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未知との遭遇

寒いです。ストーブを置くべきでしょうかねえ。

 まぶしさに彼は目を細めた。天気予報なんか見る暇がなかったから雨が降っていないのが本当に頼もしかった。本日は晴天なり。


しかし,予想が大きく外れた。てっきりドアの向こうには巨大な発電設備とか空調管理システムとか置いてあったりするのかな? とか思っていたけど,実際は案外普通な,いや,普通なわけがないんだけど,平和的な? そう,頭が追い付かないくらい平和的な農村っぽいものが目に入った。かかし(かわいいデザイン。特に顔がアンパンマンみたい),木で組まれた家々,くたびれた青いやねの数々,それから畑だ。そしてひともいる。目の前に。


「すいません,あの,こんにちは…」


 とっさに謝ってから彼は目の前の娘に声をかけた。相手の気を悪くさせないように,なるべく尊大に見えないように。娘は金髪だった。水の入ったバケツを抱えていて,いかにも村民って感じの格好をしている。

謝ったのはなにも臆病だったからじゃない(嘘です,超絶コミュ障です)。彼女はめちゃくちゃ怖い顔をしていた。目がでっかい(目はちょっと赤みが入った茶色だ)。すごい驚いているみたいにもみえた。でもしゃべりかけてもさっきと様子が変わらない。

…もしかして英語じゃないとわかんないのかもしれないな。

彼は彼女に近づきながらやさしく微笑んだ(つもり)。


「くーぢゅーすぴーくじゃぱにーず? あいむそーりー,あいどんとすぴーくいんぐりっしゅ」


 いや,cannotだろ。

セルフ突っ込みも入れられない短い間をおいて,彼は激しくぶつかる打撃音と豪快なスプラッシュ音,それからカンカン照りのなかではなかなか気持ちのいい冷感を浴びてそのまま背中から地に伏した。






「ごめんなさい。ごめんなさい,ほんとうにもうしわけありませんでした」


 目が覚めたら横に寝かされていて,金髪の娘が彼のそばにいた。今更ながらだいたい中学生くらいかな? なんて考えた。それはそうといったいこれはどういう状況なんだ??


「お目覚めかな? 冷えたお茶でも飲むかい? 娘がとんだ失礼をした。申し訳なかった。わたしになにかできることはなんでもしよう」

 

 身なりがいい白髪のおじいちゃんが現れた。胸筋がすごい。ボタン? 付き白シャツに黒いズボンを履いている。太もももすげえ太い。少し目を細めてからおじいちゃんは言った。うむ,しわが素敵じゃないか。


「しかし,おどろいたよ。娘が言うにはあのアド遺跡から出てきたそうじゃないか。あんなところで何をしていたんだい?」


 アド遺跡? ああ,あの扉遺跡の入り口だったんだ。小さい遺跡だなあ。にしてはぜんぶ手つかずだったよな…。なるほど不審人物だと思われたのかな?

 

「すいませんでした……。あの,いっても信じてくれないかもしれませんが,おれ,僕は気づいたらあそこにいたんです。その前何をしていたのかとかは分からないんですけど,あそこが遺跡だっていうのも知りませんでしたし,遺跡から持ってきちゃったものも返します。ほんとうにもうしわけありませんでした」

 

 布団の上で土下座をしながら,やべえ,殺されるのかな? と彼は冷や汗をかいた。脇が冷たかった。ポケットの中の物を全部目の前に差し出してから,ようやく銃で射殺して逃げた方がよかったかもしれないと思った。


「いえ…ちがうんです。私が驚いたのは,その,あの遺跡一度も開いたことがなかったんです。水くんできて,その帰りで,ちょうど扉が開くのを見て,人が出てきてびっくりして,あの本当に申し訳ありませんでした…」

 

 金髪の娘が再び謝った。…うーんと? つまりそれはどういうことなんだ?


「この村はだいたい二百年前に出来たんだが,アド遺跡は村ができる前からここにあったんだ。いままでえらい学者や術師があらゆる手で中を調べようとしたけれど,あそこの中は誰一人として見れたことがないんだ」


寒いです。暑いって何回いえばあたたかくなるでしょうかね…

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