第41話 必殺
「あと3体!!」
ゴーレムの心臓を破壊しながら、ティアナは叫ぶ。
ようやく掴み始めた手応えに、しかしティアナは歯噛みする。
(魔力を使い過ぎた! このまま使い続ければ、放てる魔術は多くて3つ! 少し休憩すれば4つ使えるかもしれないけど、そんな隙なんてとても……!)
「大丈夫か?」
息を切らしながら、ハルはティアナの背中を叩いた。
顔色の悪いハルを見て、ティアナはハルもまた魔力の限界が近いのだと悟る。
「あんたこそ、酷い顔ね」
「お前ほどじゃねぇよ」
無理をして笑うティアナに、ハルは大きく深呼吸をした後、笑い返す。
肩で息をする2人は目の前にそびえ立つ3体のゴーレムを見上げ、苦笑した。
「こいつら、よくフィールドの中に立っていられるわね」
「横は薄っぺらいんじゃねぇ?」
ティアナを横目で見ながらハルは冗談を言う。
呆れたように溜め息を吐くティアナは、微笑しながらハルに視線を送った。
「1体ずつ倒してたんじゃ、キリがないわよ」
お互いの限界を察する2人は、働かない頭を必死に動かす。
(俺の魔力はもともとティアナより少ねぇが、ここまでとは! ティアナの方も無理してやがるし、クソ、せめて2体同時に……!)
自分の非力さにハルは苛立ちを覚える。
ふと、自分の頭に浮かんだ言葉に、ハルは眼を見開き言葉を紡ぐ。
「おいティアナ、お前、ゴーレム1体に絞って氷塊打ち込めるか?」
「え?」
今までの作戦では、闇雲に氷塊を打ち出すため、ゴーレム1体倒せればいい方で、効率が悪かった。
しかし、その氷塊を1体だけに絞れば、確実に倒すことができる。
だが、
「狙いを定める分、私が動けなくなるわよ!」
ゴーレムの胸を貫くだけの大きさの氷塊をズレることなく打ち出すには、ティアナは標準を定める為に動くことができない。
ゴーレムの攻撃を避けながらの実行は、ほぼ不可能に近かった。
「俺が引き受ける。ゴーレムが一直線に重なったとき、打ち出せ」
ハルの提案にティアナは驚愕し、だがすぐにそれを受け入れた。
2人は軽く打ち合わせをし、ハルはゴーレムへ向かい飛び出した。
「蔦ァ!!!」
フィールドの端にいる1体のゴーレムを、その場に蔦で固定する。
その場を起点に、ハルはゴーレムを誘導する。
「おらぁ!! こっちだ!!」
「……冬の女神、」
蔦を使いながら巧みに誘導するハルを一瞥し、ティアナは静かに眼を瞑り、魔術を展開する。
ティアナの頭上に、魔術により発生した氷が巨大な氷塊をゆっくりと形成されていく。
「ティアナ!!」
3体を直線状に誘導し終えたハルは、ティアナへ振り返り、叫ぶ。
それを合図に、ティアナは眼を開け、魔術を発動した。
「スカディ!!!」
一番手前のゴーレムの心臓へ向け、ティアナは氷塊を打ち出した。
巨大な氷の塊は、1体目のゴーレムの心臓を貫き、貫通した。
と同時にハルは蔦を地中へ戻し、ゴーレムを開放する。
2体目へ氷が突き刺さり、貫く寸前で停止する。
氷塊が貫通した反動で後ろへドミノ形式で倒れ込む2体のゴーレムに、3体目のゴーレムは場外へ倒れ出る。
「はあ!!」
ティアナはトドメと言わんばかりに、氷塊を四散させた。
鋭い氷はゴーレムの胸へ突き刺さり、貫き、完膚なきまでに心臓を破壊する。
しかし、その拍子に飛び出した巨大な岩石がティアナへ降り注いだ。
「……ッ!!」
自分の身を守る為、魔術を展開したティアナは、しかし発動されることなくその場にへたり込む。
(魔力切れ……!! 視界が霞む。力が、入らない……!!)
霞む視界でも認識できるその岩肌に、ティアナは固く眼を瞑った。
ハルは咄嗟に魔術を発動するが、岩石よりも速くティアナの元へたどり着くことができない。
「ティアナぁ!!」




