第22話 2回戦
「さあ! 盛り上がって参りました!! お次はCブロック勝者対Dブロック勝者!! 東ゲートより登場いたしますのは、2回戦で何やらトラブルがあった模様、学年を超えて結成したチームは、はたして吉と出るか、凶とでるか!! 無敗の女神、ティアナ選手率いる1、2年混合チーム!!」
大げさな司会と共に入場するティアナ達。
レイの顔にはもう緊張はなく、3人は真っ直ぐと対戦相手を見据える。
「対するDブロック勝者! 西ゲートから登場するのは、学園生活最後の魔術格闘祭に名乗りを上げた3年理系チーム!! 変幻自在の攻撃を駆使し、華麗に1回戦を突破した彼らは、女神相手にどのような戦いを繰り広げるのでしょうか!?」
「女神だとよ」
バカにするような笑みを浮かべ、ティアナをからかうハル。
その言葉を聞いてもティアナは怒ることもなく、ただ微笑む。
「当然でしょう? 私という勝利の女神がついているのだから何も心配いらないわ!」
不敵に笑うティアナに、つられて笑うハルとレイ。
今一度深呼吸をするレイの手を、ティアナは握る。
「大丈夫。絶対に」
「……はい」
一度眼を瞑り、返事を返すレイの瞳には、勝利への確信が灯っていた。
「さぁ、注目の2回戦、開幕です!!」
「行くわよ!!」
スタートと同時に飛び出したのはレイ。
続いてティアナが走る。
迷うことなく相手へ向け突き進むレイは、1回戦には無かった気迫を纏っていた。
そのままレイは、躊躇うことなく魔術を発動する。
「我の導に従い、その力を示せ。流鏑馬!!」
ティアナはレイから数十メートル後ろで立ち止まり、レイに向かって魔術を展開する。
「風の女神、ゼピュロス!」
レイの放つ流鏑馬は、対物では威力が低くとも、人体に直撃すれば貫通する恐れがある。
そのため、斬撃をティアナの魔術で覆うことで直撃した時の衝撃を弱め、場外に弾き飛ばすだけの威力にまで落とす緩和剤の働きをさせる算段である。
(レイが危惧していたのは、また私に危害を加えること。なら、私は斬撃の届かない後ろで構えればいい!)
ティアナの魔術は上手く起動し、レイの斬撃に覆いかぶさる。
そのままぶれることなく斬撃は対戦相手へ飛んでいく。
「いける!」
勝てる、と3人がそう確信した時、対戦相手の1人が液体の入った瓶を宙へ向け投げた。
「我の導に従い、その力を示せ!」
瓶を投げた3年が詠唱を唱えると、小瓶に亀裂が走り、砕け散った。
中身の液体はすぐさま大きく成長し、斬撃の上に覆いかぶさった。
「スライム……!?」
レイがそう呼んだ物体は、レイとティアナの放った斬撃を吸収し、更に成長する。
その全長はおよそ2メートルにも達し、客席にまで届く勢いであった。
「行け!」
対戦相手の1人がそう命じた時、スライムはレイめがけ、跳ねた。




