第一章の8!
前回は後書きも何にも無しでしたので
今回こそは書こうとした、久々の前書きです。
えっと今回のお話はですね〜
長いです。
読むときに注意してください。
ちょっとした空き時間では読むことの出来ない無い人がいると思いますので・・・
では、始まり始まり〜♪
8
映画が終わると僕はまず外に出ようと立ち上がろうとしたのだが無理だった。
僕の右手をガッチリと白い腕がまとわりつくように固定しているからだ。
僕はその白い腕を見た瞬間、声を上げそうになったがギリギリのところで押さえ込んだ。
その白い腕の持ち主が北風だと気付けたからだ。
北風を良く見るとすぅすぅと可愛らしい寝息を立てながら眠っていた。
それを少しニヤけながら僕が見ていると劇場の照明が点いたせいか北風が「ん?」と言って目を擦りながら起きた。
北風の目が覚めても僕のニヤけた顔が元に戻るわけがなく、僕は顔が見えないようにそっぽを向いた。それを見た北風がそっぽを向いた僕の顔を覗き込むように見て
「なんか疚しいことでも考えてた?・・・別に良いよ」そう優しく言ったがその顔は全然優しそうではなかった。
違う、優しそうではあった、あったが、後ろに黒いオーラ的なものが見えた気がしただけだのだがそれが一番怖かった。
とにかく僕は北風を連れて外へ出る、すると夏の暑〜い日差しが出迎えてくれた。
そもそもなぜ涼しい映画館内から早く出たかったのかというと、それは遡ること約二時間前のこと・・・・
待ち合わせ場所でちゃんと北風は待っていてくれていた。ボロボロになった僕が来る三十分も前から・・・
「遅いっ!」と言う厳しい声で出迎えてくれたのは北風で、北風はちゃんと十時には待ち合わせ場所に着いていたはずなのだ。
そう全部僕が悪いのだ。
手紙を読んだのが八時くらいで、そんなの楽勝!と思っていた僕は準備をのんびり進めて気付いたらいつの間にか時計の針は九時半を指していた。
やばっ!と思った僕は慌てて家を飛び出し駅へと向かったのだった。
それが間違えだったことにはすぐに気付くことになる。
家から駅まで走って十五分それから隣町まで電車で十分で行ける・・・・はずだった。
さて切符を買おうと財布を出そうとウエストポーチを・・・「持ってくるの忘れたー!!」
慌てていたので忘れてきたのだ。
財布の入ったウエストポーチを家に・・・。
僕は来た道をダッシュで戻る・・・「疲れた。」ダッシュ「疲れた。」を繰り返しながら家に向かった。
家に着くなり僕は「ただいまっ!」と言って階段を駆け上がる(全力で)と自分の部屋に入りウエストポーチを取ると今度は階段を駆け下りる(全力で)と「いってきますっ!」と言い残し最後の力も残っていない体で駅まで走って向かった。
僕の運の悪さがここで発動するか?ってくらい悪いタイミングで発動した。
僕が電車に乗り込み空いていた席に座ると、そのタイミングを狙っていたかのように
「えーこの先の駅で人身事故が発生しましたのでしばらくお待ちください。」と駅の構内アナウンスがイキナリ最悪を伝えた。
僕は疲れているにも関わらず「ふ、ふざ、けんな〜」と力無くツッコンでしまった。
これは僕の中に流れている血のせいか?いや、僕の親はどちらも田舎それもドの付くところの生まれだからそれは無いか・・・いや、もしかしてお爺ちゃんとかが・・・
僕がそんな今はどうでも良いようなことを考えていると呪いが解けたかのようにとつぜんさっきと同じように
「えー大変申し訳ありません事故は無かったらしくすぐに発車しますのでしばらくお待ちください。」と構内アナウンスで伝えられた。
アナウンスで伝えられたとおり、僕を乗せた電車はすぐに動き出し目的地へと向かった。
そして着いたのが十時半、まぁ普通は怒るよな〜暑い中で三十分も待たされりゃ。
それでも僕が遅れた理由を教えれば北風は「ルルルルル♪」とチャネリングしてから空を見上げて優しく微笑むと「よかったね!」と言って僕の方見て「早く行こっ!」そう言って僕の腕を掴むと映画館へ走り出した。
絶対に走りにくそうなヒール付のサンダルを履いてフワフワのワンピース姿で元気よく走り出したのだ。
僕には何か急いでいるようなそんな気がした。
映画館は森の中にあり完璧に廃墟に見えた。
そんなことはお構い無しと言わんばかりに北風は普通にその中へと入っていく。
僕は森がやけに静かで怖かったので北風の後に続くように映画館へと入っていった。
入るとまず目に付くのはやけに豪華な噴水だった。
そして何故だかさっきまでの暑さは消え去り寒気に変わっていた。
「こっちだよ〜」と噴水の奥の扉の方で手を振っている。
とにかく僕は北風と一緒にいなければいけない気がして急いで北風のいる方へ向かった。
北風の傍に行くとそこには三十歳を過ぎたくらいの男の人と、その子供らしき五歳くらいの女の子がいた。
北風は何の躊躇いも無く手提げ鞄からチケットを取り出すと男の人に渡す。
僕も北風と同じようにウエストポーチからチケットを取り出すと同じように男の人に渡した。
すると勝手に重たそうな扉が開き北風はその中に引き寄せられるかのように入っていった。
すぐに僕もそのあとを追いかけて入っていきそれから二人でホラー映画を見たわけだ。
外に出たかったわけは体ではなく心が冷えるような寒気がしたからそれと僕たちを合わせて三十人くらいいたにも関わらず僕と北風以外に誰も映画を見ておらず僕の方をじっと見ていたからだ。
ホラー映画の内容よりそっちの方が怖かった。
だけどそんな中ですぅすぅと寝息まで立てて眠っていた萌え不思議領域天然少女系の北風は今も眠そうにあくびをしながら僕のあとをフラフラとついてきている。
森を抜けると砂浜に出た。
真っ白い砂浜の誰も人がいない、ただ波の音だけがあるその砂浜に僕と北風は辿り着いたのだ。
砂浜の先には青く綺麗な海もある。
海は太陽の光を反射してキラキラと光って僕たちを誘っているように見えた。
北風は僕の横を抜けて砂浜に走っていく、そして砂浜の途中でサンダルを脱ぐと地面が熱いのかぴょんぴょんと跳ねながら海のほうに走っていく。
僕は北風をここでアホだと思った。
あろうことか北風は海に走っていって・・・ダイーブッ!!
