悪役令嬢、3回目のリトライの先は・・・。
寝る前に、最後のあたりを少し変更。
初めの記憶では侯爵令嬢のあたしと婚約解消し、男爵令嬢との婚姻を正当化する為に、皇太子のついた嘘で断罪された。
聖女たる男爵令嬢を愚弄したと。
誰が聖女だって?
男を誑し込み抱き込むのが聖女なら、この世の末でしょ。
―――あたしだけだったらまだ、我慢できたかもしれない。でもあたしを庇ったことで不敬罪とされ、愛する家族をもその手にかけた王家そのものを呪ってこの世を去った。
断罪される5年前に巻き戻った2回目には先手を打ち、王家をあたしたち侯爵家を陥れた家を徹底的に洗い出しスキャンダルで貴族社会を崩壊させた。
平民主体で行われたレジスタンスを成功させ、次々と処刑されていく王族をただ見ていた。
呪詛をわめく皇太子、男爵令嬢がこの世を去ると、『悪役令嬢』は『聖女』となった。
ああ、終わったのだ。ただそう思うだけで達成感も感慨もなかった。
残っているのは、虚しさだけ。
もう思い残すことはない。自分で最後は幕を引くとばかりに、毒を食らった。
ああ、これで終われる。
本当にそう?
薄れていく意識の中、何故あたしは死ねば終ると思ったのだろうか。
生きたいと思ったから、復讐したのに・・・。
この世は不思議で満ちている。
「アンジェ!アンジェ!」
揺すぶられ意識が少しずつ覚醒する。
「お母さま」
「ああ…良かった。一晩中魘されてたのよ」
世界はあたしという悪役令嬢がどうしても必要なのだろうか。
1回目と2回目の記憶が混ざりすぎて、状況が理解できない。
ただわかっているのは、3回目のリトライがスタートしたことだけだ。
ねえ、あたしにどうして欲しいの?
死んでほしいんだよね?
なのに、何故生き返らせるの?
『運命に翻弄された人の子よ。そなたに祝福を』
闇に落ちていく意識の中頭の中に響いてきた声は、ああ…女神様だ。そう思わずにはいられない慈愛に満ちた優しい声だった。
女神が言うには、遊戯神とその眷属に【人生ゲーム】という駒にされていたというのだ。生きている者たちを翻弄し命を弄ぶゲームに他の神たちは鉄槌を下すことにしたと。
『悪役令嬢などという役を演じる必要などない。自分の手で未来を掴みなさい』
ええ、掴むわ。神々に振り回されるのは、まっぴらごめんよ。悪役令嬢も、聖女も選ばない。
願いは一つ。
この世界をすべてなかったことに【デリート】
真っ白な画面は、未来が思いのまま。
疲れているときに書くと、ダーク気味。
読んでいただき、ありがとうございました。