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春夏秋冬の歯車    作者: 茶々木 颯
4/4

夏(2)

今作品もとてもベタになってるおります。

ベタなりすぎ注意報が出ています。

でも本当にベタか否か…

海に行く日の一週前のことだった。

ピロリン 広のスマホにメールが一通。陽向からだった。

沙羅が海に行きたくないって

急なキャンセルだった。

なぜ?

と短く早く返すと、すぐに返信がきた。

沙羅と冬美がケンカした

陽向からの返信に驚いた。

陽向からのメールによると沙羅のフレンドリーさが裏目に出てしまい。冬美に迷惑をかけてしまったらしい。

広は急いで冬美にメールを送った。

沙羅と仲直りしてよ

すぐに返信がきた。その返信に広の歯車が外されたのであった。

絶対に嫌だ。もうメールしてこないで。

広は慌てて返信をしたが何も返って来なかった。広は完全に元気と明るさを失った。

そんなことを知らずに秀からメールが一通。

広の家に今から向かうよ。遊ぶぞ!

秀は何も知らない。

今日は来ないで。なにも話したくない。誰にも会いたくない。

その広の返信から悲しさ寂しさ苦しさなどの全てを受け取った秀は

広、家から出るなよ

と返信し秀は自転車を全力で広の家に向かって漕ぎ始めた。

広に返信してから十分後に秀が広の家に着いた。

ピンポーン インターホンを鳴らすが誰も出ない。でも、広が家にいるとは鍵が空いていることを知っているので秀は勢いよく玄関を開けて広の部屋へ入りこんだ。

「広!広の近くにはいつでも俺がいる!なんで話せ!なんでも言ってくれ!」

と息を切らしながら言った。

広は、その言葉に心のストッパーが外れて泣き始めた。そして秀のもとへダイブした。そして、五分後。広は目を擦りながら口を開けた。

「もう恋なんかしたくない」

泣いたあとなので声は掠れ小さかった。だけど思いは秀にとても伝わった。

さすが幼なじみだ。秀は冬美と何かあったことをすぐに察した。

「冬美と何があった?話してみ?」

「冬美にもうメールしてこないでって」

「なぜそうなったかよく考えてみろ。それは冬美だけが悪い話か?」

それを言うと広は秀に全てを話した。

秀はすぐに原因が分かった。

「俺の予想だが沙羅と仲直りしてよって送ったメールに原因があるかもな」

「どこにあるんだよ」

「だってそのメールは自分のことしか考えてないメールだろ」

広は振り返って自分を見つめて気づいた。

「たしかに」

「だろ。まずは冬美と広が仲直りすることだ」

だが、問題点はココだけでは、なかった。

「俺さ冬美の前に立てる自信がないよ」

そう。広は人間不器用なのでケンカの仲直りができない。

仲直りしたい気持ちは、あるのだがなかなか一歩目が出ない。

「とりあえず、気分転換するか」

そう言うと陽向は広の手を引っ張って玄関まで連れていき、自転車の荷台部分に広を乗せ坂道を下った。

「どこ行くの?」

「それは、内緒だよ」

秀はどこに行くかは内緒にし、自転車を漕ぎ続けた。

十五分ほど漕いでブレーキをかけた。

「ココ覚えてるか?」

「ココって…」

着いた場所は小さな公園だった。この公園は秀と広が初めて大喧嘩した時の公園だった。

「ココで俺らめちゃケンカしたの覚えてるか?」

「覚えてる。俺が秀にひどいこと言っちゃって秀が帰っちゃった。あの公園」

「おー!覚えてるじゃん。あの後どうやって仲直りしてるか覚えてるか?」

「全く覚えてないや」

「広が俺の家に走って入ってきて、その流れで頭をさげて『ごめん』って素直に謝ってくれたんだぞ」

広は思い出した。泣きながら秀とケンカしたことをものすごく後悔したあの日を。

「だから、広!素直に謝ってこい」

「ありがとう、秀」

「親友なめるなよ」

と笑いながら言った。

その公園で秀を見送ったあと、家に帰った。

そしてその日は、あえて何もしないで寝た。



ピピピ 今日も目覚ましがなる。

海の約束の日まであと六日。

タイムリミットは止まらない。

朝起きて朝ごはんを食べて歯を磨き着替えてスマホを手に取った。

