24. きんじられた書物
僕は図書室が大好きだ。
学校の生徒なら誰でも入れて、好きなだけ本を読み漁ることができる。
なんて素晴らしいんだろう。
昼休み。
今日も図書室へ足を運んだ。
いつも通り、本棚から興味がありそうな本を探していると──。
「ふん♪ふん♪ふふん♪」
揚々と鼻歌を鳴らし、向かい側から現れたのは亜久さん。
彼女が両手で抱えているのは、随分と古めかしくて分厚い本。その装丁といい、筆で書かれた表紙の文字といい、まるで時代劇に出てくる書物のよう。
あんな本、図書室にあったっけ…?
「ねえ、亜久さん…その本。なんなの…」
僕は自分の表情が強張っているのを感じつつも。
恐る恐る尋ねた。
対し。
亜久さんは本を愛おしそうに携えながら、上機嫌で応えた。
「書庫の奥の方に眠ってたの。たぶん、すっごく貴重な本だと思う。タイトルは──」
謔ェ鬲泌小蝟壹譖ク
亜久さんの口から発せられた、その表題を聞いた瞬間。
頭の中に一瞬、鋭い閃光のような衝撃が走った。
一体なんなんだよ…これ。
「ふんふふん♪」
ハッと。
慌てて、我に返ると。
亜久さんは読書用の椅子に座り、あの本を読み始めようとしているではないか。
「待って亜久さん…!」
それ絶対開いちゃダメなやつ──!




