31. 油断だめぜったい
「いいか、皆んな。夏休みだからって油断はダメだぞ」
授業終わりのHR。
明日から始まる夏休みの過ごし方について。
担任の先生から、いくつかの注意事項の説明がなされた。
*繁華街などの場所にはなるべく近づかず、もし怪しげな誘いがあっても断ること。
*スマートフォンの利用には十分注意し、一日の使用時間を守る。
*遊んだり出かけたりするのも結構だが、学生の本分は勉強であることを忘れないように。
etc…。
中には、”いや小学校じゃないんだから”とツッコみたくなるものもあったが、ある程度厳しめにしておかないとハメを外すヤツが現れるのだろう。
ほぼ成人と呼べる年齢たれど、所詮は子供。大人の決めたルールを遵守しなければならない。社会的な責任を負えない以上は。
そういう意味で、僕はちゃんと先生の話を傾聴していた。
が、一方で。
隣の席に座る亜久さんは。
先生の言っていることは話半分に、せっせとノートに何かを綴っていた──
☆都心のおしゃれスポットで遊ぶ!
☆ソシャゲのレベル上げをしまくって、夏休み中に大幅ランクアップ!
☆念願の沖縄旅行へ!熱海もいいな〜♪
etc…。
先生、この人。
夏休みだからって油断しまくり…なんですけど。