冬美、昨日は自分のことしか考えなくてごめんね

思っている、素直な気持ちをメールに打ち込み送信。

だが、返信は全くこない。

広は心にハチマキを巻いた。気合いを入れ直し、玄関を飛び出した。そして向かいの家まで行き。インターホンを押した。

ピンポーン「広です」

それだけ言って玄関の前に立っていた。するとガチャっと玄関が開き出てきたのは冬美のお母さんだった。

「冬美さんっていますか?」

「おるよ。呼びましょうか?」

「お願いします」

そう頼むと玄関は一度閉まり、階段を上がる音だけが聞こえた。数分後出てきたのお母さんだった。

「どうも、冬美は出てきたくないみたいなの。要件伝えとくよ?」

「いや…」

広の口が止まった。

冬美のお母さんの勘はすごかった。

「もしかして、冬美とケンカしてる?」

広は思わず首を縦に振った。そしてお母さんにバレたらまずいと思ったのかそのあと焦ってしまった。

だが、お母さんは笑っていた。

「あの子はね、少し不器用さんなのよ。」

「え、そうなんですか?」

「まぁとりあえず中に入ってきて」

と、お母さんに中に案内された。

お茶を出してもらい出してもらったお茶を一口飲んだ。

「ごめんね。うちの子が」

お母さんは深々と頭を下げた

「そ、そんなやめてくださいよ」

とっさに広も頭を下げる

広はとりあえず、お母さんに素直に全てのことを話した━━━━━━



「なるほどね。分かったわ。広くんごめんね」

「いやいや、こちらこそすみません」

そう言うとお母さんは、すごいことを言い始めた。

「よしゃ!こうなったら冬美の部屋の突入するわよ」

広は驚いたがそれに賛成した。

「とりあえず上に行くわよ」

広はお母さんについて行き冬美の部屋の前まで来た。

「私がいっきに扉を開けるから一緒に入るわよ」

と言ってドアノブを握った

「せーの」

お母さんは扉をを勢いよけ開けた。それに続くように広が入って行った。広はビックリだ。お母さんは入ってこない。でもこれもお母さんの作戦だとすぐに分かった。

冬美は驚いた顔で広を見つめる。

広はとっさに頭を下げた。

「本当にごめん。俺が悪かった。自分のことしか考えてなくてごめん。」

広は秀に言われた通りに素直に謝った。

「こちらこそ、ごめんね」

冬美も頭を下げた。

二人は顔を上げると目が合い同時に笑った。なんとかいつも通りの二人になった。広も冬美も笑顔が戻った。

「ところで、なんでココに来れたの?だってココは私の部屋だよ?」

冬美にそう言われてると広は焦って

「いや、冬美のお母さんがさ、ね?」

冬美は焦っている広の顔を見て笑った。

「広が私の部屋に入った初めての人」

前に勉強を教えてもらった時はリビングでやったため、冬美の部屋には入らなかった。

「沙羅とは仲直りしないの?」

と広が話を切り出した。

「仲直りする気はあるけど、うまく近ずけなくて…」

広は秀に言われたことを思い出した。

「素直に謝ってみたら?俺さ、冬美に謝れたのは秀が『素直に謝ってこい』と後押ししてくれから今仲直りできたよ」冬美はよく理解した。大きく首を縦に動かして。

「分かった。ありがとう、ヒロ」

と言った。

広と冬美は作戦会議を始めた。その名も『冬美と沙羅の仲直り計画』の開始です。



約束の日まであと五日。

午前中は陸上部の練習だ。陽向に今の状態を話すことにした。

「沙羅と冬美を仲直りさせようと思うんだが手伝ってくれないか?」

「彼氏としての仕事をする時がきたぜ」

と男気満々で答えた。

その日もケガなく部活を終えた。

帰ろうとすると、撮影中の秀と彼女の美波を見つけた。撮影が終わったタイミングを見つけて声をかけた。

「秀!緊急会議を開くぞ!部活が終わったら来いよ!」

秀は彼女の顔を見た

「俺さ、今日の昼からデートなんだよね」

相変わらず、ラブラブだ。

「なら、すまない。また今度にするか」

そう言って諦めかけた時、秀の肩を美波が叩いた

「秀?友達との緊急会議だから行ってあげなよ」

「え、いいのかよ?」

そう言うと、美波は首を縦に振った。急に陽向が手を上げる

「どうしたんだ?陽向?」

