嘘つきな病弱妹、都合が悪くなるとすぐ気絶する演技をする妹に大切なものを奪われてきた姉が、婚約者の王太子まで妹に奪われて婚約破棄され、ざまあした方法とは?
「お姉さま、その首飾り頂戴!」
「これは私が殿下から頂いたものですから、駄目ですわ」
さすがに婚約者からの贈り物はあげられませねんわと首を振りました。
いつも頂戴、頂戴という妹でしたが、うっとさすがに黙りましたわ。
「……」
「あなたも婚約者となる方から頂いたらいいのですわ」
「わかりました」
やけに素直ですわね? さすがに15にもなったら大人になりましたか?
この甘い考えを私は数か月後後悔することになりましたけど。
「アマーリエ、君、体の弱い妹のリーリアをいじめているそうだね?」
「え?」
「リーリアが泣きながら僕に言ってきたよ、体の弱い妹がいる姉だから自分は不幸だったと君から言われていると」
「あの子は健康ですわよ、風邪一つひいたことはありませんわ」
見かけは病弱というか、線が細くて、色が白いことから、すぐ苦しいとか病気の真似をして両親の関心を引いてましたけど私は騙されませんわ。
倒れた次の日にもりもりとご飯を食べましたのよ、私の数倍は食べてますもの普段から、太ってはだめだと運動をしているのすら知ってますわよ! 両親は病弱な妹にやさしくしてやれと言いますが。
医師も妹に騙されてるのを知ってますのよ! 色仕掛けで迫ってましたもの。
「かわいそうなリーリア、病弱なのを嘘といわれるなんて」
「いやだから……」
「君との婚約を破棄させてもらう、妹いじめに嘘つきの人と婚約はできない」
男はすぐ妹の気絶に騙されますの、前にそういえば殿下の前で倒れたふりをしたことがありましたわね。あれですか。
男の前ですぐ倒れますのよ。
都合が悪くなると気絶する演技をするのですわ。
私がそういっても信じてもらえず婚約は破棄されましたの、首飾りは……。
「お姉さま、この首飾り、婚約者からもらいましたの」
「へえ」
「殿下からですわ!」
「よかったですわね」
私がしれっというと、ぶすくれた顔で妹は自分の部屋に帰っていきました。
ええ、私は知ってますわ、あなたが次の婚約者になったことをね!
許すまじ私は絶対に復讐することを誓ったのですわ。
「もしかしたら身ごもったのかもしれませんから、侍医に診断をしてもらうべきですわ!」
「いえ」
「ねえ、陛下」
「そうだな、そのほうがいいそなたは病弱だと聞いているし」
ええ。しれっと婚約発表のお披露目をして、その場に私も呼ばれましたわ、でも王宮の晩餐会でスープを飲んだ妹の具合が悪くなった時、私はこう提案しましたの。
吐き気は身ごもったときのね……。
「違います、そんなことは!」
「はいリーリア、行きましょう、すみからすみまで診察してもらいましょうね、あなたは病弱ですし、心配ですわ!」
私は大声を張り上げて、侍医を呼びました。そしてがしっと妹を拘束して、侍医のところに連れて行ったのです。
「健康ですな」
「え?」
「病弱? いえ健康そのもの、身ごもってもおられません。ああ、吐き気は食べすぎのせいかと」
ええ、お腹が膨れるというある薬をスープに垂らしておきましたの、それを飲めば、たちまちお腹いっぱい、吐き気はそこからきたのですわ。
苦労して探し出したかいありましたわ、元から薬草づくりは趣味でしたけど!
「健康ってリーリア……」
「病弱? とんでもない、人一倍食欲があって昔から元気ですわよ」
私が言うと侍医がうんうんとうなずきます。あなたの毒牙にかかってないじいさま侍医がいることは私はね調べてましたの!
驚く殿下と、慌てる妹。
そしてふうっと倒れる演技をする妹、倒れた妹を診断し、ああ、気を失ってはおられませんと空気の読めない侍医が宣言し。
そして……。
「もう一生涯独身でいいですわよ」
「おい、妹があれで姉のお前まで」
「だってあの子は婚約破棄され、嘘つきの罪で殿下に愛想をつかされてしまいましたし、修道院送りとはやりますわね。あそこは男がいませんし、それに私は薬草師になりますから、将来は安泰ですわ」
私は薬草研究をしています。自立しようとしていたことが役に立ちました。結婚しろという両親に向かって笑いかけました。
殿下は女性不信になり、あれから誰とも婚約をしてないそうです。
あらまあ、あれくらいで案外神経が細いのですわね。ふふ、あなたにも復讐はさせてもらいますわ。どの薬草がいいですかしら。
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