第32話 チームメイト
「精神干渉……!?」
あまりにも意外な結論に、ティアナが驚愕の声を上げる。
それに応えるかのように、テレサはコクリ、と頷いた。
「連続で大規模魔術発動してるってことか?」
続けてハルも、驚愕しながらも冷静に、テレサに尋ねる。
ハルに視線を送り、テレサはまた1つ頷く。
ハルはチラリ、とドレットを見るが、何事もないかのように紅茶を飲む姿を見、テレサの考察が正解だと悟る。
「しかし、そんな不安定な状態で特定の相手に精神干渉などできるのでしょうか?」
ようやく口を開いたレイは、ポツリ、と小さく疑問を漏らす。
的を射るレイの疑問に、テレサは頬に手を当て、答えた。
「恐らく、チームメイトの魔術で範囲を指定しているんだわ。彼は3年間で一度もチームメイトを変えたことがないのよ」
簡単な返事と共に、1つ、テレサはさりげなく重要な情報を漏らす。
「3年とも、同じ面子ってことか!」
「えぇ、チームメイトにも何か理由があるのよ」
意外な事実に、ハルは眼を見開いて驚く。
そんなハルを見て、テレサは1つの冊子を取り出し、静かに補足した。
「チームメイトの2人は、どちらも冴えない生徒よ。片方は、精神干渉範囲を指定する魔術を使えるのだけれど、もう片方は……」
「片方は?」
言い淀むテレサの言葉に、ティアナが食いつく。
言葉の続きを待つ親友に眼をやり、テレサは言葉を紡いだ。
「もう片方の生徒は、……魔力供給を単身で行えるのよ」
「どこが冴えねぇんだよ」
困惑した表情で告げるテレサに、すかさずハルが言葉を挟む。
魔力供給は本来、救護班の中でも一握りの、それも複数人で行うもので、単身で行えば命を落としかねない危険な行為だった。
それを単身で、五体満足でやってのけるというその生徒は、目立たないことの方が異様であった。
「その生徒なら俺らも注目しているが、どうにもアルフとは腐れ縁らしい」
「幼馴染、というわけですか?」
コクリ、とレイの言葉にドレットとテレサは静かに頷く。
それを見て、3人は納得した。
いくら単身で魔力供給ができるとはいえ、やり過ぎればやはり命を落としかねない。
しかし、幼馴染という関係性であれば、恐れることなく魔術を使える。
「全員?」
「全員」
ハルの言葉に、ドレットは補足する。
3人全員幼馴染だ、と言葉少なく告げるドレットに、ハルは大きく溜め息を吐いた。
「そりゃあこんな短期決戦の捨て身の作戦も、スムーズに決められるわけだ」
頭の後ろで両手を組み、呆れたように吐き捨てるハルに釣られ、ティアナとレイも溜め息を吐く。
「それだけじゃなく、アルフ先輩にはもう1つ得意な魔術があるわ」
「それは?」
ここにきて言い淀むテレサに、ティアナは首を捻る。
続きの言葉を催促する親友に、困り顔をするテレサは、ドレットに視線を送る。
「格闘祭の禁止事項ではあるが、アイツは初手が決まらなければ何をするか分かったもんじゃない。教えても損はないだろ」
テレサの視線を受け取ったドレットは、静かに教え子に助言する。
それを聞いたテレサは、覚悟を決めたように3人に向き直り、はっきりと告げた。
「彼の得意魔術、それは土人形の生成。即ち、ゴーレムよ」




