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早すぎた埋葬

生きたままお墓になんか入れられたくないですよね…。

 真っ暗だった。すこし,いや,ここはかなり埃臭いようだ。土っぽいにおいも充満している。頭は少し重いけど,すっかり目が覚めたというのに彼は怖くてその場でじっとしていた。


 おかしいと思った。記憶が混乱していた。直前まで自分が何をしていたのか,自分が誰なのか,いろいろなことを憶えていなかった。いろいろなことがよくわからなった。でも確かにこの場所には心当たりがないと確信していた。ここは違う場所なのだと確信していた。


 やがて,目が慣れてきたのか周りの様子が分かるようになってきた。ロッカーのような,学校の掃除用具入れのような箱の中に彼は立っていた(彼以外に箱の中には何もなかったのだけれど)。そこはそう広くない部屋だとわかった。彼は恐る恐るそこを探索し始めた。


 彼が出てきたロッカーのようなものは,外から見たらどちらかというと棺といえる形をしていた。部屋の壁に向けて7個並んでいた。彼が出てきたもの以外は全部しっかり閉まっていた。一つずつ開けようとしてみたけどびくともしなかった(部屋の隅にちょっと黒ずんだ変な形の斧があったからそれで叩いてみたのだけれど,それでもやっぱりダメだった。斧は柄が風化していて一発で折れた)。


 何かの研究所だったのかな? 真ん中の机の上にたくさんビーカーやフラスコやらが積んであった。学校の実験室で見たことがある。中には乾いた白っぽいかさかさが積もっていた。指で触るとそんな音がした。


 部屋の端っこにも机があった。お医者さんが使いそうな掲示版が壁に貼ってあって,ミミズみたいな文字でぎっしり書かれた紙が貼ってあった。暗いからよく見えないけど。人体を模した図や,よくわからないあみだくじみたいなのも描かれていた。

 机の上にはたくさん書類が積んであった。よく見ると付箋みたいなのがついていて,それぞれ綺麗に分類されていたみたいだ(さっき掲示板みるときにちょっと体重をかけたら書類のたばの真ん中に穴が空いた。蛾のはねを思い出すくらいパリンパリンに割れていた)。


 それから彼はおもむろに引き出しを開けた。引き出しは三段あった。一段目は鍵付きで(鍵は穴にささってぶら下がっていたから意味ない),二段目は一段目と同じサイズの鍵なし,三段目は大きめでA4 の書類が軽く入りそうな大きいやつだった。正直,もう怖がっていたことなんか忘れていた。むしろワクワクしているくらいだった(ちょっぴり主人公になっている気がして嬉しかった)。一段目には腕輪が入っていた。真っ黒な,金属製の腕輪だ。ざらざらしていて,軽くて機械的な印象がある。彼はそれをとりあえず左手に着けておいた。


 二段目を開けたとき彼は一瞬びっくりして手を引っ込めた。拳銃が入っていた。多分本物なんだろう。油っぽくてべたべたしている。ハードオフなら安くしてくれそうだと思った。いくつかマガジンっぽいのもあったから,彼はそれらをポケットに入れた。重いと思っていたけどポケットに入っているのが分からないほど軽かった。拳銃もポケットに入れようとして,今更だけどこんな状況だからいつでも撃てるようにしておこうと思った。まずマガジンを入れてみて,それから拳銃のセーフティを探してみた。…うーん? ない,だと…? まあいいや。引き金は引いてみたけど,なんか引けているのだかいないのだかよく分からなかった。とりあえずスライドしてみたら使えそうな状態になったことだけは分かった。彼は一通り確認をすませると,その状態でそれもポケットに突っ込んだ。なんかゲームのチュートリアルみたいだなと思った。でも周りを見てもでっかいゴキブリはいないし,虚空を掘ってそれが現れる気配もなかった。…ちょっと浮かれすぎているような気がした。


気を引き締めて,彼は一番気になるグレーの金属製ののぶつきドアへと向かった。


寒くなるのでちゃんと布団はかぶりましょうね!

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