21. おしえて亜久さん
だめだ。
英単語も文法もまるで覚えられない。
習った箇所を復習しようと、英語の教科書をめくりながら。
僕は絶望のため息を吐いた。
頑張って理解しようとしても、全部アルファベットの集合体にしか見えない。
(亜久さんはどうやって勉強してるんだろう…)
隣の席に座る超優等生の亜久さん。
英語も『いやネイティブかよ』ってレベルだし、何かコツでもあるならぜひ知りたい。
もちろん、図々しいのは承知の上で。
「あの〜亜久さん…。ちょっと教えていただきたいんですケド…」
僕は亜久さんの方を向いて、おずおずと尋ねる。
「英語の勉強って、何かいい方法とかない…でしょうかね…」
「それなら…多読がおすすめだよ。単語と文法がいっぺんに覚えられるし、長文読解の練習にもなるし。まさに一石三鳥って感じ」
亜久さんはそう教えてくれた。
なるほど。”多読”か。
確かに、英語で書かれた本を読むのは効率的な学習方法だ、とよくテレビや本でも紹介されている。
でも、いったいどんな本を読むのが良いのだろう。
なので、亜久さんおすすめの洋書を聞いてみると──
「やっぱり私が好きなのはヘミングウェイかなぁ。一見硬派な印象なんだけど、実はその奥には情熱と浪漫が秘められてて。例えば、”The Old Man and the Sea”のある一節では…」
嬉々として、ヘミングウェイの魅力を語ってくれる亜久さん。
ありがたいんだけど、僕の英語力ではそもそも論。
…読めそうにないです。
誰か、僕に絵本を紹介してください。
2025/08/26
※諸事情により、エピソード内容を変更致しました。ご了承ください。




