春⑵
今回も前回と同様にベタかもしれません。
そんなベタな青春にかかせないことがありますかね
ピピピ目覚ましがなる
いつもより一時間早く鳴る
今日は、雨が降っている。そしてテストがある
早く起きて勉強をしている
「おーい」
外から秀の声がする
急いで玄関を出ると、ちょっと機嫌が悪そうな顔をした秀が立っていた。べつに広に怒っている訳では、なさそうだ
今日は雨なので歩きで傘を持っている
秀が口を開けた
「昼は三人で食べよ陽向以外の」
その一言で察した。どうもケンカしたっぽい
「え、あ、その、け、」
すごく慌てている
嫌な空気のまま学校に着いた
そしてテストが始まる
一限目から国語だ
国語は、冬美にしっかり教えてもらったからか問題がみるみる解ける
十分前には終わっていた
それから…
化学に得意の数学、英語と続いた━━━━━━━━━━
ランチの時間になった
いつも屋上に行くが今日は雨だ。
自分の席で食べることにした。寂しい一人だ
勇気が後ろを向く
「寂しいな」
心細い声でつぶやいた
「なんかあったの?」
「昨日、陽向が冗談で言った言葉が火花を放ってそれからケンカが始まりあの状態だ」
なんとかしないとと、広は考えたが
どちらも心を開きそうになかった
キーンコーンカーンコーン
五限目のテストが始まる
社会だが、頭が陽向と秀のことでいっぱいだった
なかなか解けなかった
そしてテストが終わり部活の時間になった
陸上部は、大会が近いから部活が三十分延びる
高跳びをやっている陽向を見ると顔が曇っていた
とても話しかけれない状況だった
広は、タイムが悪くなる一方だった
緑先生も少し広を気にしていた
秀は、先に帰って行ったらしい
どうしようもなく広は、部活が終わると
一人で帰った
すると、肩を叩かれた
「国語どうだった?」
振り向くと、そこにいたのは冬美だった
「もちろん完璧だよ冬美先生」
元気よく応えたつもりだが…
「顔が笑ってないよ」と冬美は心配そうだ。
「実はさ…」
昨日のことを全て話した
「それは」
冬美が心配ながら言った
それから喋らないまま家に着いた
「じゃあ…」
広は、それを言って家に入って行った
冬美は、心配そうに見届けた
ピロリンと広のスマホが鳴った
ヒロ、なんでも話し聞くよ
の一文だけだがなんか少し落ち着いた
ありがと
の文字と絵文字をつけて返信した
その日の夜は終わった
ピピピと目覚ましが鳴るしかも、二回も鳴る
起きるが二度寝をしてしまう。久しぶりの寝坊だ
「やばい」
その言葉を連呼して準備をする
登校も一人になってしまった
今日はくもり、昨日の雨で空気が冷えて寒い
学校に着いた
テスト返しだ
「どうだった?」
勇気が後ろを向いて訊いてきた
「ダメダメだよ、もうテストどころじゃ…」
下を向いて顔を上げない広
午前中はテスト返しと解説で頭がいっぱいだがそれどころでは、ないなかランチの時間になった。
広は、手を珍しく石鹸で洗い何を考えたか
顔を洗っていた
広は、一人で屋上に行き仰向けで寝転がった。
広の真上を真っ黒な雲が通過していった
それと、同時に広は
「はぁ」と、ものすごく重たいため息をした
ガチャ。屋上に入る扉が開き海先生が入ってきた
「最近元気ないね、どうしたの?」
やっぱり優しい海先生。
事情を海先生に話す。そして最後に
「これは僕が解決してみせます」
と、言い切り
「そうか、じゃあ私は助け舟をだすね。なんかあったら言ってね」
と言って帰って行った。
海先生とすれちがって勇気が屋上に来た。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないよ…」
重たそうに答えた
すると
「まだ、足ケガしてるの!?」
この返事に勇気の優しさをとても感じた
「んなわけ」
笑った
「やっと笑ってくれたか笑わない広なんて
広じゃないぞ」
と、勇気が真面目な顔して言った