「女子の意見は、とても貴重なので美波さんも来てもらいましょう!」

「さきに美波さんに聞けよ」

すると、美波が目をキラキラさせていた。

「私、ぜひ参加したい!」

秀が仕方なさそうな顔で

「分かった。あと三十分で仕上げるから待っていてくれ」

と言って美波と手を繋いで部室に歩いていった。

手を繋いだ後ろ姿を見ていた陽向と広は羨ましそうにしていた。


そして三十分後。手を振りながら秀と美波が近づいてきた。

美波はなんだか、ノリノリだった。

「さて、広の家に出発だ!」

右の拳を上げて出発した。

「ところで、緊急会議ってなにするんだ?」

秀はまだ、何も聞かされていないから分からない

「実は、海に行けるか危うくなってしまったんだ」

広が素直に伝える。

「なんでだ?」

「冬美と沙羅がケンカをしてしまったらしくて…」

「まじか」

美波は心配そうな顔に変わった。

「私が海の話を企画したから…」

「そんなことないって!」

さすが、彼氏だ。しっかり彼女の美波を慰めれる。でも、美波は心配そうな顔から変わることはなかった。

十五分ほど歩いて、広の家に着いた。インターホンの前には冬美が立っていた。写真部は夏休みは基本的に自主的に撮ることしかないらしい。

そして、冬美も誘い広の家の中に入る。

広は人数分のコップと二リットルペットボトルのお茶を持ってきた

「さて、どうしようね」

陽向が話を切り出した。

「陽向は沙羅の彼氏なんだで基本的に沙羅の近くにいることな」

秀は、美波と付き合って長いので分かっている。

「分かった。なるべく沙羅のそばにいることにするよ。」

「俺らはどうすればいいの?」

広と冬美が秀の顔を見る

「とりあえず、素直に謝ることだな。」

「謝るって言っても…」

前も言っていたが冬美は謝るという行為に自信がない

「なら、私がなんとかするよ」

美波が冬美の手を取り言った

「ありがとうね。美波ちゃん」

「まずは、謝る練習からね」

そう言うと手を離すことなくどこかに引っ張って行った。

「あ、ヒロくん。どこかの部屋借りれる?」

「二階の真ん中の部屋は俺の部屋だから使っていいよ」

「分かった。使うね」

そう言うとドタバタと階段を上がって行った

「これで、冬美は、なんとかなりそうだな。あとは、沙羅の気持ちを知ることができれば。」

秀が頭を抱える。

「あ、それなら。俺さ、もう沙羅に聞いてるよ」

さすが彼氏だ。話が早い。

「なんて言ってた?」

「そりゃあ、『早く謝りたい』って言ってたよ」

「なら、話が早いや。機会を作れば解決だな。」

今日の秀は頭が冴えている。

「じゃあ俺は冬美の予定聞いとく。」

「よし!ヒロは冬美の予定を聞くこと。陽向は沙羅の予定を聞くこと。」

これで、計画が決まった。すると階段をドタバタと二人が降りてきた。

「謝る練習はできたよ。」

「こっちも計画が決まったよ。」

日は、だいぶ沈む時間になった。

そして解散した。


その日の夜、珍しく秀からメールがきた。

ヒロ、冬美のためにも頑張ったれよ

広はその一文から秀からの応援が伝わった。

わかった

と、広はすぐに返信した。すると、次は冬美からメールがきた

ヒロ、私ちゃんと謝れるかな…

今日は絵文字が付いていない。だからこそ、不安が伝わる。

冬美!自信を持って!素直にさ!

今日の広の返信は自信に満ち溢れていた。

あ、そいえば空いてる日ある?

連続に広が送信する。返信は早かった。

明後日

その感じ三文字だけ送られてきた。

なら、その日に謝りに行くぞ。

すぐに返信をした。

分かった

冬美からの返信からは、たくさんの感情が伝わった。広はそれに気づいている。

おやすみ

と同時に送り、その日は終わった。



約束の日まであと四日。

明日は冬美が謝る日だ。

広は陸上部の練習があるため、家を早くにでる。学校まで歩いている途中で広は冬美にメールを送信した。

冬美!明日は自信をもてよ

朝は早かったが返信はすぐにきた。

私ちゃんと謝れるかな…

やはり不安そうだ。

大丈夫。俺らがついてるさ

この返信が冬美の歯車をまわしたのだろう。

うん!

