=2
「はぁ~...ぁあクッソガァッ!!」
―――何で、何で俺ばっかこんな目にあわなきゃなんねえんだよォ!!!
現在薊 終助は、木々の生い茂る森のなか、それに出会った。
◇◆◇
誰からも生きるための施しを受けられないのならば、じゃあ自給自足すればいいと。
そんな単純な理由で彼は人里離れた森に入った。
森に入りまず終助の目には、2匹の野ウサギが写った。
「よし、肉だ!!」
久しく見たたんぱく質に興奮を押さえられないが、無理やりそれを押し殺す。
辺りを見渡し足元に落ちていた30cm程の木の枝を拾う。
「少し短いけど何とかなるかぁ?」
そして近くの茂みに身を隠すと最大限に息を潜め、地を這うようにして獲物との距離を縮める。
そして、獲物との距離約3メートル。
向こうはまだこちらに気づいた様子はない。
獲物を見つけてからここまでにかかった時間は実に15分。
―――絶対に逃すものか。3日振りの飯なんだ、逃すわけにゃいかねぇ。
左足の爪先に力を込め地面を蹴る。
―――いける!あとはこれで突けば...!?
瞬間ウサギは気配に気づき振り返る。
ウサギと目が合う。
そして、
―――あ...あれウサギってあんなつのが生えた生き物だっけ?
その一瞬の隙が命取りだった。
2匹のウサギがなんと自らこちらに向かってきた。
―――ん?...いや待てよヤバい、ヤバいって!
終助は現在勢いよくウサギに駆けていた。
ウサギもこちらに駆けている。
そして、あろうことかウサギにはつのが。
「ングゥ!ぁ...ぁぁああアアアアアアア!!!!」
気づいたときには時既に遅し。
両者2匹のウサギの角が腹に深く刺さった。
ウサギを狩れると思っていたがその実ウサギにはめられていたのだった。
「アアアアアアア!!痛い痛い痛い、いてぇ!!」
涙が出る、とにかく痛い、熱い。
―――何で俺ばっかこんな目に遭うんだよ。
獲物をやったことでウサギにはここにいる理由が無くなった。
2匹は互いに合図をすると角を抜こうとする。
...抜こうとする。
...抜こうとする。
角がなかなか抜けない。
「逃が、、す、かよバカが」
2匹は焦った。
そんなはずが無かったのだ。
自分達は確かにこの男をやったのだ。
その証拠に彼の腹部に刺さった箇所からはとめどめとなく大量の血液が流れているのだ。
そう、普通の人間なら耐えられない痛みのはずだ。
「死ねよウサギ」
そんな無慈悲な言葉を聞く。
そして、2匹は意識を刈り取られる。
俺=薊 終助は、ウサギとの死闘?の末何とか勝利した。
正直、ウサギに腹を刺された時は死ぬかと思った。
だが、俺は生きていた。
それにさっきより少しずつだが、痛みが引き血も止まり始めていた。
不思議なことだがまあ、結果的に良かった。
ウサギは焼いて食べることにした。
幸い火は民家からパクっておいたライターがあったからそれを使った。
ウサギの処理方法はよく分かんないからやってないが何とかなるだろう。
とりあえず2匹とも丸焼きにした。
料理方法もわからんからな。
まあ、とりあえず腹に入れば皆同じだろうと自分に半催眠的に言い聞かせてかじりつく。
とにかく何も考えずただ、ひたすら腹を満たすためだけに食った。
味は決して美味くはなかった。
だが、それでもいい。
腹を満たせればそれで良かったんだ。
食べ物のありがたみが分かった気がした。
2匹を食い終わると俺はとりあえずとして、ウサギの角を武器とすることにした。
結構この角固いんだよな~。
さっきの棒よりは若干短いけど2本あるし、何かカッコいいし笑笑
その後俺はただただ獲物を探した。
ヘビもカエルも芋虫でさえも何でもいい、食べれるのならとにかく食べた。
この世界に来る前までは嫌だったのに、食べることができた。
そうして俺はどんどん森の奥へ奥へと進んでいき―――
◇◆◇
「はぁ~...ぁあクッソガァッ!!」
―――何で、何で俺ばっかこんな目にあわなきゃなんねえんだよォ!!!
現在薊 終助は、木々の生い茂る森のなか、それに出会った。