「そんなことを言ってくれるなんてー」
広が泣き始めた。だけど口は笑っていた
すぐに泣き止んで広は、考え込んだ
キーンコーンカーンコーン 午後からの授業が始る
化学の実験だ
白衣にカエルのペン、太郎先生の授業は
相変わらず面白い。
冬美と実験
昨日のメールを思い出した広は
「今日、テストの復習しよう」
と、こそっと言った
冬美は親指立ててグッとやった
また、広のが移った
授業が終わり
陸上が始まる
陸上部は明後日の大会に向けて頑張っていた
明後日は、陸上部の最初の大会
広も一年でありながらも選ばれていた。
広は何かを考えながらやっている。ずっとずっと。
すると汗で体が冷えてきた。みるみる顔が赤くなっていき、目がだらーんとしてきた。
すぐに保健室に行き紗由先生が体温計を持ってきた。
熱があった、なかなかの高熱だった
すぐに早退した。
部活が終わると
心配になった冬美は、走って家に帰った
冬美は海先生から広の忘れ物を渡された時に広が熱を出して早退したことを知った。
家に帰るとすぐにメールをした
大丈夫なの!ヒロ頑張りすぎだよ
っと心配しているのか怒っているのかよくわからないメールだった。そして広の忘れ物を預かっていることをすっかり忘れていた。
ゴメン
広が返信をする
ヒロは、頑張りすぎでガス欠だガソリン入れてゆっくりと休んで
と、顔文字つきで返信がきた
広は、なんか嬉しかった。
好きな人から心配されて嬉しかった
ガソリンは、口から飲むの?
その嬉しさがヒートアップしおふざけメールになってしまった。
冬美が
飲んじゃダメ!
と、焦りのメール
そのあと広は
陽向と秀が仲直りをすることを望んでいることを冬美にメールした。
その後も冬美は、ずっと相談にのってくれた
広は、また熱が上がってしまい早く寝た。
ピピピ目覚ましが鳴るが物音がしない。
広は昨日の熱が悪化して体が重くて動かなかった。
学校に電話して休みになった
電話に出たのは、体育の緑先生だ
「お大事に」
ひとこと言ってくれた
緑先生も気を使ってくれたのか陸上の大会の話はしなかった。
やっぱり優しい━━━━━━━━━
冬美は朝から右の席を気にしている
いつもだったら来ている時間に広がいないからだ。
そして広がいないまま出席確認が始まった
「広は今日、熱でお休みです」
すると冬美の顔は不安で包まれた
冬美は、いつもの友達のところに行かず
ずっと席に座っていた
ランチの時間になった
勇気は1人で食べていた。すると陽向が
「広は、なにがあったんだ?」
「陸上の練習の時に汗を拭かないまま
ずっとお前らのことを考えてたんだってさ。広は、ずっとお前らのことしか考えていたんだ」
勇気は広のことを全て教えた
それを聞いた陽向は急に走り始めた
廊下を走り階段を駆け上がり勢いよく扉を開け、屋上に着いた。
その日は、とても晴れていていい天気
「秀ゴメン」
深々と頭を下げた
「俺もゴメン陽向」
秀も頭を下げる
二人は本当は早く仲直りがしたかった。けど、どちらも心を開かないから進まなかったのだ。
そして、陽向は秀に広のことを話した
秀は、ものすごく申し訳なさそうな顔になった
「広には、迷惑をかけてしまっただから今日謝りにいこう」
陽向が秀を誘う
「じゃあ部活が終わったら校門前に集合」
と秀がすぐに返事をした
「三十分待つけどいいのか」
「そんなん大丈夫だ」
秀が笑顔で答える
それを聞いていた冬美は笑顔になって帰って行った。
冬美は秀に仲直りをしてっと頼みを
しに行こうとしていた
けど足の方向を変えて階段を降りていった
ランチの時間が終わり。
午後の授業も終わり。
部活が終わった。
陽向はダッシュで校門まで行った。
今日は駅で別れない。
自転車を二人乗りして全力で漕ぐ。そして、広の家に着いた。
ピーンポーン インターホンを鳴らす
広は玄関を開けてビックリ
玄関を開けると陽向と秀が頭を下げていた
「ゴメン」