ビックリマークを付けて返信をしてきた。

んじゃ、俺は部活だから。

返信すると冬美から

頑張って

と返ってきた。

広は冬美から応援されたことが嬉しくて学校まで残りほ百メートルをダッシュした。部活が始まった。

ハードルの練習はキツい。朝早いことなど、お構いなしにスタートダッシュの練習から始まる。そして、グランドのふちの方では高飛びの練習をしている。そう、陽向と沙羅が練習をしている。フレンドリーな二人だが部活では目の色が変わる。棒が落ちるたびにマットを叩いて悔しがる。

そんな二人の姿を見て広も練習に励む。

そして、午前中の練習が終わり陽向のところへ向かう。

「おつかれ~陽向!」

「ヒロもな」

「ところで、沙羅の空いてる日聞いた?」

「もちろん。明後日だって」

冬美が空いてる日と一緒だ。

「なら、冬美と空いてる日は同じだね。」

「よし!計画が上手くいく気がするぞ」

陽向は、ますます盛り上がる。その帰り道に秀と美波に出会った。映画研究部の撮影をしていたらしい。

「秀、計画は上手くいきそうだぞ」

「よし、サンキュー」

親指を強く立て言った。美波も嬉しそうだ。

今日は撮影が長引きそうなのでさきに広が帰る。広は陽向と別れたあと家までダッシュで帰った。そして冬美の家のインターホンを押した。

ピンポーン インターホンの音が部屋中に響いているのが分かる。だが、返事はなかった。はやり留守だった。

自分の家に入るとスマホを手に取り冬美にメールを送った。

冬美、明日は頑張れよ

そう送ると返信は来なかった。広はソワソワして落ち着きがない。メールの返信がないまま夜になった。

私!今ならちゃんと謝れると思う!

メールが返ってきた。広は嬉しさのあまりにすぐに返事をする。

おう!その調子だぞ!

今日の冬美は、やけにテンションが高かった。陽向からもメールが来た。

明日、駅前の喫茶店に沙羅を呼んどいたから後は任せたぞ

広は、すぐに返信した。

分かった。あとは任せとけ!

その文からは自信が溢れている。

そして、冬美に明日、駅前の喫茶店に沙羅が来ることを伝えた。



ピピピ 朝の目覚ましが鳴る。

約束の日まであと三日。そして冬美が謝る日。

広は急いで準備をして冬美の家の前に立った。すると冬美の家の玄関が開き冬美が出てきた。

「おまたせ」

慌てた顔で出てきた。

「大丈夫、落ち着いて」

「ありがとうヒロ」

そんなことを繰り返しながら駅前の喫茶店まで歩いていった。

「こっからは、一人で行けよ」

「分かった。ありがとう」

そう広に伝えると冬美は喫茶店の入口へ歩いて言った。そこに待っていたのは不安そうな顔をしている沙羅だった。冬美は沙羅を見て一本引いてしまった。だが、広の応援を思い出して再び足を進めた。そして沙羅の前に行った。

「ごめんなさい」

「こちらこそ、ごめん」

二人の同時に謝った。

二人は顔を上げて目と目が合った瞬間、笑い始めた。

「なんだ、冬美も謝るんかい」

沙羅が自慢のフレンドリーさでつっこむと

「私も悪かったから」

笑いながら沙羅に返事をした。

ドンっと奥でものが倒れる音がした。倒れたところを静かに覗くとそこに居たのは広と陽向だった。

「なんでやねん。あんたら二人ともいたんかーい」

またまた、沙羅がつっこむ。そして四人とも笑い始めた。

「これで、海に行けるね」

広が冬美と沙羅の顔を見て言った。

二人とも笑顔で広に頷いた。

そして、四人で仲良く喫茶店で過ごした後、解散した。

家に帰ると秀からメールがきていた。

今日の計画は上手くいったんか?

広は自信に満々に

もちろん!

と返信した。

それは、よかった。美波にも伝えておくよ。今日は疲れただろ。早く寝ろ

やっぱり秀はクールだ。だけど、そのクールさのどこかに優しさを感じた。

ありがとう

と広が返信をした。すると、インターホンの音が広の家に鳴り響く。玄関を開けると、黒髪ショートのスタイル抜群の笑顔が可愛い、いつもの冬美が立っていた。

「ヒロ!ありがとう!」

どうも、メールよりも直接言いたかったらしい。

「これが俺の仕事だから」

笑いながら広は答えた。

冬美は広を久しぶりにしっかり見たのだろう。顔を赤くして目をそらした。広は、それに気づかないまま

「それじゃ約束の日、忘れるなよ」

「もちろんだよ」

そう言って別れた。


約束の日まで0日。

無事に約束の海の日に。



読んでいただきありがとうございます!

だいぶベタな展開なのかベタじゃないのか際どいところまできました!

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