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邪神な日常  作者: ちかーむ


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邪神とタネ 6

自称グリードは床に落ちていた邪神マントをぶわさっと広げて羽織った。


あ、それは再利用するのか…。


「我が主よ、我に何を望む?」



自称グリードは悪い感じでニヤリと笑った。

なんか偉そう…いや、ほんとこいつまじなんでこんな偉そうなんだ?

生まれたてほやほや赤ちゃんのくせに。

変な洋服の着方する変態なのに。


「あーーそうだな…」


俺はまじまじと自称グリードの頭から爪先まで見た。

なんか…なんかこいつ俺より邪神ぽくね?


ピン!


閃いた俺は邪神カタログの装飾品の欄からモグラのトニーの時に見つけた邪神花の冠 5000ポイントをジャシーンとした。


説明文に邪神権限の一部付与と書いてあったやつだ。



「お前は俺のかわりに、ちょっと邪神っぽいことしてこいよーーー外で。」



大事なのは一番最後の言葉だ。

オープン変態と同居は無理だからな。


ついでにあわよくばあの怖い勇者も倒しておいてくれると嬉しい、という下心もある。


こいつはうちのつよつよ課金勢なのだからそのくらいはしてほしい。



自称グリードは満足げに悪そうな笑顔を浮かべ俺の前に膝をついた。

俺はその形の良い頭にできるだけ偉そうに冠を乗せた。


まあ、こいつは頭下げてるから俺のこと見えないんだけどさ。

空気?邪神すごそうな空気感大事。


新人に舐められると面倒だからな。

例えアリクイの威嚇がマヌケでも威嚇することに意味がある的なやつだ。


「お前なら、出来るだろ?」

「必ずや世界を我が主の手に」


うやうやしく言い切る自称グリード。

いやいや、そこまでしなくていいから。

世界を渡されても困るだけだから。



つうか…お前絶対に調子乗って勇者にやられるタイプな。

最初は余裕で勝つけど、その後鍛えた勇者に舐めプして、こてんぱんにやられて…


なぜキサマごときに私がぁぁぁぁ!!!

とかぶちギレて叫ぶタイプだから。



俺は似合わない花冠を載せられて潰れた、硬そうに見えて意外と柔らかい自称グリードの髪の毛を指先でいじった。


その指で頬をなで、顎をつかみ、伏せたままだった顔を上げさせた。


きらきらとした紫の瞳がはっと見開かれた。


「やりすぎるなよ?ぐりどん」

「…は…はい…」


どろりと紫の瞳が淀む。

少しだけ開かれた唇をゆっくりと親指でなぞると自称グリードことぐりどんはかすかに頬を上気させぶるりと震えた。


うっ…おっさんの蕩けた顔きつ…たとえ渋イケメンでもキモいもんはキモいんだな…

唇に振れた指先に吐息がかかる。


「……かならずや…世界中のみんなのウッキウキでキランキランのポワワワァーンをぜんぶショボボボーンにいたします…」




ん?


なんやて?




耳慣れない単語に俺が首を傾げると、ぐりどんはぐっと眉間にしわを寄せ、ギリッと人を数人殺しそうな顔をして唇にかかった俺の指先をつかみ

「…かならずや世界中の人々の希望を絶望に変え、破滅の道へと歩ませましょう。全ては我が主のために…」

と指先にキスをした。


キモい。


おれはそそくさと離れラストの背中でこっそりと指先をふいた。

あいつの爪先が黒く染まっている…あの変身時のネイルか…なんて恐ろしい奴だ…


俺は内心ビビり散らしていることを隠すようにふんぞり返り、できるだけ偉そうに命令した。


「さあ(とっとと外に)ゆけ!」


ズバッと言ってやったぜ。

言いたいことは半分しか言えてないけど言ってやったぜ。


「御意」


スッと立ち上がり、ぐりどんは邪神社会の窓をジャッとあけた。


「我が名はグリード。主よ貴方の望むままに」


どろりと濁っていた紫の瞳はキラキラとした光を取り戻していた。


そしてマントを翻してチャックの向こうの闇に溶けていった。


…あいつ…さっき俺が名前をぐりどんに戻したのをきっちり訂正してったな。

まったく、俺の望むままにってどの口が言ってるんだか…


俺はため息をつき予想外の大出費となったことに頭を抱えながらラストをもみ込んだ。



あーー平和っていいな。


もう同居人は居なくていいかな…


後日、ラストの腹のうえでうつらうつらとしていた俺は


ジャシーン!ジャ、ジャ、ジャ、ジャシーン!!


と1日中鳴りまくる音に頭を抱えることとなる。


カタログはどんどん購入済みになっていく…


どうやらぐりどんこと自称グリードに分け与えた権限は邪神ポイントの使用だったらしい。


まあ、やりすぎるなよって言っておいたし、この前無駄遣いしたし、たいしてポイント溜まってないからそんな使えないだろ。



俺は通知音をオフにした。




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