邪神とタネ 4
邪神が向いていないという根源的な悩みにぶちあたってしまった俺だが、最近新たな悩みに直面してしまった。
「お゛ぉ゙お…あがぁ…」
俺の邪神ワンルームにぴったりな素敵サウンドが追加された。
なんと、邪神マントの下でぐりどんが喋るようになったのだ。
「ゥ゙ぐ…おぁ…お゛ッ…ああ゛ぎゅ…グケェ…」
うるさい。
煩わしいとかいてうるさいと読む方のアレだ。
わさ、わさと動く様は歌って踊る花に布かけたように見えなくもないが、めくっても可愛いものが無いことを俺は既に知っているので試しにめくることはない。
しかしこれ、後どのくらいかかるんだ?
お役立ちわんこのラストも嫌そうな顔をしてぷにハンドでつんつんしている。
話し相手が欲しかった時はこれでもうれしかったかも…いや、嬉しくないなぁ!
俺は頭を抱えた。
このサウンド、24時間常時再生&音量調整不可ときたもんだ。
完全なる安眠妨害だ。
狭い邪神ワンルームはどこにも逃げ場がない。
不快な存在と共存するのはストレスフルである。
「参ったな…」
音を消すものやぐりどんをすっきり収納できるもの…何かないかな…
おれは邪神カタログをパラパラとめくりながらあーでもない、こーでもないと呟いていた。
ぐりどんを仕舞っちゃうにしても箱のサイズがわからないものが多すぎるのだ。
邪神スツール、邪神宝箱、邪神ポリバケツ、邪神物置き、邪神岩戸…
どれもピンと来ない。
そもそも仕舞っちゃうとぐりどんが
「しまわれちゃうんだ〜」
と泣いてしまうかもしれない。
しくしく泣くならともかくギャン泣きされたらこまる。既に出ている音量は騒音レベルだ。音がデカくなる可能性のあるものは極力さけたい。
そもそもあいつ植物なのになんで喋るんだよ…
もしかしてタネの補足情報を見落としてたのか…?
俺は邪神カタログのタネの書いてあったページを開いた。
…ん?
邪神成長促進剤?
はっ!!
タネ見つけたときにスルーしたけど、これぐりどんに使えるんじゃねえ?
こいつめっちゃ成長が遅いし…
えーっと必要ポイントは…うっ…
…1000ポイント
…高え
…おれのポイ活史上最高値だ…
しかし背に腹は代えられない。俺の安眠のためにはぐりどんにちょっとオトナになってもらわなくては困るのだ。
俺は泣く泣く邪神成長促進剤を手に入れた。
ううっ…1000ポイント…高い…
平穏な生活の為には必要な投資だ…と自分に言い聞かせ、ジャシーンと現れたちょっとオシャレな瓶に入った赤紫色のキラキラした液体…成長促進剤を持ってぐりどんに近づいた。
邪神マントをめくりたくないので布の上から見た目はポーションな成長促進剤を振りかけた。直後、
カッ!!
っとぐりどんが光り、
メキョ、ボコ、ブシュッ、メキッと今までより更にヤバけな音を立ててぐりどんが成長していく。
「お゛ごっ…あがッ…ぎぃぃ…あぁぁぁ!」
軋む音と何かが噴き出す音と叫び声はもちろん連動している。軋むと叫び、叫ぶと噴き出す。
「ひぃぃぃ!」
「キャヒーン!!」
俺とラストは震えながらおたがいを抱きしめあった。
なにこれ怖い。
ホラーでしかない。
マント越しに耳っぽく見えたものはボコボコと膨らんでは縮み次々と形を変えていく。
「ギィッ、ぉお゛っ…アげぇぐ…ぉぉ」
ラストの尻尾が完全に足の間に入っているし触手がぐるぐると俺に巻きついている。
「キュンキュンキュヒーン!!」
「ちょ、ラスト!俺を前に押すなお前のほうが大きいだろ!」
俺とラストは出来るだけぐりどんから距離を取るため、壁際にべたりと張り付いた。
「があああああぁぁぁぁっ!!」
ひときわ大きな叫び声があがり、ぐりどんビガーっと光った。
眩しい!!
僅かにみえたシルエットにもしかしたら黄色い電気ネズミ的なやつが登場するかもしれない…と一瞬思ったが、いろいろ引っかかりそうなのでそれはないだろうな。と冷静に思い直した。
もしかしたら癒し系でかわいい子が…みたいな事がおきるといいな…
水かけると背中ボコボコするあのこの例もある、発生時がキモくても実は中身可愛い…
なんて夢みたいな事が…頼むおきてくれ!!
来い!
かわいいの来い!!
俺はそう心の底から願った。




