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夏ふたり  作者: 白猫ノ夏
6/17

第一章の6!


神社に着くと僕はまずお賽銭箱・・・ではなく、普通お賽銭箱のあるはずの場所に置いてある両替機にがまぐちから出した五百円玉を次々と入れて百円玉に替えた。

それから屋台の方に歩いていきお目当てのものを見つけた。

それは屋台と屋台の間に三台ほど置いてあり、そこには小学生くらいの子供たちが二十人くらい集まって「よしっ!落ちるな!落ちるな!・・・あぁ〜」と大きな声で言い合っている。

それを近くにいた親が「違う違う、こうやるんだ」と言って子供たちに混じって楽しんでいる。

子供たちの集まっているのは主に三台目、僕がやろうとしているやつもそれだ。

僕は小学生たちのいる方に向かおうとした。

その時、見えてしまった。

会いたかった、その人を・・・

涼しげな白い薄手のワンピースを着てその人は小学生のグループの横の台で無表情で少し大きめのぬいぐるみ(・・・・・)を取っていた。しかも、その人の周りには紙袋とぬいぐるみで出来た山があった。そして紙袋はその人の横にまだ二十枚近くある。いったい何個取る気だ?そう思い僕は勇気を出して、その人に話しかける。

「あの北風?」僕がその人の名前を呼ぶとその人は驚いた顔をして僕の顔を見つめてくる。

十秒くらい見つめあったあと北風が「あっ!須藤くん・・・だっけ?」その時の僕には抑えることが出来なかった。


「忘れてただけかっーー!!」


そのツッコミは周りの人全員を僕の方に振り向かせるほどの大声で放たれて北風の耳に届いた。

そしてこの時を境に僕の北風へのイメージが変わった。

正確に言うと属性が変わったんだと思う。

不思議ツンデレから萌え不思議領域天然少女系、略して・・・


もふてし!


って意味わからん!自分で言っておいてバカだな〜と、つくづく思う。

それはさておき、そろそろ周りからの視線攻撃に耐えられなくなってきた僕は北風と北風の取った、ぬいぐるみの詰まっている紙袋をしっかりと掴むと一旦その場から離れ近くの誰も使わなさそうな小さな公園(ほとんど広場)に走って逃げ込むと北風と紙袋を放す。解放された汗だくの北風とぬいぐるみ達はその場に寝転がった。(ぬいぐるみは紙袋から零れ落ちてその辺に転がった、だけ)

「北風・・・ごめん、疲れた?なにか飲み物買ってこようか?ラムネで良い?ちょっと待ってて買ってくるから!」寝転がっている北風を見ながら焦って自分ひとりで話しを進めて飲み物を買いに行こうとした。

北風は今にも泣きそうになりながら寝転がった状態のまま僕の足を両手で強く掴んで

「いやっ!行かないでっ!どこにも行か・・・ないで・・・・・よ」そう弱々しく叫んだ。

でもすぐに北風の手から力は失われてあっさりと僕の足は解放されてしまった。

僕が北風のほうをもう一度見ると汗で髪が張り付いている顔や体をふるふると震わせて僕の方を見て泣いていた。

悲しそうじゃなくて、寂しそうに泣いていた。

それを見てしまった僕は体のどこからか罪悪感が押しよせてくるのを感じた。

自分が嫌になった瞬間だった。

北風を泣かせた。

北風の笑顔を見たかった自分が笑わせるのではなく泣かせたのだ。

死にたいなんて僕は絶対に思わない!自殺する奴はバカだ!とまで思っていた僕は今、死にたいと思ってしまった。

ほんの一瞬だけど死にたいと思った。

僕の中ではたぶん北風を殺すより酷いこととして認知されていたのだと思う。

結局、僕は臆病なだけだ。

北風に嫌われるのが嫌で北風に振り回されても文句一つ言わずに振り回され続けたし、北風が傷ついたときは真っ先に謝った。

たとえ僕が悪くなくても謝ってしまうくらいに北風に嫌われたくないのだと、たった今気付いた僕が僕の心の中に居た。

ひんやりとした手が僕の手に触れたことで考えることを止めるしかなかった。

そのひんやりとした手は北風の手だったから。

北風の両手は僕の右手を包むように掴んでいた。

「ごめんね、止めて」北風はそう呟くように言うと立ち上がってワンピースに付いた砂を掃おうともせずに僕に抱き付いてきた。

僕の顔は一気に紅潮し茹で上がった海老の様に赤くなった。

反則だ!こんな心が緩んで隙間が開きまくっているところに抱きつくなんて、心臓の鼓動が早くなり、そして北風に聞こえるほど心臓の音が大きくなったように感じた。

僕はすぐに突き飛ばすような形で北風から離れると膝がカクンと曲がり僕の体はその場に崩れ落ちた。

まだ僕の心臓は高鳴っているのがわかった。たぶん顔もまだ茹で上がった海老だろうけどそんなのはどうでも良かった。

僕はすぐに立ち上がるとふらつきながらも北風の前まで行って

「レッドカードっ!!」と言いながら右手を上げて、もう片方の手を北風に差し伸べた。

すると立ち上がりながら北風は萌え不思議領域天然少女系的な質問をしてきた。

「れっどかあど、ってなあに?」この言葉で僕はいつもの僕に戻れたのだから北風には感謝しなければならないだろう、でも今は・・・

「パソコンでサッカーのルールを調べろ!」ツッコミたい!

「ぱそこん無い」

「なら図書館かどこかで・・・」

「それとさっかー、ってなに?」

「・・・・・・・」僕は言葉を失った。

今時サッカーを知らない子供いたとは驚いた。

そんな絶句している僕を見た北風は

「やきゅう、って言うのなら知ってるよ!」と元気よく言った。

サッカーではなく野球を知っているのか?と疑問に思い僕が北風に野球のこと聞くと

「やきゅうはね、エンカイってところでやる遊びなんだよ、それでね、オジサンが変な掛け声を言いながら変な踊りを踊るのっ!」

僕は心臓のドキドキなんか忘れて今度は頭の痛みに耐えなければいけなくなってしまった。

正確には凄い勘違いを訂正しないといけないのである。

野球と野球拳の違いを目の前に立つ僕に学校では決して見せることの無い表情を撒き散らしながらニコニコしている萌え不思議領域天然少女系の少女に。


風邪をひきました。

喉の風邪は辛いですよ〜

・・・・・後書きが段々ブログのようなものになっていますね〜

書かなければ良いんですが書きたいんですよね〜やっぱり。

それにお話しが一週間に一つじゃ少なすぎるんです。

書き終わっているのだから一気に出せば良いじゃん、って思いますね〜でも毎週の楽しみが消えるんです。

楽しみかは人それぞれですが、この第一章も残り4くらいですので読みたい方は毎週月曜日を忘れずに・・・

(第一章が終わったら第二章か・・・いつ終わるんだろう・・・・・)




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