですが、学校でインフルが大拡散してつけざるを得ない状況になっております…

そして、コロナ渦が明けてから2年ぶりですか?くらいにマスクをつけてみたら、それはもう息苦しいんです!!ほんっとうに息がしにくいんですよ…

我々昔はあれを当然のように毎日つけていたってマジですか??私は耐えられなくて30分に一度位はマスク外して外界の空気を摂取しています…

流石に少しくらい本編の内容も触れときますか

今回、最初はプロローグのつもりで描いてたんですよね…この次の話とその次の話をギュッとして5000〜6000文字くらいに収めるつもりだったんです。

なのに、気づけばしいなちゃんとその家族が好き勝手に動き出してまして…1話分の濃さになってしまったので色々加筆して1話分の長さにさせていただきました。

次の話も、その次の話も、描いてるうちに楽しくなってしまいまして伸びにノビまくった結果、結構な量になっております。読んで楽しい話にはなっているはずですので、ぜひ楽しみにしていただけると幸いです!


では、また2日後に会いましょう!

それでは!さよーならー!!


コメント・評価ぜひおねがいします!!

作者のモチベーションがアップします!

更新頻度は上がりませんが作品のクオリティーがあがりますよ……!!

あ、コメント評価できない方も大好きですよ。

作者はアクセス解析みながらにやにやするタイプなので。

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