二人が声を揃えて言った
すぐに仲直りした、と察した
「どーしよかなー」
ふざけて答える
広は、もう元気そうだ
「許して」と顔で訴える秀と変顔をする陽向
それを見て秀と広が笑う。その笑いにつられて陽向も笑う。
「体調はどうなんだ?」
「バッチリさ!」
元気に答えた
秀と陽向は久しぶりに聞いた声に安心をした。
それから色々と喋り「じゃあな」と二人と別れた。
そして玄関を閉めようとすると冬美を
見つけた。すると、広は「おーい」と手を振り始めた。
冬美が走って玄関まで来た
「大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫!そんなことより仲直りしてくれたの!」
と元気に言う
すると冬美の顔がいっきに笑顔になり
「うん」
と冬美も元気に答えた。それから色々と喋った。
最後には大会の話になった
「写真のこと忘れてないよね?」
前に約束した写真は大会に撮る約束だった
広はちゃんとメモしていた
「大丈夫!覚えてる」
広がすぐに自信満々で返事
「よかった」
ホッとする冬美
それから少し話て別れた
広は玄関を閉じると小さくガッツポーズを
して、電話の所まで走って行った
学校に電話をした
プルルルル
「はい、秋田 いずみ です」
珍しく、緑先生ではなかった
「1年A組の春口 広です。夏目 海先生は、お見えですか?」
まずは、海先生に体調を伝える
「はい、すぐ変わるね」
「お電話変わりました夏目です」
「もう体調は大丈夫です!」
相変わらず元気に言う
「分かりました」
「山神 緑先生いますか?」
「変わるね」
「お電話変わりました緑です」
やっぱり迫力がすごい
「明日の陸上大会でます」
「そうか!嬉しいぞ!」
迫力が増した
「はい!それでは失礼します」
ガチャ
電話を切るとすぐに着替えて水筒を持ち坂道を下り走って行った。
近くの公園でストレッチと、ちょっとした練習を始めた。
そして家に帰りしっかり疲れをとって早く寝た
ピピピ今日も目覚ましが鳴る
朝から広は緊張している
そして会場まで陽向と秀で電車で行った
勇気は、家の用事で来れなかった
会場に着くと緑先生のところへ行き、自信満々の顔で
「任せてください」
緑先生は大きく首を縦に振り
「頼んだぞ」
陽向も陸上の大会に高跳びの選手として選ばれていた。
秀は一人になり会場の周りをウロウロとしていた。
すると、迷っている冬美を見つけた
「どーしたの?」
と優しく訊く
「陸上のハードルの会場は?」
こっちだよと、指をさし一緒に歩いていった
すると、冬美が
「そいえば、初めまして桜井くん」
話はよく聞くがちゃんと会ったのは初めてだった
「うん、よろしくな。神崎さんの話は広からたくさん聞いてるよ」
と返すと冬美は
「桜井くんや陽向くんの話もよく聞くよ」
と笑顔で言った
バンッ
ピストルが鳴り響き大会が始まった。
五番目に走る。
この日は準々決勝までやることになっている
風は、なく雲ひとつない晴れ
昨日の熱も忘れさせるぐらい最高のコンディションだ。
ただ一つ問題が…
五走目には、小学校の時からのライバルがいる。山口 颯馬だ。
小学校はいつも広が二位だった
差はいつも十分の一の世界の話
颯馬は、とても良いライバル。中学の時は一緒に練習をする時もあった。
そしてその時が来た。
バンッ
四走目が走る
「頑張れよ」と上から秀が叫ぶ
笑顔で冬美が手を振るそして少しジャンプしていた。可愛い。
そしてその時が
バンッ、ピンストが会場全体に鳴り響く
スタートダッシュは広も颯馬も上手くいった
四個目のハードルまでは差は、全くないが、五個目から広が一歩リードし始めた。負けじと颯馬も加速する。
バンッ、みんなゴールした。
そして運命のタイムが出た。
0・2秒の差で広が勝った。
広は控え室に行くと一人になり大きくガッツポーズをした。
それから外に出ると颯馬が近づいて来た
