第二章の2!
えっと、忘れていて遅くなりましたがお楽しみください。
2
それから二日間は彼が補習に来ないせいで会えず、つまらない補習は私一人が受けた。
そして遊園地に行ってから三日目の昼前、須藤純也の幼馴染の水谷桜から私の恋愛天使専用のハートに羽が生えたデザインの携帯電話にメールが来た。
内容は十二時に駅前のファーストフード店で待ってる。とファーストフード店が何なのかを説明するための長ったらしい文章だった。
このメールで私はおかしな点を三つ見つけた。
一つ目はまずありえない、人間に天界文字がわかるわけが無いからだ。
二つ目は天使が人間界のことに詳しくないってことを知っているから。
三つ目はこの携帯電話にメールを送るには相手も同じ携帯電話を持っていなければならないから、つまり水谷桜は恋愛天使にかかわりがあり、なおかつその恋愛天使と仲が良い、もしくは結ばれている。
そうじゃなければ、これを人間に渡すわけが無いし、それに使い方だって分からないはずだからだ。
もしくは自らが天使っていう線も・・・・
私がそんな考え事をしながら歩いているといつの間にか駅前のファーストフード店の前に居ることに気づいた。
店に入った私はまずあいすこーひーを頼む、会計を済ませてそれを受け取ると二階席へと向かった。
なぜ迷わず二階席へ向かったかというと、それは・・・・アホの子の勘がそう言っていたからだった。
二階に着くなり私は水谷桜をすぐに見つけた。
さすがアホの子の勘、略して・・・アホカン!すっごいカッコ悪い。
私はそんな思考からすぐに離れると水谷桜に聞いた。
「それ三個くらい貰っても良い?」水谷桜の目の前に置かれているハンバーガーを指差して、そしたら水谷桜は「あげない」と冷たい一言で返してきた。
それから水谷桜は食べかけのハンバーガーを置いてから私に
「あなた恋愛天使でしょ?」そう聞いてきたのだ。
私は少し迷ったが予想はしていたことなのですぐに答えることが出来た。
「うん、そうだけどなぜ人間のあなたが?」そう聞き返すと水谷桜は恥ずかしそうに、でも迷うことなくこう言った。
「わ、私のお、お、夫が天使だからよっ!」
「夫ぉぉぉおぉぉ!」私は遊園地でジェットコースターに乗ったときよりも叫ぶものだから、お昼時のファーストフード店の二階の客全員の視線を私たち二人は浴びることとなった。
私は平気だったが水谷桜は顔を真っ赤にして
「ほ、ほら、い、行くわよ!」そう言うと水谷桜は私の腕を力強く掴むと山積みにされたハンバーガーを置いて足早に店をあとにした。
店を後にした私たち二人は今、近くの公園のベンチに座って少し休んだところで水谷桜が頬をピンクに染めた状態で聞いてきた。
「あ、う、恋愛天使の北風霧夜はあなたの兄?」
私はその名前が出てくるとは思っていなかったのでかなり驚いた。
なぜ人間界に来てもあの銀髪でかっこよくて女天使の誰もが一度は好きになると言う完璧な兄の名が聞けるとはすごく以外だった。
「うん、そうだけど・・・もしかして」この時点である程度予想は付いていた。
「そう、あなたの思っているとおり・・・き、北風霧夜が私のお、お、夫よ!」
やっぱりそうか〜あの兄から前に聞いたことがあったのだ。
あれは兄が「天界の女天使、百人フッたぜ!」と言ったときに
「なんでお兄ちゃんはみんなフッちゃうの?今日の子はすぅぅぅっごく可愛かったのに〜」と聞いたときに教えてくれたのだが
「俺には大切な人が居るんだ。俺がまだ天使の端くれだったときに一度だけ人間界に落ちたことがあるんだ。そのときに翼を折ってしまってな、そんな俺を助けてくれた人が居た。その人はまだ小学生とやらだったらしいんだが、しっかりしていてそして発育が良かった!」その最後の言葉を聞いた瞬間、私は兄をおもいっきりちょきで殴った。
まぁ殴られて当然の発言をした兄への天使から天使へ下される天罰だと思えばいいだろう・・・たぶん。
私に殴られた兄は十メートルくらい吹っ飛んで「○△□※!」とあのかっこよさからは想像も出来ない叫び声をあげた。
それから少し経って何事もなかったかのように
「さて続きを話そうか、えっと・・・発育が・・・・ち、違うぞ!えっと・・・・頭が良くってわけでもなく〜えっと・・・そうだ!会いに行こう!」
「それって忘れたってこと?」私がそう聞くと兄は
「そうとも言う!」そう断言した。
「そうとしか言わないから・・・・たぶん」私は断言できなかった。
私と兄ではそういうところが違かった、と今はそんなことはどうでも良い。
「それでその子と約束でもしたの?十年後ここでまた会おう!とか言ったの?」私は適当に言ったつもりだったがどうやら図星だったらしかった。
なぜなら兄の反応が「な、なぜそれを?さては俺の部屋の机の中をあさったな!彼女との思い出の詰まったあの・・・」
「あの?」
「あのエロ本を」
またあの兄の奇怪な叫び声が天界に響いたことは言わなくてもわかるだろう。
だが今回は手加減して地面(といっても雲だけど)に天使型の穴を開けるだけにしといた。
その穴のそこから力なき声で「冗談・・・だ」と兄が答えたのは言うまでもないかもしれない。
あとでちゃんと埋めておかなきゃ、という冗談は置いといて約束はしたらしかった、しかも十年後会おうという約束を・・・。
私が一気に喋りぬくと水谷桜は少し微笑んで
「やっぱり変わってない、霧夜は人を笑わすことが好きだったから、私なんていつも笑っていたの」彼女が兄のことを話すときの顔は本当に幸せそうな顔している。
見ててすぐにわかる、この人は本当に兄のことが好きなんだなって
「それでね、彼とのお別れのときに私、彼と約束したの十年後ここで会おうって、それで彼はもう一つ面白いことを言った。十年後にここで会うまで男にはツンツンしててくれってだから私はじゃあちゃんとツンツンしていたらキスしてねって・・・言った・・・・の」説明し終えた彼女はまた顔を真っ赤にして、さらに今度は特典として無言になってしまった。
無言という特典をもらった私はもうここに居ても仕方がないと思い、この場所を去ろうとした。
そのとき「待って」と言う余りにも早すぎる無言タイムの終了の合図を聞いた私は、既に背を向けていた水谷桜の方を振り返った。
「ねぇ今日逆神社でお祭りがあるの、あなた行ってみたら?ヒントは新型のゲーム機、じゃあね〜」私が振り返ったと同時に彼女はさっきまで恥ずかしそうにしていた人と同一人物なのか?と一瞬疑うくらい冷たい目でこちらを見ながらそう言いその場から立ち去った。