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第126話 Aブロック2回戦

約二か月ぶりの投稿になります。

待っていて下さった方々には多大なる感謝を。


「みなさん、お待たせいたしました!! 魔術格闘祭本選、2日目の幕開けです!!」


 司会の声に合わせ、会場が湧き上がる。

 東口控え室には、人影が2つ。

 ティアナの姿だけが無い控え室で、ハルは頭を抱えていた。


「お兄様……」


 レイは、心配そうにハルへと声をかける。

 一向に顔を上げることの無いハルは、レイの言葉にすら反応しない。

 戸惑うように顔を歪めるレイは、ふと、部屋に入ってきた人物に眼を向けた。


「ドレット先生……」

「よう、調子はどうだ?」

「それが……」


 音も立てず、控え室内に入ってきたドレットに、レイは安心したように緊張を解く。

 ハルの様子を包み隠さず話すレイに、ドレットは優しく頭を撫でた。


「まぁ、任せろ」

「……はい」


 ドレットはハルへと近づき、壁に寄り掛かる。

 腕を組んだドレットは、ハルを見下ろし言葉を投げかけた。


「なんだ? 対戦相手にビビってんのか?」

「なわけねぇだろ」

「じゃあ何か? 母親の前で醜態さらしたくないか?」

「……ちげぇ」

「じゃ、その顔はなんだ?」


 ドレットは、挑発する様にハルへの言葉を重ねていく。

 ようやく顔を上げたハルの黒い瞳は、妖しく光を放っていた。


「……!」


 ハルの表情に、ビクリ、と肩を震わせたレイは、ハルの言葉を待つ。

 ハルは、ドレットを見つめ、その口元を歪ませた。


「アイツと、真正面から戦えるんだぜ?」

「そうだな」


 ニヤリ、と嗤うハルに、ドレットもまた口元を釣り上げる。

 興奮を隠さないハルに、レイはハッ、と息を飲んだ。

 ハルの頭を一撫でし、ドレットは控室の扉を開く。


「……出番だぜ。かまして来い」

「おう」


 席を立つハルは、ドレットに促されるまま控え室を後にする。

 兄に続いて会場へ向かうレイは、ハルの背中をぼんやりと眺めていた。


「……勝てますか?」

「勝つんだよ」


 後ろ向きなレイの問いに、ハルは即答する。

 改めて、ハルを見るレイの瞳には、勇ましく笑うハルの顔が映った。


「そう、ですね。失礼いたしました」

「それでいい」


 ハルは、振り返ることなく歩く。

 レイは、僅かに駆け足で、ハルの隣へと立つ。

 並んで歩く兄妹は、2回戦の対戦相手を見据える。


「遅いわよ」

「何、主役は遅れて登場するもんだ」


 すでにフィールドに立つ対戦相手は、心を弾ませる。

 風に吹かれ揺れる金髪に、ハルは眼を細めた。


「勝ちますか?」

「あぁ、勝つよ」


 レイは、ハルの背中に手を添え、再び問う。

 同じように即答を返すハルは、レイに背中を押されるがまま、歩み出した。


「決勝で、会おうぜ」

「はい。いってらっしゃいませ」


 レイは、笑ってハルを送り出す。

 歩き出したハルは、ゆっくりとフィールドへ上がる。

 その黒い瞳に、彼女の姿を映して。


「随分余裕があるのね」

「そりゃ勿論。お前相手に後れを取るわけないだろ」


 向かい合った2人は、口角を上げる。

 興奮と期待が混じったその笑みは、更に2人を滾らせた。


「何が起こるか予測不能のAブロック2回戦!!! ティアナ選手対ハル選手!!! 全校生徒による大注目の中、いよいよ開戦です!!!」




ハル対ティアナ。

作者も滾ってます。

楽しく書くぞー!

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