「ついに広に負ける時が来たか」
その颯馬からの言葉から大きな悔しさと、これからの情熱を感じた。だけど、笑顔だった。
「やっと追いついたぞ」
広は笑顔で言った
「次は俺が追いつく番だ待ってろ」
と、笑顔で言って颯馬は去っていった
「じゃあ」と広が言うと大きく右手を上げた。
その姿、中学の時からずっと練習して追ってきた背中でとてもかっこよかった。
そのあと、肩を強く叩かれた。振り向くと冬美と秀がいた。珍しい組み合わせだ。
秀は、空気が読んだのかトイレへ行った
トイレは意外と遠い。
そんな秀に広は小さく親指を立てた
「かっこよかったよ!」
「本当に!」
とても嬉しかった。好きな人から、かっこいいって言ってもらえて嬉しくてしかたなかった。
「ありがと」
と、照れくさそうに言った。そして秀が帰ってくるまで写真を選んでいた。
選んだ写真は中心に広がいてハードルを跳んでいる瞬間で空は雲ひとつない快晴だ
広は満足気な顔をして
「写真上手だね」
と冬美に告げると冬美も照れ始めた。
「あ、ありがと」
顔が真っ赤だ
秀が帰って来た。するとなんとも言えないホンワカした空気を感じた。
バンッ高跳びも始まった
「陽向どこだ」
と、秀と広が陽向を探す
「あれじゃない?」
と、冬美が指を指す
そこには、相変わらずフレンドリーな陽向が跳んでいた。
そして大会が終わり陽向も帰って来た。
「見てた?」
と、陽向が訊く
陽向は人に跳んでいる所を見られるのが好きらしい
「もちろん見てたよ」
広が言った
「広、勝てたの?」
「1位でゴールしてきた!0・2秒の差で勝ったよ」
胸を張って伝えた
「陽向は?」
汗を拭きながら「余裕だわ」
と、言っていた
そしたら急に奥から走ってくる男子がいた
それは、いつも前にいる男子。そう、勇気だ。近づいて行くと
「間に合わなかったゴメン」
と、勇気が言った
「ムリしなくても良かったのに」
広が心配する。そして結果を伝えたり
すると、勇気は飛び上がりガッツポーズをした。
「俺より喜ぶなよ」
と、笑いながら広が言った
相変わらず仲がいい。そんなことを見ながら秀が笑っている。そして、いつもの四人いや、冬美も合わせて五人で電車に乗り
夕日を見ながら帰って行った
帰りの電車で秀がぽつりと呟いた
「俺、彼女いるんだよね」
それにみんなが驚く。もちろん冬美も
「どんな子?」
広が興味深々に訊く
秀は、照れながらも答えた
「とりあえず可愛い」
顔を隠した。陽向は、隙を与える前に
「ねね、デートしたの?」
「まだ」
デートは、まだらしいが付き合ってもうすぐ一ヶ月らしい。
そして駅に着いた
日はしっかり沈み薄暗くなってきている
秀は用事があるので、いつもの逆方向に勇気と一緒に帰って行った。
陽向は、駅で電車を乗り換えて帰って行った
そして広は、冬美と二人で帰ることになった
広は、疲れているけど急に元気になった
「秀に彼女いるなんていがいだよな」
「私も知らなかった」
「ふ、冬美は彼氏いないの?」
と、恥ずかしながら訊く
「彼氏いない…いや、欲しい!」
目を光らせて広に元気によく言った
広は、心の中でガッツポーズをした。なんだか今日はガッツポーズが多い気がした。
「冬美、可愛いのに…」
広がボソッと呟いた。それを聞いた冬美は「ありがと」すごく笑顔で言った。
「広ぐらいだよ。そんなこと言ってくれるの」
と、下を向きながら言う
「そんなことない!」
思わずすぐに否定してしまった。広は、すぐに恥ずかしくなった。
顔が真っ赤っかだ。恥ずかしくてしかたなかった
「やっぱり広は優しいね」
笑顔で冬美が言った
その後は広が恥ずかしがって、どうでもいい事しか話さなかった
一週間後の大会で無事、広と陽向が優勝した
そして冬美は広の写真をコンクールにだし
最優秀賞を手に入れた━━━━━━━━━━
読んでいただきありがとうございます!
続きもぜひ読んで見てくだいね!