第一章の10!
いよいよ最後の数字です。
短いですがお楽しみください。
10
北風が居たという記憶は北風が消えてから三時間で消える。
僕が家に着いたときには既に残りは約一時間になっていた。
純也は北風のことを忘れないように自分の部屋に油性マジックで「北風氷柱」と書いた。
部屋の壁、机、北風に貰った新型のゲーム機、パソコン、本、漫画、書けるだけ書いた。
そしてタイムリミットが来るまで僕は携帯のボイスレコーダーに北風の知ってること全部を録音しようとした。
このとき既にタイムリミットはすぐそこまで迫っていたのだ。
北風のことを結構言ったあとで
「僕は北風氷柱が好きだ」まで言って北風と過ごした夏の思い出が消えた。
北風のことを忘れてしまっていた。
「あれ?なんでボイスレコーダー機能使ってんだっけ?」そう言いながら大切な記憶を失った僕は北風のことを録音したデータを保存せずに消した。
今度は部屋に書かれている無数の文字を見て
「うわっ!・・・ん?きたかぜ・・・ひょう・・ちゅう?なんだこれ?気持ち悪っ!」そう言うと片っ端から文字を消していった。
だけど消すたびに心が苦しくなるのはなぜだろう?一文字消すたびに心に出来た穴が広がっていくような感じがした。
文字を消す僕の手が止まった。
「きたかぜ・・・つらら?」ふと僕の頭の中に浮かんだ言葉だった。
「誰だろう?いやいや、どうでも良いから早く消して夕飯食おう!」そう言って僕は大切な人の名前を次々と消していった。
さてさて第一章が終わってしまいました。
次は第二章です。
ただ第二章で最後です。
たぶん面白いです。
第一章より笑えます。
そして氷柱ってこんなキャラだったっけ?ってなります。
まぁ期待しないで待ってれば、すぐに一週間経つことでしょう。
それでは第二章で・・・あえるかな?