: command12 生死 ※
Command12 蘇芳 涼風
蘇芳「(澪都、どうしたんだろう…あんなに慌てて…)」
涼風は無言でスタスタと箱の目の前に移動する。
蘇芳「(涼風先輩に気をつけろって…………どういう事だろう…………)」
【command12 生死】
ルール どちらか生き、どちらかが死ね
遂行出来なかった場合、罰を与える
蘇芳「死ぬ…………何、この命令…」
涼風「……………………ふふ」
涼風は刀を抜き取ると蘇芳目がけて振り下ろす。
蘇芳「…………っ!?」
間一髪で避けるが、涼風の表情を見ると蘇芳はゾッとした。
涼風「ふふ、この間は殺し損ねたけど。とても運がいい組み合わせと命令内容……樹先輩、必ず敵を取りますね」
蘇芳「す、涼風先輩待ってくださ…………ぅ」
蘇芳の頬に刀が当たり、血が出る。
蘇芳「す、ずかぜ……せん、ぱ…………」
続けざまに攻撃をする涼風に蘇芳は避けるので精一杯だった。
蘇芳「待ってください!……二人で生き抜く方法を探しましょう!きっとある筈です!」
涼風「生き抜く方法…………?そんなの無いよ。お前が生きて、樹先輩が生きられない…………そんなの許せない。お前が…………樹先輩を殺したんだろ」
蘇芳「…………っ!?」
涼風「よくも…………樹先輩を…………殺す!絶対にお前を殺す!!」
涼風は蘇芳の肩を掴むと、そのまま床に押し付けた。
蘇芳「っ!!涼風先輩………」
涼風「生きるべきはお前じゃない。お前はあの場で死ぬべきだったんだ」
蘇芳「(ああ、そうだ…………本当はこの時、僕は鬼に殺される運命だったんだ。なのに、こんな僕を樹先輩は助けてくれた。自分の命を犠牲にして。僕があの時…………そのまま死を受け入れたら、きっと樹先輩は生き残っていた。僕が…………僕が殺したんだ…………あんな優しい素晴らしい人を…………。僕が今、樹先輩に対して償いをするなら…………それは今、死を受け入れる事……)」
涼風は蘇芳の脇腹に思い切り刀を突き刺した。
蘇芳「…………ぅぐっ!!」
涼風「僕から先輩を奪った悪魔…………許さない、赦さない、ユルサナイ…………!!」
涼風がもう一度刀を振り上げると…………。
何かの光がそれを阻止した。
涼風「…………っ!?」
蘇芳「…………え」
「涼風、後輩を傷つけちゃいけないぞ!!」
涼風「…………【樹先輩】?」
その光は実態は無いが、まるで樹の様に話し始めた。
「僕はそんな事は望んでいない。皆笑顔になって欲しいだけだ!だから、刀を降ろして…」
涼風「…………どうして…、僕は!!……もっと貴方と一緒に居たかった!!お願い…………帰ってきてよ、樹先輩っ!!」
「それは出来ないんだ。…………でも、僕はずっと皆の側にいるぞ!綺麗なお空で見守ってる。だから、涼風は1人じゃない」
光は抱きしめるかの様に涼風を包み込んだ。
「笑って、涼風…………幸運な毎日の為に」
涼風「…………先輩」
涼風は涙を拭うと優しく微笑んだ。
涼風「僕、貴方の後輩で良かった…………大好きです、樹先輩………!」
「それは僕もだぞ!可愛い後輩を持てて僕は幸せ者だ!」
光はスッと蘇芳の額に触れた。
「蘇芳、笑顔はどうした?もっと笑え!」
蘇芳「で、でも……僕のせいで先輩は…………!」
「僕は僕の心で助けたんだ。この決断は悔いはない。だから、君が思い詰めることは無いんだ。…………僕は、満足してるよ。君がこの先生きて行くことに。…………だから自信持って、蘇芳はこれから強くなる。その為にも思いっきり笑うんだ!!」
蘇芳「い、つき……先輩…………」
蘇芳の頬に涙が零れ落ちた。
蘇芳「…………にぃいー!」
「ふふ……満点!!」
最期に光は一瞬太陽のような笑顔をした樹の姿になった。
そして、光は消えて行った。
涼風「…………樹先輩」
蘇芳「…………」
涼風は蘇芳に向き合って頭を下げた。
涼風「ごめんなさい…………僕、どうかしてた。こんな事、樹先輩は望んでいないって分かってた…………」
蘇芳「いいんです。貴方のお気持ちとても良く分かります。少しの交流であんなに素晴らしい人だと分かるほど、暖かい人。涼風先輩は僕よりずっと一緒に居る。貴方にとって樹先輩はかけがえのない人ですもの」
涼風「…………本当に、大好きだったんだ。先輩の優しさが、先輩の言葉が。…………先輩の笑顔が。…………でも、これで分かった。僕はやっぱりまだ樹先輩と一緒に居たい」
涼風は自身の刀で首元を斬りつけた
蘇芳「…………っ!?す、涼風先輩!!」
涼風の首から血が大量に溢れる。
涼風「どち、らにせよ…この命令を、クリアするには…どちらかが死なないと……いけない…………。蘇芳………樹先輩が、生かしてくれた命…………無駄にしないでね…………」
そして涼風は笑顔で息を引き取った。
蘇芳「………涼風先輩」
監視者は蘇芳に鍵を渡す。
【蘇芳…生存。涼風…死亡。こちらの扉から戻れます】
蘇芳「………きっと、天国で樹先輩と一緒に居られますよ。幸せな場所で」
【涼風:死亡】




