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邪神な日常  作者: ちかーむ


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邪神とタネ 5

光が落ち着き邪神マントがふぁさりと床に落ちた。


そこに現れたのはかわいい黄色い電気ネズミや耳がデカい謎かわ生物…ではなくて…




片膝をついた素っ裸のマッチョメンだった。



デデンデンデデン!

そんな効果音が非常によく似合う。



さようなら俺の可愛い…。 



カワイイは正義を俺も体感したかった…

邪神界隈のカワイイ担当は当面不在が確定した。


「あーーえーっと…ぐりどんって人だったんだな」


とりあえずがっかり感を隠して絞り出した言葉は何のひねりもなかった。


すまん、ちょっとショックが大きくて…。


ぐりどんはゆっくりと顔をあげた。

可愛いから程遠い強面である。

身長も可愛いサイズからはかけ離れた…

いや、一度可愛いから離れようかな。


えっと…渋いイケメンである。

背が高い。すごく背が高い。


俺より年上だろうムキムキマッチョの悪役顔のおっさんだ。

いや、まだおっさんって年じゃなさそうだけれど…雰囲気が重すぎるのでおっさんでいいと思う。


……なんでこうなったのかな…

もしかして成長促進剤を掛けすぎたのかな…

用法用量を守ってって書いてあったのかな…

俺のかわいいが…

つらい。

現実がつらい。


心を落ち着かせよう。俺はラストのぷにハンドをぷにぷにもんだ。…ふう。


生まれたてのぐりどんは…そうだな、どんが似合う見た目をしている。

首領とかいてドンって読む方だ。

可愛くは無かったが、我ながら良いネーミングをしたと思う。


ぐりどんはスッと立ち上がった。


当たり前だが真っ裸の男は皆等しくフル◯ンになるのが世の常である。

つまりもろだしである。


ぐりどんは前を隠す気がみじんもない。


やめてほしい。

もう少し恥じらいをもって…

いや、恥じらわれてもむしろ困るな。


俺の困惑をよそにフル◯ンマッチョのぐりどんはずんずんと壁に限界までくっついた俺に近づいてくる。


ラストはさっさと俺から離れた。

…え、なんかラストさっきから俺の扱い酷くね?


ちらりとラストを横目で見たが助けてくれる気配はない。

ずんずん近づいてくる強面のぐりどん。眉間のシワが深い。


あ、近づくと視界から外れるの助かる。


え、何がって?

…ナニがだ。


やめろ、これ以上言わせんなよ。

男同士だって風呂以外でモロダシされると困惑しかねぇんだよ。


ナニが視界から無くなったことにより気まずさが半減した。

俺は全力で視線をぐりどんの顔に固定した。

生まれたてだが10人程を殺してきましたと言われても納得しそうな渋い強面である。


とかく眼力が強い、

反らしたい、しかし反らせない。特に下は見てはいけない。


「わが名はグリード」


ぐりどんはアイスのハズレ棒…もとい卒塔婆風邪神塔をスッと俺に差し出してきた。


うっ…やめろよ、今俺は下を見たくないんだよ…

そう思いながらおそるおそる邪神塔をちらりと見た。

幸いぐりどんの手で見たくないものは隠れていた。


邪神塔は苗床に埋まっていた場所が赤黒く染まっている。

うっ…ちょっと汚いので触りたくないな。


差し出された邪神塔にはよぼよぼの俺の字で ぐり‐ど って書いてあった。


あれ?「ん」が消えてる。


そうか成長過程で消えちゃったのか…


「えっと、最後の一文字が消えてるけどさ、ぐりどん って書いたんだよ、だからお前の名前は…」

「我が名は」


俺の言葉を遮りぐりどんはゆっくりと、まるで俺に言い聞かせるかのように


「我が名はグリード」


と繰り返した。


まるで間違っているのはお前だと言わんばかりの眼光の鋭さ。


いや、確かに…確かに今は消えてるしそう読めるけどさ、お前を植えたのも名付けたのも俺だから、俺間違ってないっていうか間違えようがないんだけど…


と言いたかったけれど俺の引きこもりセンサーがピコン!ピコン!と警戒音を発している。


こいつ人の話を聞かないタイプだぞ。

もしくは聞いても言う事聞かないタイプ。


見ろこのふてぶてしい態度。

見ろこの俺を見下ろす身長差。 

見ろこの上腕二頭筋。


この世界は筋肉は全て、と言わんばかりじゃないか。


俺、こいつと絶対相性が悪い。

俺、こいつとぜーーーったい相性悪い!!





俺は事なかれモードにきりかえた。


「あーーうん、わかったわかった、グリードな」


ひとまず今は俺が引いてやろう。

ひとまずは。


「えっと、とりあえず服か…なんかあったかな…」


俺はぐりどんから離れ、邪神ちゃぶ台に置いてあった邪神カタログをとりに行く。


グリードはズンズンとラストに近づいた。

どうやら邪神仲間として挨拶に行ったようだ。


ぐりどんは困惑というふうにニョロついてたラストの魅惑のぷにハンドを掴み…


わかる、そのぷにぷに思わず触りたくなるよな、だが触る前に一声かけるのが礼儀だぞ…と思っていた俺の目の前で予想もしなかった惨劇が…


ぐりどんはラストの魅惑のぷにぷに触手を

ぶちぃぃ!と引き千切った。


「ぎゃーー!!ラストぉぉ!!」


俺が慌てて駆け寄る。

ぷにハンド!!俺の大好きなぷにハンドが!!



慌てる俺を他所に、ラストは「え、なぁにー?どしたの?」みたいな顔をしてこっちを見てる。


「いや、おまえ!いまぷにハンド千切られたけど!?」


あわてて手に取るとギザギザにひき千切ら

れた触手はぷるん!と震えてすぐに元通りになった。

え、ナニコレ、どういう事?ええ?焦ってるの俺だけ?


意味がわからなくて自称グリードを振り返って見ると手に持った淡く発光する紫のぷにハンドをぐにぐにーと伸ばして畳んでまた伸ばし…


ぱっと手を離すと伸びたぷにハンドは宙に浮き始め、薄紫色にキラキラと光だし…


さらにリボン状に細く広がり、真っ裸のモロだし自称グリードに向かって巻き付いていく。

マルだしではなくなったがマッチョメンのリボン巻きという視覚の暴力が酷い。


そして自称グリードごとさらにキラキラキラーって光っていく。


んん…なんか…


なんか見たことあるなコレ…



嫌な予感しかしない俺を他所に自称グリードは渋い声で叫んだ。


「ジャシーン・プリズムパワー・メーキャップ☆」



まてまてまて!

ちょい待ち、ちょい待ちいや!

それごっつ厳ついおっさんの言うセリフとちゃうやろ!

前半と後半ちょい替えしたかてアカン!アカン無理や!!

ほんま無理や!!


無理あるでぇええーー!!!


俺のインナー関西人が絶叫した。

俺の中に関西人の血は微塵もないのに、だ 。


キラキラエフェクトと謎のポージングとキラキラジャシーン音が終わると…


悪者みたいな黒い軍服を着たおっさんが立っていた。


あ、良かったセーラー服じゃなくて。

俺は心底ホッとした。


徽章勝手に作ってるけどお前今日、産まれたての赤ちゃんだぞ?

戦歴も経歴もないだろとか、邪神花のイメージで謎のマーク作ってるけどそもそもうちに軍隊ないんだが?


…とか言いたいことは色々あったが俺は確実に相性が悪いであろうこいつとの会話は最小限にしたいがためにぐっと堪えた。


おれは我慢ができる男なので。


あと俺はオープン変態との付き合い方を知らないので。




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