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邪神な日常  作者: ちかーむ


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邪神とおでかけ 2


足元の花は死体のシを投げ捨て…いや、ゆるい埋葬をした時に手向けた赤紫色の花と同じ…つまり邪神花だった。

いつの間にこんなにも群生したのだろう?


元々群生していたのに俺が知らなかっただけなのかどうなのか…引きこもりすぎてよくわからない。暗かったし。


花の形は少し小さめの百合の花。


赤っぽい紫色だが個体差があるのか紫色が濃いものや色が淡いものもある。

風もないのにザワザワと揺れて居るのがちょっとキモい。


ホラー案件はご遠慮したい。


見渡す限り一面邪神花で埋め尽くされている。すごい。圧巻だ。

しかも空…があるべき場所には闇しかない。

月も星もない。

その中で邪神花だけが淡く発光しているのでとても幻想的だ。


俺は花を摘むために俯き…

いつの間にか肩に触れるくらいに伸びていた髪を手で押さえながら邪神花に手を伸ばして摘んだ。


摘んだというか欲しいなって花に手を伸ばしたら手の中に花が綺麗な状態で存在した。


ワープだ。

花が手にワープした…。


シに献花したときの一本の花みたいな状態になって手の中にある。

いや、お前さっきまで地面這ってる系のニョロニョロした蔦っぽい花だったのに…なんでスッとした立ち姿の花になってるんだ?


どういうメタモルフォーゼしたら曲がった茎が真っ直ぐになるのかよくわからない。

邪神花を振ると鼻先をふわりといい匂いがくすぐった。


思わず邪神花に鼻をよせて嗅ぐとほんのりと甘い香りがした。

ん?

いや、香りっていうか…


「甘い?」


実際に口に甘味がする。

匂いだけのはずなのに口内に広がるほんとりとした甘さ。


流石は邪神花だ、奇妙な効果がついている。



もう一度かぐと赤紫の花の色がスッと抜けた。

白い。赤紫の花弁が白になった。


なんだこりゃ。


もう一度花を嗅いでみたが微かにいい匂いはしたけれど甘くはなかった。

つつじの蜜が一回だけほんのり甘いのと同じ感じだ。


なんだこりゃ…

どういう原理かわからんが辺り一面とにかくいい匂いなので思いっきり深呼吸をしてみた。


「甘っ!!」


口いっぱいに甘さが…でもくどくなくてさっぱりして、なのにジューシー…


「うまぁ…」


指先までじわじわと温かくなる感じ。

なんだこれちょっとした風呂感がある。疲れがほぐれるような、だるさが取れるような、身体中に力が漲るような感覚。


ちなみに2回目の深呼吸は甘くなかった残念。

蜜なのか?

蜜的な何かが漂ってるのか?


「ん?」


見渡す限り紫の花が全て白い花に変わっていた。

変わったというか色が抜けた?



…え、俺が吸ったとか…じゃないよな?



…いや、ちょっと否定しづらい気がする。

吸った?

吸ったような気もする。


いや、しかし見渡す限りの広範囲…となると俺の深呼吸の効果範囲が広すぎるし、肺活量、そう肺がでかすぎる。



…いや、認めよう。


邪神花の赤紫色吸いました。

邪神カラー吸いました。

とっても美味しかったです。


芳醇な香りと甘すぎずスッキリとした後味、非常に美味しゅうございました。


搾り滓の邪神花が白くなっちゃいましたごめんなさい。


とりあえずわかることは… 


「たまには外に出ろってことかな」


おれはぺろりと唇をなめた。


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