完全なアホ戦士の北風は手提げ鞄を持ったままダイブしたことに気付いていないらしかった。
「僕も完全なアホ戦士になってやるっ!!」これは誰がどう見ようとイカれちゃった人にしか見えない。
僕も北風と同じように、そのままダイブした。
そしたら北風に「バカじゃないの?」と冷ーたく(こういうときだけ冷たい)言われたので僕は「それは北風もだろ?」と返してやった。
それから数秒の沈黙のあとには砂浜が二人の笑い声で埋め尽くされていた。
そして、いつの間にか僕の感じていた寒気は消えていた。
僕たちは夢中で遊んだ。
空が夕日で真っ赤に染まるまでいっぱい遊んだ。
「そろそろ海から出よう」僕がそういうと北風はすんなりと一緒に海から出てくれた。
僕は北風が気になってつい見てしまった。
北風は着ている物を乾かすため全て脱いで背の低い木にかけている途中だった。
僕は恥ずかしかったので「着ながら乾かす」と言って服を着たままだったのだが北風は違ったのをすっかり忘れてた。
北風の場合は「じゃあ私は脱いで乾かすから」と言って僕の視界からすぐに消えて僕の後ろの方で服を脱ぐ音が聞こえたのだったが、北風が「ねぇ」と言うから僕は「なに?」と言いながらつい振り返ってしまったのだ。
北風は後ろを向いていたから良かったものの、こっちを向いていたらと考えると恐ろしくて二度と振り向けない。
僕は振り向けないので北風に背を向けて北風のことを考えていた。
北風は僕に『大切なものを探して』と頼んできた。
でも、それはまだ見つかっていなかった。
僕は途中からそんなことはどうでも良くなっていたのだ。
北風が好きだから傍に居れるだけで嬉しくて、楽しくてしょうがなかった。
今までの僕に好きだと伝える勇気なんて無くて(最初ので使い果たした)あるのは嫌われるという不安だけだった。
でも今は伝えられそうな気が、そんな気がした。
それは早く好きだって伝えたいへと急速に変化し僕の心が好きという感情で埋め尽くされていく。
そして僕が伝えようとしたとき北風は僕に言ったのだ。
「私、明後日には居なくなるから、明日で大切なもの探しは終わるから」
「え?」僕の口からは好きって言う言葉ではなく驚きと絶望の声が出るだけだった。
僕は振り返って北風を見た。
今の北風を表す言葉は綺麗の一言で十分だった。
今なら僕にもわかる気がした。昔の芸術家たちが残した石像などを見て「美しい」と言いたくなる気持ちが、輝いているのだ他のものよりもずっと美しく優しく輝いている。
そんな北風を僕はずっと見ていたかった。
でも、それは許されなかった。
北風が僕の方へ歩いてきて僕を押し倒してこう言ったから
「明日、私を殺して・・・・」
「・・・・・」僕は言葉を失った。
無言の僕に向かって北風はこう続けた。
「明日、午後三時にあの遊園地で待ってる。」言い終わると乾きかけの服を取りに行きそれを着て帰っていった。
僕は拒絶されるのが怖くてすぐには後を追えなかった。
でもすぐに暗くなるのは、わかっていたので急いで帰る準備をすると僕も少し前に北風が入っていった森に入っていった。
長かったでしょ〜・・・
あれ?短かったかな?・・・・
と、ここでお知らせです。
第一章は残すところあと9と10しかありません!
大変ですよ、皆さんの楽しみ(ではないかもしれません)が無くなって・・・・
しまいません。
はい、無くならないですよ〜
第二章がありますからね〜
だから、もうちょっと頑張ってください。
それではまた次回・・・