:
>>>>3年3組前
蘇芳は鬼から無我夢中で逃げ続けた。
蘇芳「(樹先輩…大丈夫かな………。樹先輩も僕が逃げたの確認したらきっと逃げてるはず。先輩に限って捕まることは無い…)」
蘇芳は教室の中に入った。
窓の外を眺めると、グラウンドには澪都、紫野、静月、摂津が探索してるのが見えた。
蘇芳「(良かった……皆無事みたいだ。八柳も磯波先輩も大丈夫かな?)」
村雲「………あっ、蘇芳………!」
蘇芳「村雲先輩、ご無事だったんですね」
村雲「本当に良かった………。俺、誰とも会えなくて…凄く心細かった………。あれ、太腿どうしたの?」
蘇芳「鬼にやられたんです」
村雲「ぇえ!?良く逃げ切れたね……」
蘇芳「樹先輩が助けてくれたんです。僕、あの人の事勘違いしてました。村雲先輩の言った通りです。樹先輩はちゃんと僕たちを見てくれる……。怖い思いも笑顔で吹き飛びました。僕も……樹先輩の様な先輩になりたいです」
村雲「俺もだよ。この施設から出れたら……もっと明るい日々が待ってると思う。こんなポジティブな考えしたの初めてなんだ。あの人のお陰でそう思えるようになった。感謝してもしきれないよ」
2人で雑談をしていると、突然禍々しい雰囲気が漂った。
村雲「何だろう…この感じ……」
蘇芳「鬼だ………鬼が近づいて来てる……」
_______ザッザッ
蘇芳「………………」
村雲「………………」
2人は戦闘態勢に入った。
すると、鬼は二人の存在に気付くと、斬りかかって来た。
蘇芳「………っ、この鬼……さっきの鬼だ………じゃあ、もしかして……」
鬼の背後からもう一体の鬼が現れる。
蘇芳「(この鬼…分身するんだ。だからさっきも一度に来て……)」
村雲「………っ蘇芳!」
蘇芳「大丈夫です。もう逃げません……!村雲先輩、こういう時こそ笑顔ですよ!!」
蘇芳は攻撃を受け止め弾き返した。
蘇芳「(やっぱり、分身してるから一体の能力は下がってる。それに、もう一体はフェイクならあの鬼を攻撃しても誰かを傷つけないで済む)」
蘇芳は攻撃を受け流しつつ、もう一体の鬼の動きを観察した。
蘇芳「(あっちが偽物だ………動きが拙い………)」
すると偽物の鬼は標的を村雲に変更した。
村雲も攻撃を受けとめるが壁に追いやられる。
蘇芳「村雲先輩!!」
村雲「俺は大丈夫!!蘇芳はもう一体の方に集中して…!」
蘇芳がよそ見した瞬間、鉈が右頬をかする。
蘇芳「(少しでも隙を付ければ矢で…………。は!!そうだ……!)
蘇芳は黒板消しを見た。
よく見ると手入れされてないのかチョークの粉で汚れていた。
蘇芳は刀を投げ捨て、黒板消しを二つ手に取る。
鬼が蘇芳目がけて鉈を振り上げた瞬間。
_______バフンッ
蘇芳は鬼の目の間で黒板消しを叩くとチョークの粉が霧となる。
鬼は粉を払いのけ隙が出来る。
その隙を狙い、蘇芳は矢を構える。
蘇芳「(この一矢で決まる。死か生か………っ、手が震える…僕に出来るのか……?こんなに弱い僕が……)」
恐怖の中、蘇芳は樹の言葉を思い出した。
蘇芳「(そう、こんな時こそ笑う。辛い事も、苦しい事も……。そうですよね、樹先輩!!)」
蘇芳は吹っ切れたような顔で笑う。
蘇芳「地獄に落ちろ……悪鬼が……」
矢が鬼の額を貫き、塵となって消える。
蘇芳「村雲先輩!!こっちです!!」
村雲の手を引き、教室を出る。
走り続け南校舎に辿り着いた。
村雲「はぁ……はぁ……ありがとう、蘇芳………助かったよ………」
蘇芳「もう鬼の気配はしません。撒いたようです」
蘇芳「(樹先輩…僕、先輩に近づけましたか………?)」




