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邪神な日常  作者: ちかーむ


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番外編 聖都陥落


聖都それは聖神を祀る白亜の神殿を中心に発展していった都市、世界中の何処よりも美しく、街ゆく人々の心は希望と歓びに満ち溢れた幸せの都。


だがそれも既に過ぎ去りしこと。

聖神の加護が失われたわけではない、ということを白く美しい聖神の像の前で祈りを捧げる男は誰よりも知っていた。


知っているからこそ、絶望が深い。


ゴーンゴーンボーンゴーン…ゴーンゴーンボーンゴーン


空からどこからともなく聴こえる身の毛のよだつような不協和音が響いた。

今まさに世界中のすべての人間が邪神の存在を知らせる鐘の音。

闇に巣食うもの達の歓びの音。


そしてそれは同時に光の時代の終わりの音でもあった。



繰り返された音は8つ。


これは邪神とその使徒の数であると伝え聞く。幼少の頃より神殿に住まい、神に仕えてきた男が過去聞いたことがある最大数は3回だというのに…


「まさか…此度の邪神は7つの大罪の使徒を全て揃えたというのか…」


がくり、と聖神の像の前で大司教と呼ばれる男は膝をついた。


此度現れた邪神は神殿を持たず、亜空間に居をかまえているため討伐すらできなかったが…


長く人を襲うことも、魔物を操ることもしない、ただ邪神としてそこに居るだけの脆弱な個体…と考えられていた。


しかし、気づけばどうだ、空と大地はいつの間にか瘴気に侵され、人々の穢れは溜まる一方。

魔物は増え、天災もまた増えた。


気づいた時にはもう手遅れだった。

圧倒的強さと用心深さを備え持った、かつて無いほど強大な邪神だった。


我らは完全に見誤ったのだ。

甘くみていたのだ邪神という存在を。

平和を享受することに慣れすぎていたのだ。

邪神という存在を搾取することに慣れすぎて…

邪神が人知を超えているというごく当たり前の事実さえ忘れていたのだ。


敵対している相手が神だという事を決して侮ってはいけなかったのに。





既に当代勇者は邪神に堕とされてしまった。


唯一、邪神を討てる者として特別な魂を受け継ぎし者。

唯一無二にして最強の聖神の愛し子。


だがしかし、白く輝く美しいかの魂は…邪神の穢れによって汚染され濁ってしまった。


『なぜ我らは戦うのでしょう?』


そう聞いてきた勇者の言葉は今も思い出す度に目眩がする。


ああ、神よ…


勇者を失い、現状打てる手だては何もない。

できるのはただ、ただ聖神へ祈ることだけ。



ガランガランガランガランガランガラン



打ち鳴らされる鐘の音。

光の世界が闇に堕ちるのを知らしめるかのように、狂ったように鳴る鐘の音。


男の顔が絶望に醜く歪んでいく。





ガシャーーン!!




崩れ落ちたステンドグラスの向こう、黒く染まったようにみえた空は…



邪神の軍勢が覆い尽くしていた。



「ああ、神よ…我らを…」



グシャッ



神への祝詞は言祝がれることなく、赤い肉片とともに床にへばりついた。



コツリと黒い靴がねばつく液体の中を歩いていく。



ビシッと見上げるほど大きな聖神の白い像にヒビがはいり、呆気なくガラガラと崩れ落ちる。


崩れた聖神の像に座り、黒い軍服を着た男はニヤリと笑った。



「世界の全ては我が主のもとに…」



ツバメが男の側に降り。

ピィーと高らかに鳴いた。







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